思考の整頓

"もやもやしたもの"に輪郭をあたえる

1週間で1記事300pvから1万pv!自分にしか書けない文章術の極意8ヶ条


 ここ2週にわたって大好きな本や文章、ブロガーさんについて書いてきまして、3部作今回でラスト。今回は文章を書く上での仮説・検証の仕方や市場の見極め方についてがメインですが、文章を書き始めてからこの約7年間で培ったものを詰め込みました。本記事16000字の超大作となっているので目次を作っておきます。

 

1.「こういうのを書きたい!」かつ「自分でも書けそう!」という文章の教科書を見つける
2.「今、ネットで何が求められているのか?」を分析する
3.自分が扱える「バズの公式」を作る
4.仮説が外れたときにすべきこと
5.無理にバズらせるより、魂をこめた記事
6.マーケット感覚を身につけよう
7.「バズの公式の作り方」ではなく「公式そのものの作り方」を学ぶ
8.マーケット感覚を養うべき本当の理由

  

自分にしか書けないウケる文章=「自分の書きたいかつ書けること」×「市場を見極める力」

この記事で言いたいことはこちらです。記事の前半では「自分の書きたいかつ書けること」について、中盤から「市場を見極める力」の話をしていきます。


■ 1.「こういうのを書きたい!」かつ「自分でも書けそう!」という文章の教科書を見つける

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文章上達の秘訣は、ずばり「真似」である。自分がいいと思う文章を見つけて、それを模倣する。それに自分の色を足していくことで、オリジナルな文章が生まれる。おそらく何をするにしても大切だと思うが、こと文章に関しても模倣が大事だと断言できる。

そのためにまず模倣すべき「自分の文章の教科書」となるものを探すべきだ。

そんな教科書となる1冊を見つけるためにはまず100冊読む。座右の書となるであろう1冊を見つけるために残りの99冊があるのである。がつんと殴られたかのような衝撃的な一冊とは、そうやって出会うもの。

では、具体的にどんな文章がいいかと言うと「こういった文章を書きたかったんだ!」「これは俺のための本なのか!」と思わされるような文章である。

しかし、ここが大事なところなのだが、読んでいて仮に面白かったとしても、それが自分に書けそうにない文章なら、それは自分の文章の教科書にしてはいけない。

「お手本とする文章なんだけど、なんか自分でも書けそう」というところがポイントだ。

「こういうのを書きたい!」かつ「自分でも書けそう!」という文章を見つけるところから始める。

「知的でウィットに富んだ文章」が好きな人もいれば「自分の体験談を赤裸々におもしろおかしく暴露するスタイルの文章」が好きな人もいる。ここはなんでもいい。

「読んでいて目から鱗で、こんな文章書きたかったのだ!」かつ「この人が書く文章のリズムや構成、内容が、なんとなく自分がいつも書いている文章と似ている」と思える文章が、自分の文章の教科書にすべきである。

「すごいと思うし読んでいて面白いんだけど、これは俺には書けないなぁ」と思ったら、その文章の流派には入門できない。

僕でいうと、オモコロのARuFaさんが書くおもしろ記事が好きだ。読んでいて笑える。ただ、全力で体を張って笑いを取りにいく記事は読む分には良いけど、そこまで自分をネタにできないので、いくら研究してもあんな風には書けるようにはならない。なので「全力で体を張ってボケる」土俵では戦ってはいけない。 


次に、お手本となる作家を見つけたら、「その人の書いた本は全部読んで研究する」。それらの着眼点・構成・リズム・言葉をひたすら模倣して書けば、文章は自然とうまくなっていく。自然とその人の文体が自分に乗り移り、「自分は作家の〇〇なんじゃないか」と思えるまで模倣できれば合格だ。

仮に構成などの入れ物というか枠組みを真似したとしても、中身が自分の体験談であればそれは決してぱくりではない。ただ、これをやると、乗り移っているので仕方がないのだが、好きな作家の文章にあまりにも似てくることがある。書いた文章は正真正銘、自分の文章なのに、見る人が見たら「あの作家のパクリではないか?」または「あの作家にインスパイアされ過ぎて、既視感がある」となってしまう。

 

そこですべきなのが、「お手本となる師匠を複数見つける」ことだ。

コラムの書き方ならこの人、エッセイならあの人、学術的な話なのにわかりやすく書く方法は××、情緒的な文章は▲▲さん、オチの書き方はいつも笑える〇〇さん、という風にである。

「この部分を真似したい、身につけたい!」という箇所を習得していくことで、自分の書ける幅が広がっていく。

そして、研究し尽くしたお手本を、複数見つけて、組み合わせる。ここまでくると自分だけのオリジナリティが文章に滲み出てくるはずだ。 

 

いろいろと組み合わせて出来上がった僕のオリジナルで、得意な文章スタイルのうちの一つは、「エロ×学問」だ。

 

前回に記事でマルコム・グラッドウェルという作家を文章の師匠の一人としていると言ったが、マルコム・グラッドウェルから、学術的な内容をわかりやすくストーリー仕立てで書く方法を取り入れた。

 

そしてこれは前々回の記事で好きと言った水野敬也さんの文章から「エロ」要素を取り入れた。ただ僕は水野さんのように赤裸々に自分の経験談を暴露できないし、しようとも思えないので、あくまでエロは外側だけだ。以下、3記事が「エロ×学問」。

 

 

読んでもらったらわかると思うが、中身は一切エロくない。外側だけエロをまぶしたポジティブ心理学行動経済学社会心理学といった学術的な内容となっている。

あとで詳しく書くが、Web上の文章はまずクリックしてもらわなければならない。そのためにはWEBでウケるいくつかの要素が必要なのだが、僕は「芸能」とか「猫」はまったく興味がないので、たくさんの方に読んでもらうために行き着いたのが「エロ」であった。

このように、マルコム・グラッドウェルと水野敬也さんから取り入れた「学問」と「エロ」を組み合わせることで僕だけのオリジナルな文章が出来上がるのである。 

 

以上、簡単にまとめるとこうなる。

①とにかくたくさん読んで、文章の教科書となる「こういうのを書きたい!」かつ「自分でも書けそう!」な文章を探す(ここが一番のポイント!)
②見つかったら、徹底的に研究する
③模倣して書く
④お手本となる師匠を複数見つける
⑤師匠から学んだ要素を組み合わせる 

⇒自分にしか書けない、オリジナルな文章の出来上がり


2.「今、ネットで何が求められているのか?」を分析する

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この記事で伝えたい、自分にしか書けないウケる文章=「自分の書きたいかつ書けること」×「市場を見極める力」の前半の説明をしたので、これから後半部分である「市場」について書いていきます。(本文16000字と大変長くなっていますが、特に■3.以降の後半が内容濃いのでどうぞ何卒最後までお付き合いくださいませ…!)

先に断っておくと、決して「バズる記事の作り方」を書くわけではない。今までバズった数なんてしれているし、そこは僕よりも語るにふさわしい人がたくさんいる。

ここではあくまで、仮説・検証の仕方と市場の見極め方について(もちろんこれも僕なんかよりも語るべき人は山ほどいますが汗)、成功事例と失敗事例を交えて、僕の経験を書くことで読者の方々にこうやって考えればいいのかと追体験してもらえるように書いていきます。 

ネットでウケる文章と自分が好きな文章は違う。僕はエッセイが好きなのだが、そんなエッセイをブログで書いてupしてもまずクリックされずほとんど読まれない。(エッセイが読まれない理由は後述しています)

自分の書きたいことをそのまま書いてたくさんの人に読んでもらえたら最高だけど、そんなことなかなかない。広く読まれるためには、その都度ちゃんと市場(時代が求めているもの)に合わせて変化させていく必要がある。

そのためまず今のネットで広く読まれる記事を書きたい!という人は、どんな文章がウケるのかを分析して、どういった要素があればバズるのか、「仮説・検証」をする必要がある。

その上ですごく参考になるのが、中川淳一郎さんの『ウェブで儲ける人と損する人の法則』に出てくる「ネットでウケる11ヶ条」だ。

 

1.話題にしたい部分がある、突っ込みどころがあるもの
2.身近であるもの、B級感があるもの
3.
非常に意見が鋭いもの
4.
テレビで一度紹介されているもの、テレビで人気があるもの、Yahooトピックスが選ぶもの
5.
モラルを問うもの
6.
芸能人関係のもの
7.
エロ
8.
美人
9.
時事性があるもの
10.
他人の不幸
11.
自分の人生と関係した政策、法改正など

これぞ「ネット文脈に合ったネタ」であり、これらの要素が一つでも入っていない限り、今のネットでは読まれないし、拡散もされないと中川さんは断言する。

前置きが長くなったが、では具体的に僕がブログでどう仮説・検証を繰り返し、ネットでウケる文章を探っていったのかを書いていく。 

 

3.自分が扱える「バズの公式」を作る

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成功事例1.

まずネットでウケる文章を書くためにすべきことは、冒頭で書いたことと同じで、「バズった記事の研究・分析」である。バズった文章をたくさん読み込む。そうしたらなんとなく見えてくるものがあるはずだ。

タイトルにエロが入っているとか、感情に訴えるストーリー性がある、サムネイルが「猫」だとか。モテる人モテない人の特徴について書いた記事やまとめ記事、韓国やガリガリ君など。

このバズった記事の共通原則である「バズ要素」を探す。

見つかればあとは実際に「バズ要素」として合っているのか、検証作業だ。まず僕は「エロ」と「ストーリー」を検証することにした。

中川さんの言う「ネットでウケる11ヶ条」の一つである「エロ」は「バズ要素」だと知っていたが、これも後述するが「知っている」のと「実感として理解している」とでは雲泥の差なので、本当に「バズ要素」なのか、試してみることにした。

そこで、「感動的なストーリー性のある記事はシェアされやすい」と、さらにこれに「エロ要素を加えるとさらに拡散されるのでないか?」と、仮説を立てた。

出来上がった記事がこちらである。

 

 

タイトルに書いた通りの話なのだが、中身は幸せ(ポジティブ心理学)について書いていて、「ワンチャンしまくり」と「エロ」要素を入れ、最終的には「彼女一筋になる」という「感情に訴えるストーリー」仕立てにした。

この記事は、ブログ開設してから更新7回目足らずのまったくの無名ブログだったが、バズ要素が二つも入っていたからか、1万pv以上読まれたのであった。

 

そこで次にしたことは、「ストーリー」要素を取ってみることにした。ストーリーのある記事とストーリーのない記事ではどう変わるのかを検証した。 

先ほどの記事が、2つのバズ要素(エロ+ストーリー)×着眼点(ポジティブ心理学)=1万4000pv だったので、ここから物語性を取ってしまい、バズ要素(エロ)×着眼点=??? を試してみることにした。これでもしアクセス数が変わらなければ、ストーリー性はバズ要素ではないことになる。

そこで書いた記事がこちらだ。

 

 結果は、前回の半分の約8000pvだった。おそらく仮説は当たっていて、内容はみんなが興味ありそうな行動経済学についてでなかなか濃い内容だったにも関わらず、ストーリー性がなかったがゆえ、前回と比べそこまでシェアされきらずに終わってしまったのであった。

(ストーリーについて少し触れたが、ストーリーについて詳しく知りたい人は、『アイデアのちから』の中に出てくる「物語性」の部分を読むことをオススメする。アイデアを考える人にとって必読の一冊)

 

このように検証していき、自分が扱える「バズの公式」を作り上げていく。 

・バズ要素(エロ+ストーリー)×着眼点(ポジティブ心理学)=1万4000pv
・バズ要素(エロ)×着眼点(行動経済学)=8000pv


この着眼点という部分がコンテンツ力だと思ってもらっていい。仮にバズ要素をいくつも押さえていたとしても、内容が伴っていなければ拡散なんてされないので、決して内容を蔑ろにしてはいけない。

ちなみにpv数は、これに「自分の影響力」と「シェアしてくれる人の影響力」が掛け算されるので、当たり前だが同じ内容を書いても人によってpv数は違ってくる。同じ内容でも自分より影響力のある人が書けば、1万pvが、3万pvにも5万pvにもなりうる。


「バズ要素」×「着眼点」(コンテンツ力) ×「自分の影響力」=pv

よってこういう式が出来上がる。

 

成功事例2.

僕はエッセイが好きなので、趣味でこういうエッセイを書いている 。

 内容はそこまで悪くないはずなのだが、これが本当に読まれない。ものによっては1万pv以上読まれたのに、これは500pvくらいしか読まれなかった。20倍も違う。20倍面白さが違うのかと言われれば、決してそういうわけでもない。

最初、不思議で仕方がなかった。そこでこんな仮説を立ててみた。

ブログという場(ネット)では、エッセイはウケない(多くの人に読まれない)。なぜなら、主張がはっきりとしていないからだ。タイトルを見て何について書かれるかが明確ではなく、一行目に結論が書かれていない。最後まで読まなければ、言いたいことが全部伝わらない。 

おそらく隙間時間になんとなく読んでいる人の多いネットでは、繊細な表現の文章はブログ(ネット)には向いていないのである。

そこで、「主張がはっきりしていない文章」を裏返すと、「断定的な主張が明確な文章」になる。何が言いたいかというと「断定的な文章はネットでウケるのではないか?」と考えた。

個人的にあまり尖った文章を書くのが好きではないのだが、初めて断定した記事がこちらだ。 

ブログではないが、去年書いたインタビュー記事「ディスカヴァー・トゥエンティワン 干場弓子社長が語る、若者を不幸にしている嫌いな言葉とは」(2016/03/13)では、嫌いな言葉が3つあると干場社長は言う。それが若者を不幸にしているのだ!と語気を強めて言い切っている。

干場社長の影響力や内容が時代とマッチしたのももちろんあるが、記事の意見が非常に鋭かったため、約7万pvも読まれたのであった。ネットでは「意見の鋭い、断定的な文章」が刺さりやすく「バズ要素」の一つなのである。

このようにネットでウケる文章を書きたかったら、「今のネットでは何が求められているのか?」を見極める必要がある。 

 

市場について書かれた名著『マーケット感覚を身につけよう』の著者・ちきりんさんはこう述べる。

「世の中を生き抜く力と言えば、英語力や財務知識、技術や資格など手に職系のスキルを挙げる人が多いのだけど、私はそれらより前に「マーケット感覚」を身につけるコトが、何より大事だと思ってます。

だって今や 20代から 70歳近くまで 50年も働く時代だというのに、そんな長い期間(半世紀も!)役立ち続ける技術や資格なんて存在しないんです。

だから大事なのは、「今、何が求められているのか?」を見極める力なのであって、それこそが「マーケット感覚」と呼ばれるものなのです」

この「マーケット感覚」こそ、「自分にしか書けないウケる文章」を書く上で必要不可欠な力である。


4.仮説が外れたときにすべきこと

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バズるためには共通原則はあっても、必ずバズる公式なんてものはない。次に、これは広く読まれるかなと思ったのに、仮説が外れてしまった時の話をする。

◆失敗事例1.

この記事を見てほしい。

Webでウケるバズ要素の一つに「つっこみどころがある」というのがある。

思わずつっこみを入れてしまうような話題がWEBではウケると言われている。

この記事はタイトルからもわかるように、関西人はことあるごとにつっこんでしまうという内容だ。そのためもちろん文中に「ボケ」がいくつも出てくる。そのボケを綺麗に全部拾ってつっこんでいく。読んでいただいた方達にも「特に最後のオチで思わず笑ってしまった」と言っていただけて、評判も良かった。

なのでつっこみどころのあるこの記事は、少なくとも3000pv、うまくいけば5000pvくらいはいくかなぁと思っていた。しかし、いざ蓋を開けてみたら500pvくらいしかいかなかった。

理由は単純で、つっこみどころがなかったのである。僕は仮説を誤っていた。ボケは各所に散りばめられていたが、自分で全て回収し、最終的に「つっこみどころのないおもしろエッセイ」となっていたのである。

有名人ではない限り、つっこみどころのないエッセイなんてまずネットでは読まれない。つっこみどころの認識を誤っていたと、upしてみてやっと気づくことができた。

 

◆失敗事例2.

その後、改めて仮説を立て直し、「つっこみどころ」のある文章を書いたのがこちらだ。

 こちら先に最後のオチを言ってしまうと「Hな雑誌の袋とじを開けたくなるという行為は、純粋な人間的心理であり、何の恥ずべき行為ではないのだ!」と書いた。

「わろたwwww」と思わずつっこみたくなるようにして、「エロ×つっこみどころ」とバズ要素が二つも入っているので今度こそ1万pvくらいいくかなと思っていた。これは間違いなくバズるぞ!と。

しかし、これがまったくはねなかったのである。

これに関しては本当に衝撃だった。つっこみどころもエロも入れているのになぜ!?と。読んだ人からも面白い!とLINEがきたりもしたのにだ。

このときは仮説が外れたというより、バズの共通原則が狂ってしまった天変地異かのような感覚に襲われたので、UPした次の日すぐにWeb文章について書かれた本を読みあさった。

そうしたら前述した中川淳一郎さんの著書『ウェブで儲ける人と損する人の法則』が出版された3年後に中川さんが書かれた『ネットのバカ』に答えは見つかった。

3年の時を経て、ネットでウケる11ヶ条になんと1ヶ条追加されていたのである。

それは「ジャズ喫茶理論に当てはまるもの」という項目だった。

ジャズ喫茶とは「互いの自己顕示欲がぶつかり合う場所」。ジャズ喫茶に行くような人は自らのセンスの良さを誇りたいという欲求があると中川さんは言う。超メジャーなジャズミュージシャンのアルバムをリクエストすると、「この素人め」とバカにされ、玄人好みのミュージシャンのアルバムをリクエストすると「おぉ!こいつわかってる!」と他の客から思われる。

これが意味することは、「衆人環視の下では、人々は〝イケてる人〟と思われたい」ということである。

この心理が顕著に出るのが、実名制のFacebookだ。匿名であれば、誰からどう思われようがあまり関係がない。匿名なSNSでは、バカげた記事がシェアされがちである。しかし、Facebookのように実名が伴うとそうも言っていられない。

そこで、もう一度僕が書いた記事のタイトルとサムネイル画像を見てほしい。 

 

 

「エロ」は、確かにクリックされる。しかし、Facebookでは拡散されにくい。なぜなら、他人の視線が気になり、人々は〝イケてる人〟と思われたいからである。

例えば、綺麗なお姉さんのハレンチな画像をクリックして、自分にとってドストライクな画像だったとしても、それをシェアするだろうか?と考えてみたら一目瞭然である。家で一人でにやにやしているだけである。

実名でやっている限り、露骨に怪しいタイトルだと誰もいいねしたがらないのである。しかも、この記事のサムネイル画像は実際に「18禁コーナー」の写真を使っている。

これにいいねをすると卑猥だと、周りからバカだと思われるかもしれないと、おそらく読者はひいてしまったのである。

 去年の夏にブログを始めて以来、必ず毎回母親からいいねされるのだが(笑)、現にこの記事だけはいいねされなかったくらいだ。

ちなみに僕のブログはいつもほぼFacebookから読まれている。Facebookで拡散されなかったらまず広く読まれない。そんなFacebookで「いいね」されないので、バズるわけがなかった。

人は、他人の視線が気になる実名制だと、途端に礼儀正しい好青年となるのである。

この記事でただ「エロ」をタイトルに入れればいいというわけではないことを知った。このへんのさじ加減は打席に立って自分で見定めるしかない。 

 

これら2つの失敗事例での学びは、先に仮説を立てて検証したからこそ気付くことができたということだ。

そして、仮に仮説が外れても、その失敗から得た知見でまた仮説を立て直せばいい。「仮説→検証→仮説外れる→情報収集→再び仮説を立てて検証→→(この繰り返し)→→大成功」と、そうすればいつか市場とマッチして、大成功(バズ)が生まれる日が来るはずだ。それまで試行錯誤して打席に立ち続ければいい。 

 

まとめると、

①バズった記事の分析
「バズ要素」を探し出す
バズ要素を入れて、文章を書いてみる
バズらなかったら、仮説を立て直す
再度、検証するため記事制作
自分の扱えるバズの公式を作り上げる 

⇒この繰り返しで、ネットでウケる文章が出来上がる

 

(この記事で散々、仮説仮説言ってきたが、仮説について詳しく知りたい人は『仮説思考』がオススメ。また「バカボンド」「ドラゴン桜」「宇宙兄弟」と数々の人気漫画を担当してきた敏腕編集者である佐渡島庸平さんの『ぼくらの仮説が世界をつくる』も良書。仮説について書かれているのは最初の60ページくらいだが、佐渡島さんが繰り返してきた仮説・検証を追体験できるのですごく面白い)

 

5.無理にバズらせるより、魂をこめた記事

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どうやったらより多くの人に見てもらえるか、仮説の立て方や市場の見極め方について書いてきたが、勘違いしてはいけないが、決してバズることがいいことであるというわけではない。

炎上でもとにかくバズればいいのであれば、バズの可能性を高めることはできるので、その公式をあてはめてやればいい。

しかし、無理にバズらせるよりも、本当に良い記事を魂こめて書いたほうが自分のためになる。

編集プロダクションであるプレスラボ代表の梅田カズヒコさんがこんなわかりやすい例えで、バズる記事について説明していたので引用させてもらう。

芸人で言うと、バズる記事を書く人は、エンタ芸人だと。エンタの神様に出ている人たち、波田陽区ダンディ坂野etc。ただ当然そうなると、一発屋になってしまい寿命が縮まってしまう。なので名前を売るためには早道ではあるけど、あまりいい方法ではない。

逆に長く愛される芸人は、バナナマンおぎやはぎetc。後者の方が視聴者から長く愛される。

このように、本格派芸人になりたければ、良い記事、価値のあると思ったことを発信した方がいい。1つの記事がハマらなくても、やり続けることが大事。

梅田さんは、以前、エレベーターの本を書いたらしい。これはバズりようがない。しかし、テレビがエレベーターの企画を組んだ時、声をかけられるのは梅田さんかエレベーター協会の会長しかいないから、仕事が回ってきたという。

得意ジャンルがあったらそれをやり続け、自分が面白いと思ったものを書く。最初は広く読まれなくても、わかっている人だけに届けばいい。本当に実力がある人は必ず浮かび上がってくるし、必ず評価される。有名になりたいという方は、小手先でバズる記事を書くよりも、長く愛される記事を書く方がいいと言う。


「良い記事」と「バズる記事」は必ずしも同じというわけではないので、自分にしか書けない記事を書くべきだ。 

・「バズ要素」×「着眼点」(コンテンツ力) ×「自分の影響力」=pv

・自分にしか書けないウケる文章=
「自分の書きたいかつ書けること」×「市場を見極める力」

 

この二つの式の、「コンテンツ力」の部分と「自分の書きたいかつ書けること」の部分を決して蔑ろにしてはいけない。むしろここを追究し続けるべきだ。

たった数回のバズで有名になって一発屋で終わってしまわないためにも、文章の基礎体力、地力をつける必要がある。

 

前々回の記事でも書いたが、本当に面白いと自分が思える記事を魂こめて書いたほうが読者には伝わるし、長い目でみたら自分のためにもなるのである。

 

6.マーケット感覚を身につけよう

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そして、マーケット感覚を身につけ、「自分のできること」と「時代が求めているもの」にうまくマッチさせることができるようになれれば、長く活躍し続けることができる。

第一線で売れ続けている芸人さんは、おそらくこれがしっかりとできている芸人なのだろう。一発屋で終わってしまう芸人は、たまたま自分のネタが「時代」(が求めているもの)とぶつかっただけ。意図的に当てたわけではないと、二発目を当てることができずに一発屋で終わってしまう。

そういう意味で、冒頭でこの記事は「バズらせ方の記事」ではないと書いたが、バズで一発屋にならないための、長く売れ続け、長く愛され続けるための「自分にしか書けないウケる文章の書き方」の記事なのである。

いつも炎上しているイメージのはあちゅうさんだが、この市場を見極める力が半端なく鋭いのだろう。だから、自分のできることと時代が求めているものとをぶつけることができ、よく話題になっても一発屋で終わらず、常に時代の最先端に君臨し続けている。

また芸人のオリエンタルラジオは、武勇伝に始まり、チャラ男とインテリ芸人、ラッスンゴレライ武勇伝ver.、PERFECT HUMANと現在までに4回ブレイクしたと言われている。

デビューしてすぐ売れてしまった芸人がどんどんと消えていく中、マーケット感覚を身につけているオリラジ(著書やインタビュー記事などをいろいろと読ませてもらったが、あっちゃんがこの感覚を兼ね備えていて、「次はこれが来る!」と毎回仕掛け、うまく相方の藤森氏を操っているみたいだ)は、一発屋で終わるどころか、何度もブレイクできるのである。

「今の時代、これが求められている!次はこれが話題になるはず!」と市場を見極める力が飛び抜けているオリエンタルラジオ

一方で、時代や視聴者が求めているものではなく、自分が本当に面白いと思ったお笑いを追究しようとする松本人志

www.youtube.com

(松本人志オリエンタルラジオのPERFECT HUMANに一言。この動画を見ると、同じお笑い芸人でも二人がジャンルの違うところにいることがよくわかる)

コンテンツを追究する松本人志と、マーケット感覚が優れているオリエンタルラジオ

(この両者を比べるのはナンセンスかもしれないが) いきなりコンテンツ力とマーケット感覚を両方意識するのは難しいので、どちらが得意かをまず読者は考えたらいいと思う。

自分は時代や流行に敏感で、例えば新しいWebサービスができたら使わずにはいられず、また実際に自分で新しいものを作ったり発信したい。オリエンタルラジオのように、時代が求めているものに、自分のできる得意なことをマッチさせて、話題を作りたいタイプなのか。

それとも広く一般にはウケないかもしれないが、職人的に自分の好きものについて深く掘り下げて極めたい。松本人志が撮る映画のように、視聴者から「よくわからない」と言われる可能性はあるが、それでも自分が本当に面白い!と思ったものをとことん作っていきたいタイプなのか。


自分にしか書けないウケる文章=「自分の書きたいかつ書けること」×「市場を見極める力」

「自分の書きたいかつ書けること」のコンテンツ力をひたすら極めるのか、「市場を見極める力」を上げて時代とマッチしたものを作っていくのかは、ここは得意不得意があると思うので自分と向き合った上で、楽しんで好きに書ける方をまずは選んだらいいと思う。

 

7.「バズの公式の作り方」ではなく「公式そのものの作り方」を学ぶ

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「バズ要素」×「着眼点」(コンテンツ力) ×「自分の影響力」=pv

先ほどこの公式を紹介したが、書く記事書く記事バズらせる凄腕WEBライターのよっぴーさんが言う、

「広さ」×「深さ」×「距離感」=pv

というバズるコンテンツの方程式も、WEBで文章を書く上でかなり参考になる。これも組み合わせて考えるべきなので、よっぴーさんのインタビュー記事を簡単にまとめておくので参考にしてみてほしい。


「広さ」とは「どのくらいの人たちのためのコンテンツなのか」。

例えば、山梨に取材に行って記事を作ると、それを読んで嬉しいのは、基本的に山梨の人だけ。しかし、そこに「東京から一時間で行ける!」と書くと、東京の人も巻き込める。そうやって記事の対象を広くする。

「深さ」はそのコンテンツに対して、「どれだけ思い入れ、熱量があるか」。

仮にごく少数の人にしか興味を持たれないことでも、その人たちにとってめちゃくちゃ深く刺さると、局所的に数字が取れる。よっぴーさんが書いた「Windows95ノマドする」という記事の対象は狭いが、Windows95を使っていた世代はみんな思い入れが強いから深く刺さる。

最後に「距離感」について。受け手に感じさせるコンテンツの「距離感」で、感情の動きや共感の度合いがまったく変わってくる。

近いと感じられる方が関心を持ってもらえる。例えば、テロの報道。レバノンよりフランスのテロの方が日本では話題になる。日本人にとって、レバノンよりフランスの方が心理的距離が近いのである。

他には、ユーチューバーのHIKAKINさんは、この式だと「広さ」も「深さ」もそんなにない。しかし、距離感がめちゃくちゃ近い。カメラの前で話してくれる。ニコ生主とかも。だからウケるのだと言う。


1.自分にしか書けないウケる文章=「自分の書きたいかつ書けること」×「市場を見極める力」

2.「バズ要素」×「着眼点」(コンテンツ力) ×「自分の影響力」=pv

3.「広さ」×「深さ」×「距離感」=pv

いくつか公式を紹介してきたが、こういう公式を自分で作れるようになれれば、おそらく何をやってもある程度の結果がついてくる気がする。

そういう意味で、狭い範囲で「バズの公式の作り方」ではなく「公式そのものの作り方・考え方」を紹介できたらなと思って本記事を書くに至った。こういう公式を自分で作り上げるために、まずちゃんと打席に立って仮説検証すべきだ。

もしかしたらこの式は間違っているかもしれない。しかし、仮に間違っていたとしても、それが間違っていたとわかるのはあらかじめ仮説を立てて検証したからであって、その時はまた情報収集して再度仮説を立てればいい。そうしたらより正確な公式ができあがる。

前述したオリエンタルラジオの「PERFECT HUMAN」も曲を出していきなり話題になったわけではなく、リリース6曲目だということ知っておくべきだ。全然話題にならなかった過去5曲での失敗からの得られた学びを無駄にしなかったのだろう。すべては失敗から始まり、仮説・検証を繰り返していくことで、少しずつ成功に近づいていくのである。 

 

8.マーケット感覚を養うべき本当の理由

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1.「こういうのを書きたい!」かつ「自分でも書けそう!」という文章の教科書を見つける
2.「今、ネットで何が求められているのか?」を分析する
3.自分が扱える「バズの公式」を作る
4.仮説が外れたときにすべきこと
5.無理にバズらせるより、魂をこめた記事
6.マーケット感覚を身につけよう
7.「バズの公式の作り方」ではなく「公式そのものの作り方」を学ぶ
8.マーケット感覚を養うべき本当の理由

(再度、目次)


自分にしか書けないウケる文章=「自分の書きたいかつ書けること」×「市場を見極める力」

ネットでウケる文章を書きたかったら「今、ネットで求められているもの」を理解する必要があると書いた。そして「マーケット感覚」と「自分のできる好きなこと」とをマッチさせることで長く愛され続けることができると説明してきた。

では最後に、なぜこのマーケット感覚を養った方がいいのか、僕が思う本当の理由について書かせてもらう。そのために改めて少し市場について書かかせてほしい。

市場が求めるものとは、突き詰めれば時代が求めているもの。前述した『マーケット感覚を身につけよう』の著者・ちきりんさん曰く、時代が変わり、所属していた組織が沈み、人生が100年になっても、マーケット感覚を身につけることができたら一生生きていくのに苦労しないと言う。「ブログでアクセス数を集める」というのも典型的な市場型の経験であると。 

ブログで文章を書くだけで、例えば、自分の書いた記事をシェアしてくれている層から判断すると、男性ウケする文章と女性ウケする文章の違いがわかってくる。

 

 僕が書いたブログの中で、この二つが特に女性ウケが良かった記事だ。

二つに共通していることは、「ストーリー」で「感情」に訴えているということ。

もちろん女性の方が感情的だと知っている人は山ほどいる。しかし、単に「知っている」のと、経験に基づいて「実感として理解している」とでは雲泥の差である。

女性には感情に訴えた方がいいと知っている人でも、じゃあ実際に「女性に刺さる文章を書いて」と言われると、実感として理解していないなら書くのは難しいだろう。

 

一方で男性ウケの良かった記事はこちらだ。 

 この二つに共通しているのは「学術的」な内容であるということ。ストーリー性はなく、非常に論理的な文章である。

一時期、『錯覚の科学』や『選択の科学』といった『〇〇の科学』といったタイトルの本が多く出版されていたが、これはおそらく圧倒的に男性の方が売れているのだろうと予測できる。(調べていないので間違っていたらすみません) 

一方で、女性は「科学」よりも「心理学」の方が好むし、女性層を取り込みたかったら『錯覚の科学』よりも『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』のようなタイトルがいいのかもしれない。 

また一般的に、女性は「恋愛・美容」に関心が強く、男性は「仕事・成功・お金」に興味があると言われている。

女性ウケした「"ワンチャン"しまくり100人斬りした慶應ボーイが、彼女一筋になった話」 (2016/10/10)は「恋愛」の話でもあるし、男性ウケが良かった「風俗嬢は彼氏にただでセックスさせるのか」(2016/11/07)は「お金」の話でもある。

「ブログでアクセス数を集める」という典型的な市場型の経験をすることで、単に知っているではなく、やっと実感として理解することができた。

僕が3年前に書いていたブログは、感情に訴えることが多かった。そのためか女子大生からファンレターをもらったこともあった。

一方で、学術的な内容である「風俗嬢は彼氏にただでセックスさせるのか」(2016/11/07)の記事で、女子大生からファンレターをもらうことはまずありえない。なぜなら、若い女性に刺さる内容ではないからだ。

この記事をUPした後、▲▼会社の代表取締役といった人には何人かありがたいことにフォローしていただけ、年齢層の高めのビジネスマンのウケは非常に良かったが、若い女性からの反響はほとんどなかった。

こんな風に何回か文章を書くだけで、どんな層にどんな文章が刺さるのかが見えてくる。もし、セールスマンがセールスレターを書かなければならなくなったとき、この男女や年齢の違いを理解していれば、層に応じて刺さる文章を書き分けることができる。より多くのお客さんに想いを届けることができるかもしれないのである。

 

◆「ブログくらい好きなことを書かせてくれよ」と思うあなたへ

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しかし、マーケットのことを考えないで、ブログくらい好きなことを書かせてくれよと思うかもしれない。先ほど本格派芸人になりたければ、良い記事、価値のあると思った好きなことを発信した方がいいと言ったばかりではないかと。

プロブロガーではない限り、確かにそれはもちろんそうだ。しかし、ブログに自分の想いなり主張を書く以上、人の目に触れるし、人に見てもらいたいからブログで書いているはずだ。人に見てもらいたくないのなら日記でいいのだから。

人に見てもらう以上、より多くの人に自分の書いた文章が読まれ、もっと言うと自分が書いた文章によって、人を感動させたり、より良い方向へ読者の行動を促すような文章であるべきだと思う。

『ヤフー・トピックスの作り方』(奥村倫弘)に、セルビア共和国コソボ自治州が、同共和国からの独立を宣言したとき、ヤフーニュースはこれを取り上げたと書いていた。

しかしこの記事は、バズ要素が入っていなかったから、ほとんど読まれなかったそうだ。ヤフー・トピックス編集部内では、読まれていないからコソボは独立しなかった」と揶揄されたと言う。

これは非常に身につまされる話で、他人事とは思えなかった。というのも僕もコソボが独立しなかった」ことがあったからだ。

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大学1年生の頃、サークルでフリーペーパーを制作していた。そこで生まれて初めてコラムを書いた。個人的に初めてにしてはよく書けたと思っていた。なので当然、周りからの反応はいいものだと思っていた。

しかし、いざ蓋を開けてみるとサークルの身内ですらほとんど誰も読んでいなかったのである。僕の書いた文章なんて誰も読んでくれてないんだってことに気づいて、悔しく悔しくて涙が出そうになった。コソボが独立しなかった」ように、誰も読んでいなかったゆえ、僕の初めてのコラムデビューは事実上なかったことに、「コラム童貞」とされてしまったのであった。

それから文章に対する考え方が変わった。ちゃんと読者を意識するようになった。書き終えたから「はい、終わり!」ではなく、読者にちゃんと届くまでが仕事であると。

具体的にどう変えていったかは割愛するが、これが僕の文章を書く上での原点だ。今でも「自分の書いた文章なんて誰も読んでくれない」と思って書くようにしている。

これが市場を意識するようになったきっかけだ。周りが何を求めていて、どういった文章がより読まれるのかを考えるようになり、少しずつだが読んでくれる人が増えてきた。 

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文章を書き始めて7年が経つ。今までに自分より面白い文章を書く人を腐るほど見てきた。毎日毎日、山ほど出版される書籍の数々。本屋へ行って新刊を手にする度に「わざわざ僕が文章を書く意義なんてないんじゃないか」と思って書くのをやめてしまおうかと思ったことは何度もあった。

しかし、こんな僕でもある年の暮れに便箋7枚ものブログのファンレターをもらったことがあった。そこには「今年は辛いことばかりで何もうまくいかなかったのですが、森井さんのブログを読んで元気になれました。来年は諦めかけていた夢を掴みにいこうと思います!」と書かれていた。

嬉しく嬉しくて、こんな風に読んでくれている人が一人でもいる限り、どんなことがあっても書き続けようと誓った。

「自分にしか書けないウケる文章」に必要な「自分の書きたいかつ書けること」と「市場を見極める力」について今回長々と書かせてもらったが、

「読者」を意識することによって、読者がプラスの方向へ進むことのできるような文章になるかもしれない。それは読者にとって、忘れられない宝物のような記事になるかもしれない。 

そうなれば、読者にとってだけでなく、自分にとってもとてもかけがえのないことになる。これがマーケット感覚を身につけるべき本当の理由だと僕は思っている。

そんな文章を書いて、読者から感謝された時はすごくすごく嬉しい。それはいつまで経っても慣れることのない喜びであり、何より文章を書いていて本当に良かったと思う瞬間なのだ。 

 

 

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■オススメ書籍

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

 

 仮説の立て方について詳しく知りたい方はこれがオススメ。

ぼくらの仮説が世界をつくる

ぼくらの仮説が世界をつくる

 

 最初の60ページくらいだが、佐渡島さんがどうやって仮説を立てて検証してきたのか追体験できる良書。

 本文でも紹介したちきりんさんの市場について書かれた本。

アイデアのちから

アイデアのちから

 

 人の記憶に残るアイデアを6つの法則で説明する本書。これは本当にオススメ。アイデア考える人は必読の一冊。

ネットのバカ (新潮新書)

ネットのバカ (新潮新書)

 

 ここに書かれている「ネットでウケる12ヶ条」はぜひ知っておきたいところ。

ブランド「メディア」のつくり方―人が動く ものが売れる編集術

ブランド「メディア」のつくり方―人が動く ものが売れる編集術

 

本文では紹介しなかったが、この本もかなり良書。中川さん直伝の「PVの取れるニュースの方程式」が書かれている。 

ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)

ヤフー・トピックスの作り方 (光文社新書)

 

 「コソボは独立しなかった」

1000冊以上読破した僕が〝文章の教科書〟として薦めるとっておきの9冊

前回こちらで、大好きなブロガーさんや良記事を紹介しながら、自戒をこめて名文とはこういうものだ!という記事を書きましたが、今回は僕が文章の教科書としている本を紹介します。

■文章の師匠が見つかれば、半分成功したようなもの

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1.毎月新聞 (佐藤雅彦)

毎月新聞 (中公文庫)

毎月新聞 (中公文庫)

 

まず紹介する一冊目は、佐藤雅彦さんのコラム集『毎月新聞』

趣味で文章を書き始めたばかりの大学1年の春、BOOKOFFたまたまこの一冊を見つけた。

「僕が書きたかったものこれだったのか…!」と衝撃を受け、文章の書き方のイロハをまったくわかっていなかった僕は「こうやって文章を書けば、面白くなるのか!」と大興奮だった。

 ちょうどその日、家でむさぼるように読んでいたら、東日本大震災が発生した。地震から数時間後、夜がやってきた。

停電していたので家の中は真っ暗闇だったが、この『毎月新聞』をどうしても読みたくて、初めて〝月の光〟で本を読もうとしたのだ。「蛍雪の功」という慣用句があるのを思い出して、蛍の光で勉強できるなら!と意気込んだが、暗くてまったく読めなかった。月の光ではまず本は読めないことを悟ったのだった。

佐藤雅彦さんの本では『考えの整頓』もオススメ。僕のブログ名「思考の整頓」はここから拝借したくらい影響を受けている。

 

「20代のうちに、師匠が見つかったら人生半分成功したようなもの」と聞いたことがあるが、文章を書き始めたばかりの頃、佐藤雅彦さんの本に出会えてから、めきめき文章が書けるようになった。

中学生でもわかるような平易な日本語で、それでいて何度読んでも発見のある鋭い着眼点。6年前から今でも変わらず僕の師匠だ。

 

佐藤雅彦さんに影響されて書いた記事↓↓
「幸せの閾値と、子どもの世界が終わるとき」(2016/09/12)
「"鼻くそ学級会"と電通社員の自殺について思うこと」(2016/10/24) 

 

2.絶叫委員会 (穂村弘)

絶叫委員会 (ちくま文庫)

絶叫委員会 (ちくま文庫)

 

歌人穂村弘さんのエッセイ集。穂村さんの本に出会うまでは、一切エッセイを読んだことがなかった。まるで興味もなかったのだが、そんな僕のエッセイ観を変えてくれたのがこの一冊。芥川賞作家・又吉さんも、この穂村さんのエッセイを読んで、エッセイに対する見方が変わったと著書で絶賛していた。

「そうそう、それ俺のことだよ!」と代弁してくれる穂村さんの文章で、初めてエッセイが面白いと思った。僕のエッセイの師匠は穂村弘さん。『整形前夜』などもオススメ。

 

↓↓こういうエッセイを書くきっかけになった人。
「平和なキキまちがい」(2016/09/19)
「美容院は、子どもを大人にする通過儀礼のようなものだ」(2016/09/26)


3.天才! (マルコム・グラッドウェル)

天才!  成功する人々の法則

天才! 成功する人々の法則

 

ビジネス書一冊書くのにいったんどれだけの取材をしているのだろうと唸らされた一冊がこちら。本作りの鏡だ。

本書は、どんな才能や技量も、一万時間練習を続ければ“本物”になれる「一万時間の法則」など、「成功」の要素を“個人の資質”だけでなく、周囲の環境や文化的な側面から考察した、いわば「21世紀の成功論」である。

一見とっつきにくい学術的な話を、わかりやすくストーリーに載せて語る著者の筆致は凄まじい。学術的な内容で本来なら読みにくいだろうところがものすごく面白く仕上がっている。

学術的な内容をストーリー仕立てにしている文章に憧れて、よく僕も研究結果を引き合いに出してブログを書かせてもらっている。それはこのマルコム・グラッドウェルの影響。3人目の文章の師匠だ。

他にも『逆転!』『第1感』『急に売れ始めるにはワケがある』もオススメ。 

 

マルコム・グラッドウェルに影響を受けて書いた記事↓↓
「風俗嬢は彼氏にただでセックスさせるのか」(2016/11/07)
「18禁コーナーに入りたくなる心理を考察したら、ある一つのことがわかった」(2016/11/21)
「M-1グランプリで生まれる「笑いの爆発」の正体とは」(2016/12/03)


■文章の面白さ=体験×思考力~体験の極限は命を懸けるということ~

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4.詐欺の帝王 (溝口敦)

詐欺の帝王 (文春新書)

詐欺の帝王 (文春新書)

 

 5.謎の独立国家ソマリランド (高野秀行)

謎の独立国家ソマリランド
 

普段文章を書いていない人で、おぼつかない文章にも関わらず、読んでいて面白い!と思う記事に出会うことがある。それはたいていその人の体験がぶっちぎりに面白い場合だ。その人が体験したことが稀有な体験なので、仮に文章技術がなくても、それをそのまま文章にしただけで興味深くなる。 

文章の面白さ=「体験」×「思考力」×「文章力」

だと思っているのだが、仮にはっとさせるような着眼点で切り込む「思考力」や、何気ない日常の話を最後まで読ませる「文章力」がなかったとしても、「体験」が今まで見たことも聞いたこともないようなことだったら、自然と文章は読みたくなる。つまり、人がしない体験をすることで、思考力を補えるのである。

その「体験」の究極形、行き着く先が「命を懸ける」ということだと思う。命を懸けて書いた文章が面白くないわけがない。

 

前置きが長くなったが、上記の二冊、ノンフィクション作家の溝口敦さんと高野秀行さんはまさに命懸けで取材を行っている。 

溝口敦さんといえば、泣く子も黙る極道取材の第一人者。その溝口さんが、裏社会について取材を進めるうちに、つい六年前まで詐欺業界の周辺で「オレオレ詐欺の帝王」といわれていた人物に出会う。その人物から現代社会の闇を暴く一冊が『詐欺の帝王』だ。

また暴力団山口組の組長交代をめぐる記事の執筆を続けたことで、激怒させ、溝口さんの長男が刃物で刺されるという事件が起きた。それでも闇を暴き続ける姿勢は脅威すら感じる。

 

一方、終わりなき内戦が続き、無数の武装勢力や海賊が跋扈する「崩壊国家」ソマリア。その中に、独自に武装解除し十数年も平和に暮らしている謎の独立国があるという。それが「謎の独立国家ソマリランド」だ。 

ソマリアは有名な話だが、海賊がでる。その海賊に身ぐるみをはがされないために、海賊を雇わなければならないらしい。高野さんは、「先にお金を取られるか後で取られるかだけの違いだ」と笑いながら語っていた。なんだ、このリアルワンピースの世界は。

もう一度言うが、危険を顧みず行った取材が面白くないわけがない。 

 

あとノンフィクションなら『理系の子』『紙つなげ!』も好きだ。

(ブログでノンフィクションを書いたことはないので今回は関連記事なしです) 

 

■流派の違う師匠に弟子入りする

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6.秒速5センチメートル (新海誠)

これは個人的な好みの話になるが、新海誠さんの『秒速5センチメートル』の小説からモノローグや情緒的な文章の書き方を勉強させてもらった。「君の名は。」とは違った面白さがある。

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5年前にインタビューさせてもらったときのサイン。学生の頃、好き過ぎて自分で事務所に電話し、想いの詰まったメールを送りつけ、インタビューさせてもらった。「何があっても生き続けよう」と思う。

 

関連記事↓↓
「"ワンチャン"しまくり100人斬りした慶應ボーイが、彼女一筋になった話」 (2016/10/10)

「 20歳の渋谷系ギャルが教えてくれた大切なこと」 (2016/11/28) 

 

7.まにまに (西加奈子)

まにまに

まにまに

 

西加奈子さんのおもしろエッセイ集。

人に本を紹介するときは、当然〝面白い本〟を紹介するわけだけど、僕の中で〝面白い本〟の一段上があって(ドラゴンボールで言うスーパーサイヤ人を超えたスーパーサイヤ人)、誰にも教えたくないとっておきの一冊のことだ。

でもさらにその上があって(ドラゴンボールで言うスーパーサイヤ人を超えたスーパーサイヤ人のさらに上のスーパーサイヤ人3)、そこまでいくと感動で誰かに伝えずにはいられなくなる。

それがこの一冊で、これが本当に面白い!

こんなに読んでいて声を出して笑ったのは初めてかもしれない。この『まにまに』から何気ない日常を笑いに変える文章の書き方を学んだ。

 

西さんに影響されて書いた記事↓↓
・「右足と私、どっちが大事なの。」 (2016/10/17)
・「関西人はツッコミでいつも忙しい」 (2016/11/14) 

 

僕は小説をほとんど読まないので小説のことはよくわからないけれど、コラムやエッセイ、ノンフィクションならこういう本が好きだ。

僕のブログをよく読んでくださっている方なら気付いているかもしれないが、書く文体がよく変わる。これは流派の違う文章の師匠が何人かいて、それぞれに合わせて書いているからだ。

コラムなら「佐藤雅彦流」で、エッセイは「穂村弘流」、笑ってほしいような文章を書きたい時は関西弁バリバリの「西加奈子流」といった感じになる。

だから書く内容によって文体が変わる。そうやっていろんな流派の文章を取り入れて組み合わせることで、自分だけのオリジナルの文章になっていくのだ。


■文章術の本30冊以上読んで、本当にオススメする2

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8.20歳の自分に受けさせたい文章講義 (古賀史健)

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

20歳の自分に受けさせたい文章講義 (星海社新書)

 

 9.早大院生と考えた文章がうまくなる13の秘訣 (近藤勝重)

早大院生と考えた文章がうまくなる13の秘訣

早大院生と考えた文章がうまくなる13の秘訣

 

文章を書き始めて7年くらい経つが、最近はまったく文章術の類の本を読まなくなっていた。文章術本は腐るほど出ているが、結局、書き方の本をいくら読んだところで、文章はうまくならないからだ。

ただ、この記事を書くにあたって、もう一度自分の文章をゼロから見つめ直そうと数十冊読んでみた。昔読んだのも入れると今までで30冊以上読んだことになる。

ライターの学校のようなものには通ったことがないので、すべて本から独学で学んできた。どの本もオリジナルな部分は全体の1割くらいで、他は似たようなことが書かれているのでさくさく読めてしまうのだが、読むのが2回目にも関わらず『20歳の自分に受けさせたい文章講義』だけは途中で読めなくなってしまった。

考えさせられてしまったからだ。

「あのとき書いた文章、どう書いたらもっと良くなったか」「ここまでしっかりと考えて書けていなかった」と反省させられてしまった。

書いていること自体はとても平易で読みやすいが、いつもの3倍くらい読むのに時間がかかってしまった。そんな本なかなかない。文章の心構えはこの一冊で決まりだ。

あと上阪徹さんの『書いて生きていくプロ文章論』『いますぐ書け、の文章法』(堀井憲一郎)も良書。

 

ただ、心構えを聞いたところで文章はうまくならないので、1、2冊これは!というのを読めば、あとは実践あるのみ。 

実践で一番役立った本は、近藤勝重さんの『早大院生と考えた文章がうまくなる13の秘訣』

「書き方の本をいくら読んだところで、文章はうまくならない」と言ったが、唯一読んだだけで(読んでちょっと実践するだけで)文章がうまくなった本がこれだ。衝撃だった。

エッセイを書きたい人ならこれは絶対に読むべきだと思う。近藤さんの著書だと『書くことが思いつかない人のための文章教室』もオススメだ。これを読むだけで、本当にエッセイが上手に書けるようになってしまう。正直のところ紹介したくない一冊だ。

 

また、最近生まれて初めて手紙を書いた。手紙の書き方がまったくわからなかったので、水野敬也さんの『たった一通の手紙が、人生を変える』を読んでみた。

水野さんの徹底的な相手を喜ばせるという姿勢を学んだ上で書いたからか、手紙を送った相手から「たった一通の手紙であんなに笑えて感動できることってなかなかない」とすごく喜んでもらえた。手紙を書こうと思っている人はぜひこの本を参考にしてみてほしい。きっとより伝わる、相手に喜んでもらえる文章になると思う。


■文章力を上げるためには「読む、書く、体験する」

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いくら文章術の本を読んだところで、結局は書かないと文章はうまくならないし、前回「こんな読んだ人の血肉となるような魂のこもった文章を僕は読みたいのだ」(2017/01/09)こちらで、本当にこれを書きたい!という想いがあれば名文になると書いた。

あとすべきとしたら、ガツンと殴られるような感覚を与えてくれるここで紹介したような良書を読むことだと思う。

特にどんな本を読むと良いかと言うと、「みんなが読まない本」がいい。みんなが読まないというだけで、その本に書かれている情報に希少価値が上がり、優位性が生まれるからだ。

では「みんなが読まない本」とは、どんな本かと言うと、「高価で分厚い本」、つまり「翻訳書」だ。しかも翻訳されて日本にやってきている時点である程度内容は保証されているので、良書である可能性がかなり高い。

人は「知らなかったことを知る」とき面白いと思う。そして知らなかったことを知ったとき、人は何かが変わった感じがする。

読者の貴重な時間をいただいて自分の書いたものを読んでもらうなら、読んだ後、読む前と比べていい意味で「何かが変わった」と思ってもらわなければならない。そのためにもみんなが読まない本を読んで、みんなが知らない情報を知っておく必要があるのだ。

①「みんなが読まない本を読む」
②「ひたすら書く」
③「人がしないユニークな体験をする」

文章上達はこの3つに尽きる。近道はない。  

 

 

■関連記事

こちらの記事では、本ではなく大好きなブログを紹介しています。こちらもどうぞ!

 

 

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こんな読んだ人の血肉となるような魂のこもった文章を僕は読みたい

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新年一発目のブログということで、大好きなブロガーさんや記事を紹介しながら、今回自戒を込めて、大変恐れ多いのですが失礼承知で、「こういった文章が読みたい!」と「文章」について書かせてもらおうと思います。

 

昨年末、DeNAWELQ騒動がありましたが、最近どうも魂の込もっていない記事が、イケダハヤトさんやはあちゅうさんの劣化版みたいなブロガーが増えた気がします。

無駄にタイトルで煽られた魂の込もっていない文章は、確かにクリックしてしまうかもしれないけれど、一度読まれたらそれっきり。二度と読まれません。

毎日、読者のことを意識されていない似たような記事が作られ、消費される。誰が書いても同じような記事になるなんて、そんなの文章じゃない。

イケダハヤトさんもはあちゅうさんもおそらく今まで数千冊という読書量と経験値があります。そんなバックボーンのある人達が書くから面白いのであって、ただの素人が変に煽って書いても何も心動かされません。

今まで何百何千と読んできたバックボーンを感じさせるような、そんな深みのある文章を魅せてほしいし、僕は読みたいです。いろんな背景が成せるはっとさせられるような着眼点が、読んだ人の血肉となるような一文が欲しいのです。

まずそんな凄まじい筆力のブロガー3人を紹介します。


■数千冊のバックボーンをひしひしと感じるブロガー3選

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1.β2

「フェンスを外す人」(2012/02/27)
「パチンコとアバクロの類似点」(2011/04/20)


一人目はβ2さん。着眼点と説得力のある文章が凄まじい。

確か5年前にこのブログの存在を知って、こんな鋭い着眼点の文章を書けるようになりたくて、ブログの記事を印刷して構成や文章のリズムを必死に研究していた。

ここ最近の記事は、数年前と比べたら切れ味が落ちている気がするが(上からでほんとすみません…)、ものすごく影響を受けた、憧れであり目標のブロガーさんの一人。


2.真顔日記 (上田啓太)

 こう毎週毎週ブログを更新していると、ネタが無くなってくる。何かのハプニングで起きたそのまま文章にしても面白いことって、実際なかなか起こるもんじゃなくて。

だからこそ誰もが見ている何気ない日常をいかに「面白く切り取れるか」「そんな見方・切り口あったのか」と提供できるかにかかってると思っていて。真顔日記の上田啓太さんのなんてことない日常を、ふざけたテンションでここまで書ききる文章力に脱帽。

先週SP番組でやっていた文筆系トークバラエティ「ご本、出しときますね?」朝井リョウさんが、「世の中には、いろんなことが起きていることを面白く書く人と、何にも起きていないのにその人が書くだけで何も起きていない世界を美しくできる人の2種類いる」と言っていたが、真顔日記の上田啓太さんはまさに後者。例えば、同居している女性とのスーパーでのなんでもない買い物風景が上田啓太さんの手にかかればぱっと輝き出す。

そして何よりただ面白いだけではない。一見なんとなく読むと最近流行りのおもしろおかしく書けるライターさんなのかなと思われがちだが、この方の文章からは何千冊という読書量のバックボーンを感じさせられる。だからオススメなのだ。


3.「ウケる日記」 (水野敬也)

僕が紹介するまでもないと思うが、一番好きなブログの一つでもあるので改めて紹介させてほしい。

水野さんと言えば、下ネタでおもしろおかしく赤裸々に自分を曝け出している文章を書いている。これももちろんめちゃくちゃ笑えるのだが、水野さんの真骨頂は「これだけは伝えたい!」という凄まじい熱量のある文章にこそあると思う。

どうやったら天才を倒せるか、天才と本気で闘ってきた水野さんだからこそ書ける文章。説得力はもちろん、感動すら覚えた。

これなんかピクサーのジョンラセター愛がすごい。熱量のある文章はどんな長文でも最後まで読んでしまう。


■死ぬまでにこれだけは伝えたい!という想いが名文とする

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では何百冊、何千冊と読んだことない人は文章を書く資格はないのか、とここまで読んできた人は思うかもしれないが、もちろんそんなことはない。

「その人にしか書けない」文章を読みたいのだ。

仮にそこまで膨大な知識がなかったとしても、その人にしか書けない、魂を注ぎ込んで、死ぬまでにこれを伝えたい!という想いさえあれば、文章のプロじゃなくても自ずと名文となる。

そこで、今度は、これは名文だ!というものを、あえて著名人ではなく、身近な僕の友人や先輩が書いた記事を選ばせてもらった。なので必ずしも文章を書くプロというわけではない。しかし、熱い想いがこもっているので、その人にしか書けない名文なのは間違いない。


◆思わず嫉妬し唸らされた記事4選+α

1.「自分の声との向き合い方」(2015/11/17)

まず埼玉でアナウンサーをやっている塩原桜さんの記事。

内容は、コンプレックスである自分の低い声から一時は逃げようとするも、あるきっかけを経て、しっかりと自分と向き合うことを決意した時の話だ。

彼女が書く文章をこのとき初めて読んだ。何気なく読み始めたのだが、思わず衝撃を受けた。いや、正確には嫉妬した。非常に力のある筆致で、なんて魂がこもっているんだと唸らされた。

この文章は、自分にしか書けない自分の心で感じたことを、借り物ではない自分の言葉で、かつ誰にでもわかる言葉で書いてあるから伝わるのだろうなぁと思った。

 

2.「高尚な散歩道」(2013/5/13)

2人目は、学生時代一緒にフリーペーパーを制作していた先輩のブログから。
子ども頃に遊戯王カードは、お金持ちが勝つゲームだ」と気付き、興が醒めたと言う。一方で、地元の友達の高校に行かない理由が、お金がないからだと知り、悲しくなる。大学に行く余裕がない、行く必要がない。理由はいくらでもあるが、それぞれに、本当にそれぞれの事情がある。だからこそ、歯痒さを感じてしまったという話。

今さらこんな記事引っ張り出しくるなよと怒られそうだが(笑)、考えさせられるすごくいい文章だ。


3.「おおかみこどもと腹式呼吸。」(2012/09/19)

3人目は、某大手広告代理店でコピーライター(Facebookを見ていると、ヤングカンヌの日本代表として選ばれたりと大活躍されているみたいです)をやられている大学の先輩。武田さとみさんの学生時代に書かれたブログ。

これまただいぶ前の記事で勝手に紹介して怒られそうですが(汗)、僕は好きな記事をEvernoteに保存していて、この記事を書くにあたってあらためていろいろと読み返してみたが、やっぱりいい文章だなぁと思ったのがこの武田さんのエッセイ。

映画「おおかみ子どもの雨と雪」を観ていない人には少しわかりにくいかもしれないが、自分が弟と喧嘩した日のことをこの映画になぞらえて書いている。これ以上は何も言わないので、とにかく読んでみてほしい。

何度も何度も読み返したくなる。声に出して読みたくなるようなこんなに綺麗な日本語は久しぶりに読んだ。

  

上記で紹介した3つの記事はどれもネットでバズりそうにない記事で、実際ほとんど身内にしか読まれていないと思うが、想いが伝わってくる素晴らしい文章だと思う。


4.「【漫画】大学受験編/アルファベット乳の今まで言えなかった話。①②」(2016/11/20) (山科ティナ)

女子大生漫画家の山科ティナさんの昨年末話題になっていたブログ。

知り合いではないが、想いのこもったブログ(漫画)を書く人だなぁと最近知って、急遽4人目に追加させてもらった。 

タイトルにあるアルファベット乳とは、A~Jカップの女の子を主人公にした4コマ漫画。その誕生秘話が書かれている。↓↓から読めます。

 漫画家志望で、自伝的マンガを描きたい人は多くいるが、大半はこういうところを見られたいと過去を美化して描いてしまって失敗すると聞く。自分の一番知られたくない恥ずかしいところを描かなければ読者には響かない。

この記事はまさに山科ティナさんが、読者に知られたくないであろう大学受験に失敗し、周りを羨んでいた頃の話が赤裸々に描かれている。自分の知られたくない過去を曝け出しているからこそ、その時の感情がまざまざと伝わってきて、思わず引き込まれる。 

あらゆるコンプレックスは、漫画や文章を書くにあたって大きな財産になると、この山科ティナさんのブログを読んで気付かされた。

 

[番外編]

5.絵描き きしおかみさ子

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最後は番外編としてブログではないが、友人のきしおかみさ子さんの絵を紹介する。

女子中高生(大学生も?)を中心に圧倒的に支持されているハートウォーミングな絵を描くきしおかみさ子さん。本人の人柄の良さが絵に滲み出ていて、思わずほっこりさせられる。絵はもちろん素晴らしいのだが、ブロガー目線で言うと、きしおかみさ子さんの言葉も注目すべきだと思う。

(「頑張ることも、頑張らないことも、大切。まえ、うしろ、した、うえ。どこを向いてもきみがそれを前だと信じることが大切。きみの頑張りは伝わってます」個人的にこれが好き)

WEBで文章を書くにあたって「タイトル、サムネイル画像、一行目、オチ」の4つの部分を特に力を入れるべきところだが、まず読者が最初に目にするところがサムネイルの画像だ。

2000字の文章が、一枚の絵と一言に負けるときがある。一瞬でたくさんの人に響く言葉を、きしおかみさ子さんの絵から学べる。

それは何より絵と言葉にたくさんの想いが詰まっているからだ。ただ可愛い絵を描いているからバズっているのではない。「だれかの明日を変えたい」「弱っている人に手を差し伸べてあげたい」というきしおかみさ子さんの想いの強さこそが、人気の秘訣であり、他のバズっている絵描きと一線を画すところだ。


■生涯の宝物としての文章

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作家・井上靖氏がこんなことを言っていた。

「自分の心を揺さぶられた文章がある。骨董品のように、それを大切にしている。私の集であるから、私だけにその価値と美しさが判り、他人には通用しないものかも知れない。心を揺さぶられた文章を生涯の宝物としてしまわれたい」


きっと魂のこもった文章とは、そういうことなんだと思う。

ここで紹介した文章は、何かの折りに触れた瞬間思い出すことがある。

アナウンサーの友人が書いた「自分の声との向き合い方」(2015/11/17)では、自分のできないことに向き合わなければならないとき、逃げそうになるときに思い出す。そして、いつも僕を前へと押し進めてくれる。

何かのタイミングで思い出せるような文章は素敵だ。一回読んだら忘れるような記事なんていらない。

この記事を書くにあたって、紹介した7人のブログの過去記事は全部読み返してみたが、

読んでいて「これだけは伝えたい!」と思って書いているであろう記事は、熱量が違う。魂や愛がこもっているとすぐにわかる。その圧倒的な熱量が、人を感動させるんだと気づかされた。

先ほど紹介した水野敬也さんの「昨日、TSUTAYAで号泣しました。」(2014/06/22)では本当にピクサーのジョンラセターが、真顔日記さんの「スラムダンクの深津をほめるおじさんについて」(2016/07/28)では、スラムダンクの深津が本当に好きなんだろうなぁというのがひしひしと伝わってくる。その熱量が人を感動させるのだ。

 

大好きな文章について年始一発目のブログで書こうと決めてから、ここ数ヶ月ずっといい文章ってなんだっけと考えていたが、いい文章とは「魂のこもっている文章」のことだと自分の中で一つ結論が出た。

それは、書き手が本当に大事にしている「これを伝えたい!」という気持ちがこもっている文章のことであり、それゆえ読んだ読者の行動をプラスの方向へ促すことができるのである。だからこそ、漫画ではなく、文章だけで勝負するのなら、一文一文に圧倒的な熱量で魂を注ぎ込まなければならない。


■魂のこもった長文で、心を揺さぶられたい

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滔々(とうとう)とこんなこと書いといてお前何様なんだと言われそうだし、えらそうなこと言える立場ではないことは百も承知だ。また今まで「文章で人を傷つけない」をポリシーにやってきて、人やものを批判しないで褒めることにしていたのだが、

それでも「魂のこもった文章を書く人がもっと増えてほしい!」「何よりそんな文章が読みたいのだ!」と一重にその想いから書かせてもらいました。

また自分が思ういい文章とは何かを考えることによって、いつも以上に文章と向き合うことができ、非常に勉強にもなりました。もし良かったら「自分が思ういい文章とは」や、あなたが大切にしている「魂のこもった記事」を教えていただけたら嬉しいです!

ネットの記事でこんな読むのに時間のかかる長文がウケないのはわかっている。時事や芸能、ネコの写真をサムネイルにしたり、つっこみどころのある記事の方が、ネットでウケるのはもちろん知っている。

しかしそれでも僕は、一年後でも、三年後でも覚えておいてもらえるような文章を書きたい。心の糧や支え、血肉となり、読者を前へと行動を導くような、これだけは伝えたい!という魂のこもった長文で心を揺さぶられたいのだ。

それは、骨董品のように大切にされ、生涯の宝物のように--

 

 

 

 

_____

最後にお前の魂込めた文章なんぼのもんじゃいと言われそうなので(もちろんこの記事も魂こめて書きましたが)、晒しておきます。こういったブログを書いています。良かったら御高覧くださいませ!!! 

 

  

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初めての世界は、何気ない一言から始まるのかもしれない

もう年の暮れですね。

年を取ってくると、初心というものを忘れてしまうもので。忘年会で後輩に会うと、当時大学生だった頃の熱い想いみたいなのを思い出すわけですよ。

そんな初心で一番想い出に残っている話があるので、それを書いて、2016年のブログ納めとしようと思います。

こっそりでもいいので、森井のブログを読んでくださった方ありがとうございました!

2017年もどうぞご贔屓よろしくお願いいたします!


――――――

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大学生になって初めてのアルバイトでのことだ。
本好きが高じて、本屋さんで働くことになった。

緊張で震えながら行ったアルバイト初日、店長にまず店内を案内された。
ここはこういうジャンルの本が置いてあって、あそこは受験参考書ねと。

「あ、ちなみに書店員の特権として、発売よりちょっと早く本が買えるから欲しい本があったら言ってね。」

「この前、フジタさんなんて発売前に『株式取引』なんて本買っていてね、インサイダー取引やってるんじゃないのって話題になってたんだから」

と陽気な店長の軽快なトークが披露された。これが書店員さんのつかみの鉄板ネタみたいだ。

初めてのアルバイトでうまくやっていけるかすごく心配だったのだが、なんだか楽しくやっていけそうだと「はい、じゃあ僕も株の勉強しときますね!」と緊張しながら、元気良く返した。
____

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次にレジ打ちについて教えてもらった。
「本屋さんはまずはレジ打ち。本の後ろにあるバーコードをここにかざしてピッとすれば読み取れるからね。

あと最後に「客層」のボタンを押すの。お客さんが男性か女性か、そしておおよそでいいから20代前半なのか後半なのか年齢のところを押してね」

あぁこうやって本屋さんはマーケティングしているのかと、消費者だと知り得なかったことを知った。

次から次へと入ってくる新しい情報に置いて行かれないように、店長から聞いたことを必死にメモしていく。

「いらっしゃいませ」
「ありがとうございました!」
「またどうぞお越しくださいませ~」

そんなことメモしなくてもいいだろうということまでメモをしていた。僕はバイト先に電話するときは、話す内容を必ず先に紙にメモし、内容を一字一句違わずそのまま電話で震えながら話すようなやつだった。

だから、これはオトナになるための必要な通過儀礼だったんだなぁと今になって思う。
____

その後、社員さんに横で付いてもらいながら、実際にレジをやらせてもらうことになった。

いつも身近にあった本に囲まれていたからか、レジ打ちにはすぐに慣れた。周りが見えるようになってきたおかげで、いろいろと気づいたことがある。

そのうちの一つに「買う本を見れば、その人の心理状態がわかる」ということがある。

例えば、この4冊を買っていった人がいた。

『ストレスがたまった人が読むための本』
『人付き合いが嫌いな人へ』
『性格は捨てられる』
俺の妹がこんなに可愛いわけがない

上3冊からあぁこの人仕事で病んでいるのかなぁと、でも前向きに問題を解決しようという意思が、

それでもだめだった時のために、最後の4冊目のラノベでアニメの世界に現実逃避できるようなラインナップだと見てとれる。

本は読む人の悩みを解決するためにあるのかなぁと意外と忘れがち大切なことをレジ打ちをしながら学んだ。
____

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この日は、日曜日でお客さんがたくさん来ていた。ラッシュ時間が過ぎ落ち着いてきた頃合いで、ある社員さんに何気なくこんなことを言われた。


「さすが慶應生、やっぱり優秀なのね」

僕が初めてのレジ打ちに一度もミスをすることがなかったことや、妙に落ち着いていたように見えたからだろうか。

深い意味は特になかったのだろうけど、そう言われてとても変な、もどかしい気分になった。

というのも、大学に入り出会う人は増えたけれど、それでもそれは似たような人ばかりで、今までずいぶん狭い世界で生きてきたんだなぁと気付いたからだ。

周りは慶應生ばかりになっていて、そしてそれが普通だと思っていて。確かにあくまで一般的に見たら、慶應生=頭が良い、と思っている人がいるということも知らなくて。

例えば、最近クイズ番組でお笑い芸人のカズレーザーが大活躍だ。同志社卒のインテリ芸人としてもてはやされている。

世間一般的には同志社は勉強ができるとされているのだが、(別に嫌みでこんなことを言っているわけではまったくないので勘違いしてほしいのですが) たぶん東大生はもちろんのこと、慶應生もそうだが、同志社の人を勉強ができるとは思っていない。しかし、世間一般から見たら同志社は頭が良いとされている。

自分のいるカテゴリーは少数派なのか、それとも多数派なのか。おそらくその相場感というか市場感覚というものを見失うと、売れる本は作れないんだろうなぁとその時なんとなく思った。

少数派なのに周りみんな慶應生だと思っていた自分がもし本を作ったとしたら、慶應生に向けて作ることになるのだが、慶應生は少数派なので買ってくれる人のパイはもちろん少なくなる。よって売れない本になってしまうかもしれないということだ。

市場感覚を見失ってしまっていたこと、まったく知らなかった本があること、買う本でその人の置かれている立場がわかること、客層ボタンでマーケティングしていること。

身近にあったはずの本だったが、知らないことだらけで、今までずいぶん狭い世界で生きてきたんだなぁと気づかされて、「さすが慶應生、やっぱり優秀なのね」の一言にどうしようも無くもどかしくなった。
____

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すぐに覚えなければならないことや、いろんな気付きで学んだメモを何ページも使って書き、見直していたら、もう閉店の21時間際になっていた。

最後にやってきた女性は髪の長いとても綺麗な人だった。

僕の作業の手際の悪さが目立ったのか、それとも胸にでかでかと"研修生"と書かれた名札に気づいたのか、

「丁寧に本を包んでくれてありがとう。今日が初めて?とてもいい笑顔をするね。頑張ってね。お姉さん応援してます」

と、とても丁寧に一言添えて本を受け取ってくれた。

人はこういう一言を忘れないし、何気ない一言を然るべきタイミングで言える人は本当にすごいと思った。

こういった圧倒的に影響力のある何気ない一言が初心を思い出させてくれる。

お店で"研修生"と名札を貼っている人を見るとよくその女性のことを思い出すくらいに、このアルバイト初日に受けた感動は今でも覚えている。

早く一人前の仕事ができるように頑張ろうと、今日一日聞いて書き留めたメモ帳を力強く握りしめた。

 

そして、初めて年上の女性が美しいと思った瞬間だった。この人とはもう一生会わないかもしれないが、それでもこの行き場のない想いをどうしても伝えたくて。

その女性はおそらく30代 後半なんだろうけど、そんな素敵な一言を添えることのできるあなたはとても綺麗で、若さが溢れていますと、感謝の気持ちを込めて、

客層のボタンを「女性 20代 後半」とポンッと弾くように、優しく押した。

 

 

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比喩男

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神様は世の中を平等に作ってくれたのだろう。

男には欠点があった。

高身長でイケメン、それでいて大企業の御曹司。言い寄ってくる女はたくさんいた。

ただどれも長くは続かなかった。

男は、現代の言葉で言う、ボキャ貧だった。

まぁ簡単に言うとバカだったのである。


口癖が「やばい」だった。

美味しい料理を食べては「やばい」
感動する映画を観ては「やばい」
彼女からプレゼントをもらっても「やばい」

「あなたには知性をまるで感じられない」

それが原因で男は女に振られたばっかりだった。男はバカなりに考えて、知性を身に付けることにした。

村上春樹に学ぶ、知性の身に付け方。女にモテる男は、喩え上手!」

といううさんくさい雑誌の特集を読んで、「これだ!」と思ってしまったのである。

思い立ったらそれをやらずにはいられない。

まず、「やばい」を使わないことを誓った。そしてそれ以来、男は女を口説く時には、必ず何でも喩えるようになった。

「まるで壊れ物に触れるみたいに、君に優しく触れたい」

たまに言うのならまだ博識がありそうでいいかもしれない。

しかし、この男_比喩男とでも言おうか_は、大事な場面になると必ず喩えてしまうのである。比喩男はそれがかっこよく、粋だと思っているのだろう。

女とレストランへ行って、しめのデザートを見て、比喩男は言った。

「まるで芳醇な果実のような……」

また出たよ。女はそう思った。

これは何も外でだけではない。家でテレビを見ているときもそうだ。

「この最近人気の女優、まるで薬師丸ひろ子のような端整な顔立ちをしてるな」

芸能人を芸能人で喩えるな。
女はそろそろ口に出しそうだった。

 

「雀の群れが不揃いに電線にとまり、音符を書き換えるみたいにその位置を絶えず変化させていた」

比喩男はこういった村上春樹かと思わせるような喩えは一切言わない。いや正確には言えないのだ。理由はご存じ、バカだからである。

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こんな男でも、高身長でイケメン、大企業の御曹司ときたら、女は寄ってくるみたいだった。

比喩男の周りには本当に様々な女性が寄ってきた。

とても清楚な、志乃。
聡明な、聡美。
天真爛漫な、晴夏。
料理の上手な、桜子。

しかし、比喩男にとってそれが全て仇となっていったのである。

「君は、まるで志乃のように清楚で、聡美のように聡明で、晴夏のように天真爛漫。そして……」

別れるときに言われることはいつも同じだった。
女は言った。

「わたしを二度と昔の女で喩えるな」

それは乾いた冬の日に起きた、"まるで春の暖かさを一度も感じたことのない海氷のように"冷めきった別れ話だった。 

 

 

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1Q84 BOOK 3

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 比喩と言えば、村上春樹
「雀の群れが不揃いに電線にとまり、音符を書き換えるみたいにその位置を絶えず変化させていた」

比喩の説得効果についての分析を行ったメンフィス大学のソポリーは、比喩を使ったほうが、普通に話すより、確実に説得力が上がることを実証したみたいです。比喩うまくなりたいですね。。

 

トータルテンボスの「例えが下手」の漫才。面白い。

14歳

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14歳だった頃の僕はどこか少し冷めていて、ずっと手応えの無さのようなものを感じていた。

早く大人になりたかったのに、周りと一緒になって14歳らしいことをし、笑い、はしゃぐ。それに気づいて苛立ち、不安になる。


____
中学生の頃、野球部でフレッシュマン大会というものがあった。試合に出れるのは1年生だけ。

「この大会で優勝できなかったら、全員坊主な」という監督のきまぐれの一言で、決勝戦で負けてしまった僕たちは生まれて初めて坊主をすることになった。

それから1週間後、床屋で「坊主にしてください」とお願いすると「長さは?」と言われた。

結論から言うと、1㎝でいいところを、言い間違えて1㎜と言ってしまった。

家に帰って「髪、短くない?」と母親の一言がぐさりと突き刺さる。
髪の毛が1㎜になった頭がまぁ青いこと。

何を1000円カットの床屋のサービスで、散髪終わりにハイチュウをもらって喜んでいるんだと、自分に苛立つ。

周りの友達の髪が伸びきる頃に、まだ髪が伸びきっておらず、一人だけ取り残されて不安になった。


____
野球部の試合終わりに初めて行った1000円の焼き肉食べ放題でもそうだ。

26歳の僕が、焼き肉に行って食べる量の3倍は食べたと思う。「1000円の元を取らねば!」と歩けなくなるくらい食べた。

帰りの夜道、14歳はこんな食べなきゃ良かったと自分に苛立つ。

 

ただ当時はそれが全てだったのも確かで、初体験の連続と膨大な時間だけが14歳を覆っていた。

食べ放題で無茶しなくなるまでには
1000円の価値が変わるまでには

果てしない時間が14歳には必要だった


____

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それから少しして「トライヤルウィーク」がやってきた。
1週間の職業体験だ。おのおのいろんな職場へ行き、職業体験をする。

14歳は保育園へ行った。
14歳が子どもたちのお世話をした。

一緒に遊び、遊び、遊び、たまに悪さをする子どもを叱り、また遊び、寝かしつける。この繰り返し。

いつまで続くかわからないこの繰り返しが14歳を不安にさせた。

子どもと大人の狭間にいる「時間」の門番のようなヤツが、14歳の前に現れては消え、現れては消える。

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いつになったら大人になれるんだろう

㎜と㎝の単位を間違えなくなったら?
ハイチュウをもらっても喜ばなくなったら?
焼き肉食べ放題で無茶しなくなったら?

大人になりたい 大人 大人 大人

狭い井の中で声を張り上げる

オトナってなに?

オトナ
おとな
大人
大と人?


自分の人生の半分も生きていない子どもたちに囲まれ、自分だけ遊具の大きさと不釣り合いの体を小さく丸めながら、幼稚園にある滑り台の上から空を見上げると、

そこにはとてつもない世界が、茫漠とした時間が広がっていた。

 

 


 

こちらも子ども論。高3まで美容師になろうとしていて、美容院にはすごく思い入れがあります。

 

 

子どもの頃、よく「あぁ、もう僕の人生終わった…」と思う瞬間がたびたびありました。
その正体がなんだったのか、今になってやっとわかったので書きました。

 

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ミライの授業

ミライの授業

 

 未来を担う14歳に瀧本さんが「ミライの授業」として書いて珠玉の一冊。瀧本さんの著書はどれも面白いが、その中でも良書だと思います。オススメ。

 

14歳 (幻冬舎よしもと文庫)

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『14歳』読んでからいつか14歳について書きたくて、「14才」聞きながらやっと書けました。満足。

 

14歳からの哲学 考えるための教科書

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十四才/フルコート

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M-1グランプリで生まれる「笑いの爆発」の正体とは

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ある芸人は言う。

M-1はお祭りではない、戦だ。誰が一番強いのか。魂と魂のぶつかり合い」


M-1グランプリは他のお笑いの賞レースとは違う。まったく仕事のなかった芸人が一夜にしてスターへの階段を駆け上がることのできる、まさにアメリカンドリーム。芸人達は、たった4分間に人生を懸けて挑む。お笑い番組ではない、芸人達のドキュメンタリーなのである。

そのことをお客さんもわかっている。笑いにきているだけではない。審査員同様、お客さんも審査しにきている。そしてどの芸人がスター街道を駆け上がるのかを刮目しにきているのだ。

よく審査員が「今年やった仕事の中で一番緊張している」とコメントしているが、審査員も緊張するのが聖地M-1グランプリなのだ。

その緊迫した空気感は、もちろんお客さんにも伝わってしまい、会場の空気がなかなか温まらず、笑いづらい雰囲気で始まる。

それだけにトップバッターはスベる可能性が高く、不利と言われている。それを考慮して審査員は最初のコンビに何点か上乗せして審査している人もいるくらいだ。2005年のトップバッターを務めた笑い飯に、松本人志は5点サービスして付けていた。

 

さて、ここからが本題なのだが、元審査委員長・島田紳助はよく「誰が会場を爆発させるのか」という言葉を使っている。

2006年のM-1でこうコメントしていた。
「エネルギーがこのスタジオに溜まっている気配がする。誰がどこで爆発させるのか。みんな面白いんやけど、みんな爆発しきれてない。どっかでこの空気が変わって爆発するんでしょうね」


「笑いの爆発」を起こしたコンビが優勝する。おそらくそれは間違いないだろう。

しかし、この「笑いの爆発」とはいったい何なのか。会場の空気が温まっていない緊迫した状態から、どうしたらこの「笑いの爆発」が起きるのか。


「笑いの爆発」の正体らしきものを掴んだので、一M-1ファンとしてぜひ読者の皆様と共有したい。

ただ、そのためにはまず「ネットワーク理論」について順を追って説明する必要があり、聞きなれない言葉でかつ少し長くなってしまったのですが、最後までお付き合いいただけたら幸いです。

 

1.ネットワークの性質「三次の影響のルール」

ネットワークにはいくつかの性質があり、そのうち4つ紹介する。

ネットワーク理論で広く知られているのが、六次の隔たりだろう。6人介せば、世界中の誰とでもつながれるという仮説だ。例えばオバマとつながるためには、平均6人たどっていけば、誰でもオバマと知り合うことができるということだ。

一方で、一般的に知られていないのが「三次の影響のルール」

これは、「友人の友人の友人が私たちに影響を及ぼす」ということだ。

ある研究によれば、直接つながっている人(一次の隔たりにある人)が幸福だと、本人も約15%幸福になるという。しかし、幸福の広がりはそこでは止まらない。
二次の隔たりのある人(友人の友人)に対する幸福の効果は約10%、三次の隔たりのある人(友人の友人の友人)に対する効果は約6%あるそうだ。この幸福の影響は、四次の隔たりまでいくと消滅する。


つまり、友人の友人の友人の体重が増えると、自分の体重も増える。友人の友人の友人がタバコをやめると、自分もタバコをやめる可能性があるということだ。


例えば、今はまっている好きな歌手を思い浮かべてほしい。個人的な話になるが、高橋優の「福笑い」にはまっている。今まさに聞いているくらいだ。

ちょっと前に、地元の友人Aに高橋優の「明日はきっといい日になる」が名曲だからと言われ、聞くようになった。それから過去の曲である「福笑い」を聞き、はまった。その後、僕はよく飲みに行く友人Bにオススメし聞いてもらった。


友人Aから見た今の状況を整理するとこうなる。
関西の友人A→森井(一次の隔たり)→東京の友人B(友人の友人=二次の隔たり)


友人Bが誰かに薦めたかは聞いていないので知らないが、少なくとも現在の時点で、友人Aのオススメは友人の友人まで影響を及ぼしたことになる。しかも、地元兵庫から東京という地域差を飛び越えてである。

このように僕たちは実は出会ったことのないような人からも影響を受けているのだ。

 

2.カンニングは伝染する

このようにネットワークを通じて、幸福や肥満を始め、細菌、お金、暴力、ファッション等は、伝染していくのである。

このネットワークの性質の一つ「伝染」の悪い例は、思春期に学校で経験したことがある人が多いのではないだろうか。

高校入学当初、真面目だった人が、急に不良になるという現象を目撃したことがあるはずだ。

これは何も思春期だからそうなったとは片付けられない。その子の周りのネットワークがそうさせた影響が大きいのだ。ネットワークを通じて、負が伝わっていってしまった結果なのである。

「類は友を呼ぶ」とは言うが、似た人を引き寄せることももちろんあるが、それと同じく「意識」すら伝染するので、一緒にいることで似たような人間になっていく。

長年連れ添った夫婦が似てくるとはそういうことだ。お互いがお互いに影響し合っているから似てくるのである。


「学生がカンニングを目撃すると、みずからもカンニングを始めた。またカンニングする者に学生がつながりを感じている場合、カンニング行為はさらに増加した」という恐ろしい実験結果も出ているほどだ。

このようにマイナスな影響も含め、様々なものがネットワークを通じて伝染する。

 

3.笑いも伝染し、そして「同調性」を高める

人の行動の大部分は、ネットワークから影響を受けた上で成り立っている。そしてそれらはさざ波のように広がる。

上記で見てきたように、「感情」も伝染する。感情が伝染するということは、もちろん「笑い」も伝染するのである。

なんと1962年、タンザニアのある学校で笑いの伝染で起こった。159人の生徒のうち95人が感染し、笑いがとまらなくなり、学校は閉鎖に追い込まれるという異様な出来事が起こったくらいだ。

身近な例だとTVの「誘い笑い」を思い出してほしい。ディレクターが「ここは笑うところですよ」と編集で誘い笑いを入れることによって、視聴者に「笑い」を伝染させようとしている。


特にこの「笑い」という性質は特殊で、伝染する(笑いが共有される)と、人々の交流は同調性が増し、一体感を生み出すのである。


被験者にあらかじめお金を持たせておき、それを別の人に分けさせるという実験がケント大学で行われた。普通なら赤の他人よりも、自分の友達に多くのお金を提供するのだが、コメディビデオを一緒に見て大笑いをした後、実験を行うと違いが無くなったのである。

笑いには他人を友人に変える力があるのだ。

 

4.ネットワークそれ自身が命を持つ

最後に、「ネットワークそれ自身が命を持つ」という話で、ネットワーク理論の説明は終わりにしたい。(ここまで読んでくださってありがとうございます!)

その分かりやすい例が、スポーツイベントで見られるウェーブだ。観客が次々に立ち上がっては腕を上げ、すばやく着席する。

一度動き始めたウェーブは、スポーツイベントで「超個体」(複数の個体から形成されながら、一つの個体であるかのように機能する集団)と化し、それ自身が命を持ち始め、個人がやめようと思ってもとまらない。

このウェーブは、誰かが指揮を取っているわけではなく、ウェーブ自身が命を持ってしまっているのである。

 

■「笑いの爆発」の正体とは

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ここまで書いてきたことを簡単にまとめるとこうなる。

  1. 人は三次の隔たり、つまり友人の友人の友人まで影響を及ぼす。
  2. 意識、犯罪、肥満、幸福など様々なものがネットワークを通じて伝染する。
  3. 笑いは共有されると、人々の交流は同調性が増し、一体感を生み出す。
  4. ネットワークそれ自身が命を持つ。


長々と書いてきたが、話をM-1グランプリ「笑いの爆発」に戻すことにしよう。

審査員が満場一致で完全優勝を果たした2006年のチュートリアルの「チリンチリン」のネタ(個人的に一番好きなネタ)を見ていただければわかるが、「ゆきずりの女と寝たよ」で会場全体が笑いの渦に包まれ、大きな笑いが起きている。

(上に貼ってあるYouTubeM-1グランプリの時のものではないので、「ゆきずりの女と寝たよ」は出てこないので申し訳ないです。ちなみにどのネタも、他の番組で見るよりM-1の方が圧倒的に面白い。4分という短い時間の中に、無駄な言葉は一切なく、セリフが極限まで研ぎ澄まされているからだ。DVDの方が面白いので、ぜひDVDで見てほしい)


チュートリアルが繰り出すボケとツッコミでできた笑いによって、一人また一人と笑う人が増え、笑いが隣の人の笑いを伝染させる。笑いによって生まれた連帯感によって、観客同士がつながり合い、緊張感がなくなり、同調性が増す。それによって会場が一つの「超個体」と化すのである。


小さな雪玉が転がって大きくなっていくように、始めは小さかった笑い声も、ネタを進めていくうちに徐々に大きくなり、審査員はもちろんお客さんも審査しているなんてことは忘れ去り、一観客として、そして一お笑いファンとして、目の前の芸人に没頭し、夢中となり、気づいたら大爆笑させられている。もっと笑わせてくれ、もっと笑わせてくれ!と。

その瞬間、「笑いの爆発」が生まれる。

ここまでくるともう個人ではどうすることもできない。
大きなウェーブの動きが自分達にはどうすることもできないように、会場にいる観客達はどうすることもできない。 


笑いが伝染し、会場全体の一体感が増し、その結果生まれた「超個体として意志を持った会場」が笑うと、大きな爆発のような笑いが起きるのである。

これが島田紳助の言う「笑いの爆発」の正体だ。

 

※簡単に図式にするとこうなる

■緊張感のある会場→笑う→伝染する→一体感、同調性が高まる→緊張感が無くなる→誰かが笑えばまた誰かが笑う→会場は一つの超個体と化す(笑いが少ないとここまで辿り着かない)→超個体が笑う=笑いの爆発(会場全体がつながり合った超個体が笑うこと)

 


M-1はお祭りではない。戦だ。

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M-1グランプリ 2016

アキナ
カミナリ
相席スタート
銀シャリ
スリムクラブ
ハライチ
スーパーマラドーナ
さらば青春の光
敗者復活戦勝者

 

果たしてこの中から「笑いの爆発」を起こし優勝するのはどのコンビなのだろうか。それとも、元審査委員長・島田紳助の無き今、盛り上がりに欠けたまま終わるのだろうか。

その結果はぜひ自分の目でしかと確かめていただきたい。


たった4分で人生が変わる。ただその4分のために、人生を懸けてきた漫才師達の闘いが今始まろうとしている。

「ただ証明したい。俺たちが一番面白いと」

 

 

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10年くらい前だっただろうか、何気なくニュースを見ていたら、喋りのプロフェッショナルである某キー局のアナウンサーが信じられない言い間違いをしていた。

大リーグのレッドソックスのことを〝レッドセックス〟と言ってしまったのである。

当時ちょうど思春期真っ盛りだった中学生は「アナウンサーがテレビでセックスって言っちゃたよー」と学校ですぐにこの話題をネタにし、盛り上がっていた。

その時、高嶺の花の象徴であるアナウンサーは住む世界が違い、どこか遠い人だと思っていたのだが、なぜだがミスをしたことでどこか親近感を感じた。


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学生の頃、芸能事務所のスカウトマンのアルバイトをやっていた。

スカウトを始めたばかりのあるすごく寒い日、派手な顔だが、おめめぱっちりでとても綺麗な顔をした渋谷系ギャルが、ハチ公前で誰かと待ち合わせをしていた。

この人は「ぜひうちの芸能事務所へ!」と思い、話しかけた。


「芸能事務所、興味ないですか?」
「どこかすでに事務所入られたりしています?」
「今日はどこかお出かけですか?」

スカウトをやっていたらよくあることなのだが、僕の存在がまるで見えていないかの如く、まるで微動だにせず、言ったことは全て無視され続けた。

「このあま何無視してんねん……」

あ、言葉が悪かったですね、いや、もう、たいへんなお姉さんで。

全然僕の話を聞いてくれない。しかも、あまりの寒さにろれつが回らなくなり、思わず言葉を噛んでしまったのである。

話は聞いてもらえないわ、言葉を噛んでカッコ悪いところを見せてしまい、もうさすがにダメだと思った。


渋谷系ギャルに対して、万事休す。八方塞がり、万策尽きたかと思われた、その時である。

先ほどあんなに断固として話は聞くまいという様子だったギャルは、くすりと笑い出したのだ。

しかも、向こうから「寒い日なのに、本当にお疲れ様です。風邪には気を付けてくださいね」と優しく声をかけてくれたのであった。

その後、親切な言葉をかけてくれただけでなく、僕の話も聞いてくれて連絡先を教えてもらい、後日事務所に来てもらえることになったのである。


1週間後、事務所の説明会に来てくれたギャルのKさんに、ずっと疑問に思っていたことを聞いてみた。

「最初、あんなに話を聞いてくれなかったのに、急にどうして僕と話をしてくれたのですか?」

すると一言だけこう言った。

「噛んだからですよ」

噛んだから?
正直、この時は何を言っているのかわからなかった。無視していたかと思ったら急に話してくれたり、噛んだから話してくれたとか言うしで、情緒不安定な気まぐれなお姉さんなのかと思った。ギャルとコミュニケーション取るのってやっぱり難しいなぁと。

しかし、これはどういう意味だったのかたまたま心理学を勉強して後になって知ることができた。

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心理学用語で「アンダードック効果」、またの名を「負け犬効果」と呼ばれるものがある。

不利な状況にあるものに手を差し伸べたくなる人間の心理の表れだ。

この心理によると、相手から善意を引き出すためには、まず自分の弱さや失敗談を曝け出した方がいいということらしい。


今まで僕は人と話をするとき、自分を良く見せようとしたり強く見せようと、ついつい肩書きや自慢話をしてしまっていた。自己顕示というやつだ。

だって同世代なのに自分よりすごい経歴を持った人なんて山ほどいたから。

学生団体〇〇代表
メンズノンノ専属モデル
電通インターン△△期生
起業
世界一周経験者

当時ちょうどTwitterがはやっていて、そんなすごそうなヤツらの情報が地方から出てきたばかりの田舎者の僕の目にいくらでも飛び込んできた。

浪人もしてるし、もっと頑張んないとって。強がって、強がって、空回りして。

ミーハーで強がりの僕は、すごそうなヤツら〟の仲間入りがしたくて、同じようにTwitterのプロフィール欄に無いに等しい肩書きをあたかもすごいかのように並べ立てていた。それで嫌なやつだと思われたこともあったかもしれない。

そんな時に一人の女の子にこんなこと言われたもんだから、すぐには受け止められなかったけれど、数年の時を経てやっと理解することができた。徐々に肩の力も抜けるようになってきた。なんだ素の自分でいいのかもしれないんだって。

 

レッドソックス〟のことを〝レッドセックス〟と言い間違えてしまったアナウンサーに、完璧でどこか近づき難いイメージから親近感がわいたように、シカトし続けた渋谷系ギャルが僕が噛んでから急に話を聞いてくれるようになったみたいに、

自慢話ではなく、相手より先に弱みを見せ、自己開示することで、相手に心を開いてもらえるんだなぁと学んだ。 

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この女性とはもう二度と会うことはないだろう。連絡先も知らない。
しかし、人と対話する上ですごく大切なことに気づかせてくれたギャルのKさんに今更ながらありがとうと言いたい。

そしてできることならあの頃の自分に、東京に出てきたばかりの20歳だった頃の自分に言ってやりたい。


強がんなくていいんだ、と。


だからこれから人と話す時は〝ソックス〟を〝セックス〟と噛んでいこう!(それは違う)

今ではこんな冗談も言えるようになったんだ!強がる必要なんてないんだぞって。

失敗談はかっこ悪いとは思わずに、これからは勇気を持ってどんどん自分の弱みを話していこうと思う。

あの頃の強がっていた自分より、きっと少しだけ前に進める気がする。

 

 

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その話し方では軽すぎます!  エグゼクティブが鍛えている『人前で話す技法』

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スピーチコンサルタントの矢野香さんの著書。
アナウンサーを経て、大学院で心理学の見地から「話をする人の印象形成」を研究した矢野さんの話には説得力があり、話し方についてとても勉強になります。

18禁コーナーに入りたくなる心理を考察したら、ある一つのことがわかった

■屋上から飛び降りようとした女子大生

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あれは確か、僕が大学2年生だった頃の話。年の暮れに、慶應の協生館という建物の屋上から、泣きながら飛び降りようとした女子大生がいた。

いじめられていたわけではない。慶應の授業についていけなくなったわけでもない。理由を聞いてみたが、なんてことはない。ただの失恋である。

付き合っていた彼氏に別れ話を切り出され、「別れるなら、ここから飛び降りる」と言って、自殺しようとしたのである。その女の子は、女友達はおろか他の男子とは友達になろうとすらせず、彼氏しか見ていなかったそうだ。

当時、この話を聞いて「若いな」と正直一笑に付しただけであったが、今となって思えば、この話に他人事ならない人間の心理が詰まっている気がしてならない。


■試験前に、勉強以外のことがしたくなる理由

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こんな話がある。

フロリダ州のある町で、環境保全のために、リン酸を含む洗濯洗剤やクリーニング洗剤の使用と所有を禁じる条例が制定された。

この条例に対する反応は、もはや手に入らないものを手に入れたいという傾向に拍車がかけられ、この町の大部分は、以前にも増してリン酸洗剤を良い製品だと見なすようになったのであった。

この条例が適用されていない隣町と比べて、この町の市民はリン酸の洗剤を穏やかで、冷水でも汚れがよく落ち、白さが戻り、しみ抜き効果が強いと評定したほどであった。

 

何かを所有する自由が制限されたり、ある品物が手に入りにくくなると、私たちはそれをより欲するようになるのである。

身近な例で言うと、試験前に勉強以外のことをしたくなる理由がこれにあたる。

試験直前になり、勉強をしようと思っていたにも関わらず、気付いたら今までまったくやるつもりがなかった部屋の掃除に没頭していた、または今まで読まないで何ヶ月も放置していたはずの本に夢中になっていた、という経験はないだろうか。

「試験勉強をしなければならない」という確立された自由を失った反動で、試験勉強以外の行為が急に輝き始めるのである。

中学生や高校生の思春期による反抗期もそうだ。

親に禁止された、夜の外出、オール、友達との外泊。今となって見れば何でもないはずのことが、当時の自由を制限された思春期の子どもからしたらどれもかけがえのない行為となったのである。

自由な選択が制限されたり脅かされたりすると、自由を回復しようとする欲求によって、その自由を以前より欲するようになる。

それゆえ、希少性が増して、ある対象にこれまでのように接することができなくなると、以前よりもその対象を望んだり所有しようとすることで、妨害に反発するのである。


■冴えない男子が、なぜ女子に振られるのか

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『LOVE理論』という本をご存知だろうか。これは『夢をかなえるゾウ』で一躍有名となった水野敬也氏が恋愛マニュアル本200冊以上読破し、より実践的な内容を書いた、業界では有名な幻の恋愛バイブルだ。

様々な独自の恋愛理論が紹介されているのだが、そのうちの一つに「執着の分散理論」がある。この理論を簡単に言うと、「同時に何人もの女を口説け」ということである。


「冴えない男子が、なぜ女子に振られるのか」

著者によれば、ほとんどの男に共通する振られる理由は「余裕がなかった」からだそうだ。

 

お前にもこういう経験があるだろう。好きでもないどうでもいい女の前ではいつもの自分でいられるし、そういう女からはホレられたりする。しかし、好きな女の前に出るとどうしても緊張して余裕がなくなる。

だから会話がぎこちなくなる。女はそういうお前を見て気持ち悪いと思うのだ。

しかしお前は余裕を取り戻すことができない。むしろ好きになればなるほどテンパって、どうしようもなくなって、そうした状況に耐えられなくなったお前は玉砕覚悟で告白する。こんな告白がうまくいくわけがない。こうしてお前は「好きになった女に限って」フラれていくのである。

 

好きな女性の前で緊張してしまう理由は、「たった一人の女性に惚れ、その女性しか口説いていないから」である。同時に複数の女性を口説くことによって、好きな女性の前でもテンパらずに常に余裕を保つことができると、著者は力説している。


何年か前のクリスマス直前に、サークルの後輩の大学2年生の女の子に恋愛相談をされた。同じサークル内に好きな男子がいる。でも、恋愛に奥手で緊張して話せないし、向こうも自分のことをどう思っているのかまったくわからないから、どうしたらいいかわからないと言われた。

そこでこの「執着の分散理論」をアドバイスしてみたら、「え、それチャラくないですかー」とすぐに一蹴されてしまい、困惑した。(確かにチャラい)

しかし、今なら意中の相手に対してこう言えと、アドバイスするだろう。


「私、同じ大学のイケメンの先輩から口説かれてて…


数少ない資源を求めて競争をしているという感覚は、人々にとって強力に動機づける性質を持っている。ライバルが現れた瞬間、冷えた恋心にも情熱が渦巻くようになったりするのである。


■思春期の18禁コーナーへの憧れ

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この心理を利用したセールスが「数量限定」「期間限定」である。


よくアメ横の商店街で「15分限定売り尽くしセール」と声高々に叫んでいる店員さんがいる。15分限定なんてことは真っ赤な嘘で、本当は一日中やっているし、毎日のように営業している。

しかし、「15分限定」という言葉に乗せられて、気付けば欲しくなかったような物まで買ってしまっているのである。

人々は、機会を失いかけると、その機会をより価値のあるものとみなしてしまうからだ。


冒頭に書いた彼氏に振られ屋上から飛び降りようとした女子大生もおそらくそういう心理が働いていたのだろう。

他の男友達はおろか、女友達も作らず大学では彼氏とばかりいた。彼氏がいなくなると、この世界にぽつりと一人取り残されてしまう。
そのため彼氏への価値が異常に高まり、どうしても別れたくなくなってしまったのだろう。


ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」の笑ってはいけないシリーズもそうだ。
お笑い番組なのに、「笑う」という日常的な生理現象を禁止することによって、より一層笑いたくなってしまう。今なお視聴者から愛され続ける所以はそこにあるのではないだろうか。


中学生の思春期だった頃、あれほどまでに「18禁コーナー」に対して興味を抱いたのは、そういうことだったのかと、今になってやっと理解することができた。

〝見る〟という自由を奪われたことに対しての抗い。



Hな雑誌の袋とじを開けたくなるという行為は、純粋な人間的心理であり、何の恥ずべき行為ではないのだ!

 

 

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恋愛論 (新潮文庫)

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恋愛について書かれた古典的名著。
スタンダールは、恋愛によってその対象を美化させてしまう心理を「結晶作用」と名付ける。

関西人はツッコミでいつも忙しい

それってツッコミ待ちですか?ということがよく起きる。
そんな時、関西人の性で思わずつっこんでしまう。


僕の住んでいるそばの駅に「センター北」という駅がある。

センター北て、センターなのか北なのかどっちやねん。センターよりの北か?それとも北よりのセンターか?え?

とまぁ簡単に言うとこんな感じである。
ヘンテコな駅名を見付けたらつっこまないといけないから、電車の中は忙(せわ)しい。

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レストランへ行くと、もっと忙しくなる。

まずメニューだ。
メニューに「子羊の軽い煮込み」とかいうものがあれば、

「何軽いって?軽いって何」
「しっかり煮込んで。じっくりコトコト煮込んでや。手抜かんといて~」


〇漁師風オムライス 980円

「漁師風ってなんやねん。シーフードとか魚介ならわかるけど、漁師風ってなんやねん。漁師さんはオムライス作らへんからな!」


容赦ない。そろそろ一緒にいる男友達が呆れている。


メニューを見ていたらずっとつっこんでいそうなので、店員さんを呼ぶ。
そこでオススメを聞くとまた問題が起きる。

「そうですね。特にこちらの梅水晶(サメの軟骨と梅肉を和えた珍味)が、女性に人気です!」

男性や。男性二人で来てんねん。女に見えたか?え?男性に人気なの教えんかい。

これは完全に店員さんのツッコミ待ち。関西人への当て付け。陰謀だ。
いざ尋常に受けて立とう。


やっとこさチーズインハンバーグを頼んだら、店員さんが"ハンバーグインチーズ"お待たせしました」と言って出してきたことがあった。

「逆!逆!それやとチーズの中にハンバーグ入ってもうてる!」

戦慄した。
もうつっこまざるを得ない。
半分に切ったら、とろーっと流れ出るチーズ……ではなく、ハンバーグがどんっと出てくることになる。

 

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「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へしばかりに、おばあさんはレストランへ行きました。

おばあさんはメニューを選んでいるとチーズが運ばれてきました。
「おや、これは立派なチーズなこと」
おじいさんに半分持って帰ってあげようとチーズを切ると、なんと中からとても元気で芳ばしいハンバーグが出てきました。
ハンバーグは大きな声で「ジュージュー」と産声をあげていましたとさ。」

 

桃太郎もびっくりだ。確実に鬼とシェアしたくなる。後世代々語り継がれることになるであろう。世代交代が甚だしい。

もはや桃太郎ではなくハンバーグ太郎だ。

いや、ハンバーグは洋風なので、ハンバーグマンか。

「日本昔話 ハンバーグマン」

日本昔話の歴史が塗り替えられた瞬間だ。

もしくは
「日本昔話 ハンバーグ イン チーズ」

もちろんこの場合の"イン"はミドルネームやけどな。


あぁ、ツッコミで忙しい。関西人の性を恨む。

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関西人は日本昔話の歴史を塗り替え、そして神様にも容赦なくつっこむ。怖いものなしだ。
最後にその話をさせてほしい。

そのためにはまず、愛すべき親友・まさやの話をしなければならない。

まさやは男3兄弟の次男。
地元では「油断したらまさや家みたいになるよ~」と言われる。

というのも、まさや家の長男は一度受験に失敗し一浪している。
次男のまさやは、一浪した長男を見て育ったからだろうか。ちょっとくらいは大丈夫だろうという油断からか、二浪してしまった。

「背中を見せる」とはよく言ったもので、そんな二浪したまさやを見て大きくなった三男は、やはり気を抜いてしまったのだろう。まさかの三浪してしまったのである。

男三兄弟で足して六浪。まさや家は足して六浪。大事なことなのでもう一度言う。足して六浪なのである。

親が子に「遊んでばっかりいたらまさや君ちみたいになるわよ」と言われるレベルである。

足して六浪の時点で面白いのだが、2浪した末、センター試験の国語が200点満点中ちょうど100点だったという奇跡的な読解力を持つ愛すべき親友・まさやが、受験前に初詣で引いたおみくじはこちらだ。

 

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「国語の実力が足りぬ」

神様、ようわかっとるやん。

 

 

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聞き間違い=やってはいけないミス、のようなものだと思っていたんだけど、誰も傷つけない「平和なキキまちがい」というものがあって、それによってほっこりするようなハプニングが起こる。聞き間違いも捨てたもんじゃないなぁという話です。

 

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まにまに

まにまに

 

 これめちゃめちゃ面白いです。活字だけでこんなに笑ったのは初めてなんじゃないかってくらい面白い。西さんの関西弁がキレキレ。