思考の整頓

"もやもやしたもの"に輪郭をあたえる

平和なキキまちがい

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小学4年生だった頃、学校で流行ったあだ名があった。

それは「名字+ぴー」というあだ名で、〝山ぴー〟の影響だろう。

僕も例外なく名字の語尾にぴーを付けられ、〝もりぴー〟と呼ばれるようになった。


当時、休み時間は毎回校庭でドッチボールをしていた。今思えば、あんなにもよく毎回飽きずにドッチボールできたなぁと思うのだが、問題はそこで起きた。

隣のコートでドッチボールをしていた6年生が、「もりぴーパス!」をポリンキーパス!」と聞き間違えたのである。

6年生の間で、小4に〝ポリンキー〟がいると噂になった。(その頃、確かポリンキーのCMが流行っていた)

 

これも今思えばなんでそんなことで話題になるのかも謎だが、噂が噂を呼び、ポリンキーって誰やねん。しかも小4のポリンキーはドッチボールがうまいらしい」と階の違う4年生のクラスにまで6年生が来たことがあった。

その後、〝もりぴー〟は〝ポリンキー〟と祭り上げられ、いつも一番大きなコートを陣取られていたのだが、それがきっかけで6年生と仲良くなり、ドッチボールを混ぜてもらえたり、広いコートを使わせてもらえるようになった。


それまで聞き間違い=やってはいけないミス、のようなものだと思っていたのだが、誰も傷つけない平和な聞き間違いというものがあるのだなぁとそのとき思った。

聞き間違いによって、今まで考えていなかったようなくすっとしたり、ほっこりするようなハプニングが起こる。

そのまんまだがこれを「平和なキキまちがい」と名付けることにした。

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大学1年生の時、同じクラスに吉弘(よしひろ)くんという友達がいた。

大学に入ったばかりのクラスには、通称クラコンと呼ばれるものがある。まぁ簡単に言うと、知り合ったばかりなので仲良くなるために飲み会をやりましょうというクラスコンパだ。

吉弘くんはクラコンの幹事をやってくれた。まだピチピチの大学生なので、安くて美味しいお店を電話で予約してくれた。

お店を予約するときに必要なことは、料理のコースと電話番号と名前だ。

ただ毎回「平和なキキまちがい」はここで起きる。

 

店員:「お名前伺ってもよろしいでしょうか?」

吉弘:「よしひろじゅんやです」

店員:「承知いたしました。それでは×月×日19時にお待ちしております」

 

何事もなかったかのように予約されるわけだが、こういう場合はほぼ名前を間違われている。

 

店員:「19時に予約された吉弘ジュニア様ですね、お待ちしておりました」

店員:「吉弘ジュニア様ぁ~、ご来店です!」

 

「元気良く、はきはきと」と、営業マニュアルに書かれているのだろうか。よく通る声で、〝吉弘じゅんや〟ではなく、〝吉弘ジュニア〟と間違われる。

「誰がジュニアや。俺はばりばり長男やからな」と吉弘くんはいつも小声で呟く。

 

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居酒屋での店員さんの聞き間違いはまだある。

同じサークルに、日置(ひおき)くんという一見チャラそうだが、長身のイケメン慶應ボーイがいた。

彼もまた居酒屋の店員によく名前を間違われると言っていた。

さて、日置くんはどんな間違われ方をするだろうか。

なんと日置(ひおき)ではなく〝ひろき〟と間違われるらしい。

…いや、店員さんからしたらHIROKIとでも思っているのだろうか。

「そんなEXILEのATSUSHIっす、みたいな予約の仕方しないからな!」

と彼はEXILEにいそうな風貌で否定する。


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電話というのが曲者なのかもしれない。

僕も高校生の頃、電話で忘れられない「平和なキキまちがい」をされたことがあった。

同じクラスだった仲良し3人組で、放課後にカラオケをしていたときのこと。

僕は部屋に付いている電話で、なっちゃんを頼んだ。

しかし、その数分後、店員さんが持ってきてくれたものは、〝なっちゃん〟ではなく、めちゃくちゃあつあつの〝お茶〟だったのである。

カラオケ部屋で、大音量の音楽に負けないくらいの声量で、

 

「大変お熱くなっておりますので、お気をつけください!」

 

と言われた。しかもウーロン茶とかでもなく、湯飲みに入れてあつあつのお茶持ってきたのだ。

聞き間違えによってまさかの裏メニューを引き当ててしまったのである。

ここまでくると聞き間違えもなんだかお茶目で楽しくなってきた。友達とその日一番笑ったのを覚えている。

似たような発音でも、まったく別の意味になってしまうのだなぁと、改めて言葉の難しさについて考えさせられた。

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ミスはミスでも、ほっこりするようなミスなら許せてしまうのは不思議だ。

今日もどこかで「平和なキキまちがい」が起こっているのだろうか。

 

 「お茶は大変お熱くなっておりますので、お気をつけください」

「カラオケ店員のその気遣いができるなら、仮にお茶と聞き間違えてもなっちゃん持ってこんかいっ!」と思いつつも、ぐっとこらえて、あつあつのお茶をすすった。


そのあと歌ったカラオケの点数は65点だった。これもDAMの聞き間違いなのだろうか。

僕は間違えて出されたあつあつのお茶を再びすすることにした。

もう生ぬるくなっていた。 

 

 

 

 

3年半前に「言葉」について書いた記事。今日のよりこっちの方が面白い気がする。笑

 

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