子どもの頃、よく世界からはみ出してしまっていた。
2人1組になる類いのものが苦手だった。中学生の頃、野球部で、毎朝いつも決まった相手とキャッチボールをする。
しかし、そのキャッチボール相手が風邪で休んだ日にはもうパニックだ。代わりにキャッチボールしようよと周りを見渡しても誰とも目が合わない。
あぁまた世界からはみ出してしまった、と思う。
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お土産も苦手だ。
15枚入りのお煎餅。せっかく買ったものの、ほんとに仲の良い友達2、3人にしか渡せず、結局残り全部自分で食べることになる。
もちろん回転寿司で好きな物なんて頼めなかった。
店員さんに話しかけることができない。
「マグロください!」なんて言うもんなら、「あいつマグロ食べたいんだ」と思われる。何より目立ってしまい、隣にいるお客さんにさえもマグロを食べたいのがばれてしまう。
僕みたいなもんがマグロを食べていると思われるのが恥ずかしかった。だから、自分のところに欲しいお寿司が回ってくるのを永遠待っているしかないのである。
なんて不条理な世界だ。誰にも取ってもらえず回り続けている皿みたいな人生だ、なんて思っていた。
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しかし、そんな僕でもごくたまに世界に触れられる瞬間があった。
眉毛をいじられる時だ。
中学生の頃、ワンピースのサンジの眉毛にそっくりのぐるぐる眉毛だった。
イケてる男子と可愛い女子がわいわい話しているところに呼ばれ、「森井、眉毛がサンジみたいなんやで」といじられる。
「ほんまや~かわいい~♪」
イケてる女子の象徴である上履きと学生鞄に落書きをしている女子からそう言われる。
一瞬でもイケてるグループの会話の中心にいられるのが嬉しかった。
世界に触れた瞬間だった。
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先日、雰囲気の似ている友達にそんな昔話をしたら、すごく共感してくれた。
「その話すごくよくわかる!」
わたしも人の輪に入るのって本当に苦手で、、、
そして最近後輩が入ってきて、仕事を全然しないから怒りたいんだけどなかなか注意できないと言っていた。
「でも今度、勇気だして話してみるね!」
ここまでは良かったのだが、後日あらためて話を聞いたら、「ちゃんと仕事せなあかんよ!」と注意したら後輩にこう返されたらしい。
「え!先輩、関西弁なんですねっ!可愛い~!」
やはり世界は触れそうでなかなか触れない。
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