新年一発目のブログということで、大好きなブロガーさんや記事を紹介しながら、今回自戒を込めて、大変恐れ多いのですが失礼承知で、「こういった文章が読みたい!」と「文章」について書かせてもらおうと思います。
昨年末、DeNAのWELQ騒動がありましたが、最近どうも魂の込もっていない記事が、イケダハヤトさんやはあちゅうさんの劣化版みたいなブロガーが増えた気がします。
無駄にタイトルで煽られた魂の込もっていない文章は、確かにクリックしてしまうかもしれないけれど、一度読まれたらそれっきり。二度と読まれません。
毎日、読者のことを意識されていない似たような記事が作られ、消費される。誰が書いても同じような記事になるなんて、そんなの文章じゃない。
イケダハヤトさんもはあちゅうさんもおそらく今まで数千冊という読書量と経験値があります。そんなバックボーンのある人達が書くから面白いのであって、ただの素人が変に煽って書いても何も心動かされません。
今まで何百何千と読んできたバックボーンを感じさせるような、そんな深みのある文章を魅せてほしいし、僕は読みたいです。いろんな背景が成せるはっとさせられるような着眼点が、読んだ人の血肉となるような一文が欲しいのです。
まずそんな凄まじい筆力のブロガー3人を紹介します。
■数千冊のバックボーンをひしひしと感じるブロガー3選
1.β2
・「フェンスを外す人」(2012/02/27)
・「パチンコとアバクロの類似点」(2011/04/20)
一人目はβ2さん。着眼点と説得力のある文章が凄まじい。
確か5年前にこのブログの存在を知って、こんな鋭い着眼点の文章を書けるようになりたくて、ブログの記事を印刷して構成や文章のリズムを必死に研究していた。
ここ最近の記事は、数年前と比べたら切れ味が落ちている気がするが(上からでほんとすみません…)、ものすごく影響を受けた、憧れであり目標のブロガーさんの一人。
2.真顔日記 (上田啓太)
こう毎週毎週ブログを更新していると、ネタが無くなってくる。何かのハプニングで起きたそのまま文章にしても面白いことって、実際なかなか起こるもんじゃなくて。
だからこそ誰もが見ている何気ない日常をいかに「面白く切り取れるか」「そんな見方・切り口あったのか」と提供できるかにかかってると思っていて。真顔日記の上田啓太さんのなんてことない日常を、ふざけたテンションでここまで書ききる文章力に脱帽。
先週SP番組でやっていた文筆系トークバラエティ「ご本、出しときますね?」で朝井リョウさんが、「世の中には、いろんなことが起きていることを面白く書く人と、何にも起きていないのにその人が書くだけで何も起きていない世界を美しくできる人の2種類いる」と言っていたが、真顔日記の上田啓太さんはまさに後者。例えば、同居している女性とのスーパーでのなんでもない買い物風景が上田啓太さんの手にかかればぱっと輝き出す。
そして何よりただ面白いだけではない。一見なんとなく読むと最近流行りのおもしろおかしく書けるライターさんなのかなと思われがちだが、この方の文章からは何千冊という読書量のバックボーンを感じさせられる。だからオススメなのだ。
3.「ウケる日記」 (水野敬也)
僕が紹介するまでもないと思うが、一番好きなブログの一つでもあるので改めて紹介させてほしい。
水野さんと言えば、下ネタでおもしろおかしく赤裸々に自分を曝け出している文章を書いている。これももちろんめちゃくちゃ笑えるのだが、水野さんの真骨頂は「これだけは伝えたい!」という凄まじい熱量のある文章にこそあると思う。
どうやったら天才を倒せるか、天才と本気で闘ってきた水野さんだからこそ書ける文章。説得力はもちろん、感動すら覚えた。
これなんかピクサーのジョンラセター愛がすごい。熱量のある文章はどんな長文でも最後まで読んでしまう。
■死ぬまでにこれだけは伝えたい!という想いが名文とする
では何百冊、何千冊と読んだことない人は文章を書く資格はないのか、とここまで読んできた人は思うかもしれないが、もちろんそんなことはない。
「その人にしか書けない」文章を読みたいのだ。
仮にそこまで膨大な知識がなかったとしても、その人にしか書けない、魂を注ぎ込んで、死ぬまでにこれを伝えたい!という想いさえあれば、文章のプロじゃなくても自ずと名文となる。
そこで、今度は、これは名文だ!というものを、あえて著名人ではなく、身近な僕の友人や先輩が書いた記事を選ばせてもらった。なので必ずしも文章を書くプロというわけではない。しかし、熱い想いがこもっているので、その人にしか書けない名文なのは間違いない。
◆思わず嫉妬し唸らされた記事4選+α
1.「自分の声との向き合い方」(2015/11/17)
まず埼玉でアナウンサーをやっている塩原桜さんの記事。
内容は、コンプレックスである自分の低い声から一時は逃げようとするも、あるきっかけを経て、しっかりと自分と向き合うことを決意した時の話だ。
彼女が書く文章をこのとき初めて読んだ。何気なく読み始めたのだが、思わず衝撃を受けた。いや、正確には嫉妬した。非常に力のある筆致で、なんて魂がこもっているんだと唸らされた。
この文章は、自分にしか書けない自分の心で感じたことを、借り物ではない自分の言葉で、かつ誰にでもわかる言葉で書いてあるから伝わるのだろうなぁと思った。
今さらこんな記事引っ張り出しくるなよと怒られそうだが(笑)、考えさせられるすごくいい文章だ。
3人目は、某大手広告代理店でコピーライター(Facebookを見ていると、ヤングカンヌの日本代表として選ばれたりと大活躍されているみたいです)をやられている大学の先輩。武田さとみさんの学生時代に書かれたブログ。
これまただいぶ前の記事で勝手に紹介して怒られそうですが(汗)、僕は好きな記事をEvernoteに保存していて、この記事を書くにあたってあらためていろいろと読み返してみたが、やっぱりいい文章だなぁと思ったのがこの武田さんのエッセイ。
映画「おおかみ子どもの雨と雪」を観ていない人には少しわかりにくいかもしれないが、自分が弟と喧嘩した日のことをこの映画になぞらえて書いている。これ以上は何も言わないので、とにかく読んでみてほしい。
何度も何度も読み返したくなる。声に出して読みたくなるようなこんなに綺麗な日本語は久しぶりに読んだ。
上記で紹介した3つの記事はどれもネットでバズりそうにない記事で、実際ほとんど身内にしか読まれていないと思うが、想いが伝わってくる素晴らしい文章だと思う。
4.「【漫画】大学受験編/アルファベット乳の今まで言えなかった話。①②」(2016/11/20) (山科ティナ)
女子大生漫画家の山科ティナさんの昨年末話題になっていたブログ。
知り合いではないが、想いのこもったブログ(漫画)を書く人だなぁと最近知って、急遽4人目に追加させてもらった。
タイトルにあるアルファベット乳とは、A~Jカップの女の子を主人公にした4コマ漫画。その誕生秘話が書かれている。↓↓から読めます。
⚡️ 【#アルファベット乳 シリーズ】
— 山科ティナ (@tinarubii) 2016年11月19日
一周年記念!A~Jカップをまとめてみました。#4スラ漫画 https://t.co/wdqhP8zCcX
漫画家志望で、自伝的マンガを描きたい人は多くいるが、大半はこういうところを見られたいと過去を美化して描いてしまって失敗すると聞く。自分の一番知られたくない恥ずかしいところを描かなければ読者には響かない。
この記事はまさに山科ティナさんが、読者に知られたくないであろう大学受験に失敗し、周りを羨んでいた頃の話が赤裸々に描かれている。自分の知られたくない過去を曝け出しているからこそ、その時の感情がまざまざと伝わってきて、思わず引き込まれる。
あらゆるコンプレックスは、漫画や文章を書くにあたって大きな財産になると、この山科ティナさんのブログを読んで気付かされた。
[番外編]
5.絵描き きしおかみさ子
最後は番外編としてブログではないが、友人のきしおかみさ子さんの絵を紹介する。
自分が今日だれと過ごすのか
— きしおかみさ子 (@misako61) 2016年12月24日
何をするのかよりも
あの人が今日だれと過ごすのか
何をするのかを考えてしまう.
“一緒にいたい”っていう理由だけで
一緒にいれるなんて、しあわせもの. pic.twitter.com/pXtpikZWTg
女子中高生(大学生も?)を中心に圧倒的に支持されているハートウォーミングな絵を描くきしおかみさ子さん。本人の人柄の良さが絵に滲み出ていて、思わずほっこりさせられる。絵はもちろん素晴らしいのだが、ブロガー目線で言うと、きしおかみさ子さんの言葉も注目すべきだと思う。
(「頑張ることも、頑張らないことも、大切。まえ、うしろ、した、うえ。どこを向いてもきみがそれを前だと信じることが大切。きみの頑張りは伝わってます」個人的にこれが好き)
WEBで文章を書くにあたって「タイトル、サムネイル画像、一行目、オチ」の4つの部分を特に力を入れるべきところだが、まず読者が最初に目にするところがサムネイルの画像だ。
2000字の文章が、一枚の絵と一言に負けるときがある。一瞬でたくさんの人に響く言葉を、きしおかみさ子さんの絵から学べる。
それは何より絵と言葉にたくさんの想いが詰まっているからだ。ただ可愛い絵を描いているからバズっているのではない。「だれかの明日を変えたい」「弱っている人に手を差し伸べてあげたい」というきしおかみさ子さんの想いの強さこそが、人気の秘訣であり、他のバズっている絵描きと一線を画すところだ。
■生涯の宝物としての文章
作家・井上靖氏がこんなことを言っていた。
「自分の心を揺さぶられた文章がある。骨董品のように、それを大切にしている。私の蒐集であるから、私だけにその価値と美しさが判り、他人には通用しないものかも知れない。心を揺さぶられた文章を生涯の宝物としてしまわれたい」
きっと魂のこもった文章とは、そういうことなんだと思う。
ここで紹介した文章は、何かの折りに触れた瞬間思い出すことがある。
アナウンサーの友人が書いた「自分の声との向き合い方」(2015/11/17)では、自分のできないことに向き合わなければならないとき、逃げそうになるときに思い出す。そして、いつも僕を前へと押し進めてくれる。
何かのタイミングで思い出せるような文章は素敵だ。一回読んだら忘れるような記事なんていらない。
この記事を書くにあたって、紹介した7人のブログの過去記事は全部読み返してみたが、
読んでいて「これだけは伝えたい!」と思って書いているであろう記事は、熱量が違う。魂や愛がこもっているとすぐにわかる。その圧倒的な熱量が、人を感動させるんだと気づかされた。
先ほど紹介した水野敬也さんの「昨日、TSUTAYAで号泣しました。」(2014/06/22)では本当にピクサーのジョンラセターが、真顔日記さんの「スラムダンクの深津をほめるおじさんについて」(2016/07/28)では、スラムダンクの深津が本当に好きなんだろうなぁというのがひしひしと伝わってくる。その熱量が人を感動させるのだ。
大好きな文章について年始一発目のブログで書こうと決めてから、ここ数ヶ月ずっといい文章ってなんだっけと考えていたが、いい文章とは「魂のこもっている文章」のことだと自分の中で一つ結論が出た。
それは、書き手が本当に大事にしている「これを伝えたい!」という気持ちがこもっている文章のことであり、それゆえ読んだ読者の行動をプラスの方向へ促すことができるのである。だからこそ、漫画ではなく、文章だけで勝負するのなら、一文一文に圧倒的な熱量で魂を注ぎ込まなければならない。
■魂のこもった長文で、心を揺さぶられたい
滔々(とうとう)とこんなこと書いといてお前何様なんだと言われそうだし、えらそうなこと言える立場ではないことは百も承知だ。また今まで「文章で人を傷つけない」をポリシーにやってきて、人やものを批判しないで褒めることにしていたのだが、
それでも「魂のこもった文章を書く人がもっと増えてほしい!」「何よりそんな文章が読みたいのだ!」と一重にその想いから書かせてもらいました。
また自分が思ういい文章とは何かを考えることによって、いつも以上に文章と向き合うことができ、非常に勉強にもなりました。もし良かったら「自分が思ういい文章とは」や、あなたが大切にしている「魂のこもった記事」を教えていただけたら嬉しいです!
ネットの記事でこんな読むのに時間のかかる長文がウケないのはわかっている。時事や芸能、ネコの写真をサムネイルにしたり、つっこみどころのある記事の方が、ネットでウケるのはもちろん知っている。
しかしそれでも僕は、一年後でも、三年後でも覚えておいてもらえるような文章を書きたい。心の糧や支え、血肉となり、読者を前へと行動を導くような、これだけは伝えたい!という魂のこもった長文で心を揺さぶられたいのだ。
それは、骨董品のように大切にされ、生涯の宝物のように--
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最後にお前の魂込めた文章なんぼのもんじゃいと言われそうなので(もちろんこの記事も魂こめて書きましたが)、晒しておきます。こういったブログを書いています。良かったら御高覧くださいませ!!!
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