思考の整頓

"もやもやしたもの"に輪郭をあたえる

noteに移転することにしました

f:id:yuyu413:20210125182526j:plain

2016年の8月から約4年半、こちらのはてなブログで書いてきましたが、これからはnoteで書いていくことにしました。

今でもたくさんの方がこの「思考の整頓~もやもやしたものに輪郭をあたえる~」を読みに来てくださっているので、はてなブログ離れるのは本当に名残惜しいのですが、いろいろ思うところがあり、お引っ越しすることにしました。

詳しくはこちらで書きました。

note.com

今まで本当にありがとうございました!

 

2021年1月25日 森井悠太

「たこ焼きにマヨネーズをかけない」という名のスローガン

f:id:yuyu413:20201101174353j:plain

特定の人たちだけの共通の約束事というものは絆を強くする。

 

少し前の話になるが、姉が結婚した。

大阪に親戚一同が集まり、華やかな結婚式が行われた。

式が終わり、千葉に住んでいる従兄弟がせっかく大阪にまできたのだからと、たこ焼きを食べたいと言い出した。

そこで食べログで☆が高いところを探し、僕と従兄弟家族の5人でたこ焼きを食べに行くこととなった。

f:id:yuyu413:20201101174911j:plain

ここである衝撃的な事実を僕は知ることとなる。

それは、

 

従兄弟は全員「たこ焼きにマヨネーズをかけなかった」のである。

 

家族のうち一人や二人だけかけないのなら、マヨネーズが嫌いなんだなとか、カロリー高いから控えてるのかな、と思うが、

家族4人とも、たこ焼きにマヨネーズをかけなかったのである。

僕はたこ焼きにマヨネーズはマストでかけるので(むしろなかったら食べないくらい)、全員マヨネーズをかけないことを知ってかなり驚いていると、

「うちはマヨネーズかけないんだよ」と一言だけ、素知らぬ顔で言われた。

その後、僕だけマヨネーズをかけようとしたら、マヨネーズの赤いふたがとれて、ドバッとたこ焼きにマヨネーズがかかってしまった。

ああああ。

その瞬間、従兄弟たちと僕とは家族ではないんだなぁと思った。

 

従兄弟家にとって「たこ焼きにマヨネーズをかけないこと」は、今さら議論のしようもない当たり前すぎる共通認識のようなもので、

大袈裟に言うと、こんな風にあるコミュニティ内にのみ存在する規範のようなものは、その集団内の結束を強くし、一体感を生むのだろうなぁと、そのとき感じた。

 

それと同時に「あぁ、これってあのときのあれに似てるなぁ」と思った。


______
それは、大学卒業間際に友達から

リクルートの人ってプライベートでもほんと〝なんでなんで〟って聞くよね」

と言われたときのことだ。

 

リクルートの面接はとにかく「なんでそれをしようと思ったの?」「なんでそう思うの?」と、とにかくなんでなんでなんでなんでなんでと聞かれる。(なので幼少期の頃まで遡って自己分析をする必要がある)

それはリクルートの面接では、行動に至った最も濃い原液のような「原体験」を大切にしているからであり、その人(就活生)のことをもっと深く知りたいという現れでもある。

f:id:yuyu413:20201101175719j:plain

僕はリクルートリンクアンドモチベーションというリクルート出身の人が作った会社しか受けなかったので、他の会社の面接のことを知らないのだが、

他の会社だと幼少期の原体験の話まで深掘りされることは珍しいらしく、また、どうもなんで?と考える癖がついていない人も多いらしいのだ。

実際に今でも友達に「なんで?」と聞くと、「わかんない」「そんなこと考えたこともなかったわ」とよく言われる。

こっちはあなたのことが知りたいだけなのに、「わからん」とだけ言われて、しゅんとなる。
(教えてよ、ちゃんと考えて)

 

いずれにせよ、リクルートの面接を通じて、就活生は「なんで?」と深掘りして考える癖がついていくのだ。

これがリクルートの「暗黙の規範」のような気がしていて、

話を大きくすると、それらは会社のビジョンやミッション、スローガンのようなものとも言えるかもしれない。

 

最近わけあって、いろんな会社のビジョンやミッションを調べていたら、経営者の信念や魂の叫びみたいものが伝わってきて、しかもそれらはそれぞれ違っていてとても興味深かった。

うまくいっている会社は仮にそれらが対外的に明文化されてなかったとしても何かしら伝わってくるもので、その想いに惹かれて人が集まってきている気がした。

ミッションが浸透していると、チームメンバーが同じ方向に進んでいけるだけでなく、採用でも役に立つのだ。

そして、経営者がどんな旗を掲げるか、何を大切にしているかは、激しく揺さぶられた「原体験」からくる。

それっぽい言葉を並べても、原体験がエピソードとして語れない人の言葉は嘘だ。すぐにわかる。

 

________

f:id:yuyu413:20201101180918j:plain

僕が最も偉大な企業の一つだと思っている「ピクサー」という会社がある。

トイ・ストーリー」や「ファインディング・ニモ」、最近だと「リメンバー・ミー」を作ったアニメーションスタジオだ。

1995年、世界初の長編フルCGアニメーション映画「トイ・ストーリー」を発表し、世界的な大ヒットとなり、今なお勢いは止まることを知らず、ヒット作を作り続けている。

f:id:yuyu413:20201101181331j:plain

ピクサーはオフィスの入り口に、オスカー像と映画の原案となった手書きのスケッチ、そして「ボロボロになったウッディの人形」が飾られている。

ピクサーの元CCOのジョン・ラセターがこんなことを言っていた。

 

「このウッディは本当によく遊んでもらった。私たちがアニメーション映画を作り続ける理由はここにある。自分達が生み出した架空のキャラクターが映画を見た子どもたちの中で本物となり、映画を見たあとでもずっとそばにいたいと思ってもらえること。このことのために頑張るのです」

 

この話を聞いて、あぁピクサーすごいなぁさすがだなぁと思った。

このボロボロとなったウッディの人形は、映画のキャラクターが映画の世界から飛び出し、現実の世界でもお客さんの生活の一部になり、夢と希望を与えていることを示しているのだ!

 

成功しているチームは、どのチームも共通の価値観や目的がはっきりしていて、それを徹底している。

そして働く場所は、彼らの価値観や目的を象徴しているような人工物で溢れている。

どの人工物も目的は同じで「これは我々にとって一番大切なものだ」という明確なメッセージを伝えている。

ビジョンやミッションといった同じ言葉を何度も耳にするだけでなく、オフィスの装飾がシグナルの役割を果たすことで、チーム全体が確固とした目的意識を共有するようになるのである。

そして、それらががっちりはまることで、組織としての一体感を生むことにつながるのだ。

 

従兄弟がたこ焼きにマヨネーズをかけなかったことを見て、そんなことを考えていた。

 

f:id:yuyu413:20201101182825j:plain

 

 

■関連記事

姉が結婚した話はこちらでも書いていたのを今思い出しました。

「名字」の話です。ブログをUPするとき、僕の中にいちおうのUPしてもいいボーダーラインみたいなものがありまして、この記事はボーダーラインギリギリの及第点っていう自己評価だったのですが、想像以上に反響があり驚きました。

「名字」がない人はいないのでマーケットがめちゃくちゃ広くて、かつ何十年も背負ってきているものなので、良くも悪くもみんな自分の名字に思い入れが強く、それぞれネタというか苦労話みたいなものがあるのだなぁということに気付けました。それを気付くことができただけで、書いてよかった!

 

■人気記事

「正義と悪」の話です。

 

 

Twitterはこちら

森井悠太 (@yuyu413) | Twitter

Facebookはこちら

https://www.facebook.com/yuuta.morii.12

 

 

■オススメ書籍

 ピクサーの本ならこの2冊が最高です。今でも時々読み返しています。

 

ラセターさん、ありがとう [DVD]

ラセターさん、ありがとう [DVD]

  • 発売日: 2003/11/19
  • メディア: DVD
 

 本文のボロボロのウッディのエピソードは『ラセターさん、ありがとう』というDVDに出てきます。ジョン・ラセターは本を出していないので、彼のことを研究するならこの2枚のDVDが必須!!!です!!!!

ストレングスファインダーオタクの僕が診断結果を捨てて辿り着いたたった一つのこと

f:id:yuyu413:20201006171952j:plain

ストレングスファインダーを捨てることにしました。

いきなりこんなことを言うと、「急にどうした?あんなにストレングスファインダーオタクだったじゃないか!」と僕のことをよく知っている方ならそう思うかもしれませんが、

ストレングスファインダーだけを見ていたらまず気付くことはできなかったであろう、その先にあったとても大切な〝ある一つのこと〟に辿り着くことができました。

ただ、いきなりその「発見したこと」を書くと少しわかりづらくなってしまうので、長くなってしまいますが、まずその結論に行き着くまでの経緯からお伝えしようと思います。

________________

遡ること3年半前、僕は「1万円課金して、ストレングスファインダーの資質34位まで開示してわかった7つのこと」という記事を書きました。

これは、1万円課金して資質34位まで開示し、仲の良い友人・先輩・後輩30人に受験してもらいデータを取った後、数ヶ月に渡る親友との議論の過程で気付いたことを、資質や強みのことをもっと知りたいという方のためにまとめたものです。

大きな枠組みとしての大事な考え方をまとめたストレングスファインダーの「決定版」の記事を作ろうと20000字かけて書きました。

Googleで「ストレングスファインダー」と検索すると80万件近く出てきますが、ありがたいことにその中で最も読まれている記事のうちの一つで、いまなおシェアされ続けています。

当時、ネットに数多あるストレングスファインダーについての記事の中で、最も内容の濃いものができたと自負していました。

それだけに、もうこれ以上アマチュアの僕が書くことはないだろうなと思っていたのですが、

僕の中で一つ大きな発見をしまして、これは書いておかなければ!!!と思い、再び筆をとることにしました。

ーーーーーー

では、なぜストレングスファインダーオタクの僕がストレングスファインダーを捨てることにしたのか?

 

それは、

「レッテルを貼ってしまっていたから」

です。

前述した記事を書くために、何十人と知り合いにストレングスファインダーを受験してもらいました。

受験が終わったらすぐに上位5つの資質が何だったかを聞くのではなく、「あなたの資質はこれとこれとこれじゃない?」と資質当てゲームのようなものをやっていました。

相手のことをよく知っている場合なら5つの資質のうち、3つくらいは当てることができました。

一番うまくいった時だと、4/5当てることもできました。

(これ試しにやってみてください、34資質のうち5つを選んで3つ当てることはけっこう難しいことだとわかると思います)

 

僕の1位の資質は「個別化」です。

この資質が1位に出るくらいなので、僕には人の才能が光って見えます。

その資質当てゲームの結果に、「あぁさすが俺は相手のことをよくわかってるなぁ」と少し傲慢になってしまっていました。

 

そんなある日、当時、最愛のパートナーだった相手にストレングスファインダーをやってもらうことになりました。

最愛なるパートナーなので、相手のことはもちろん知り尽くしています。

「もう5/5当てちゃうもんね!」

と意気揚々と、相手の資質を選びました。

なんだったら、上位だけでなく下位の資質も当ててやろうと、ワースト5も選びました。

そして、

いざ、診断結果を聞くと本当に驚きました。

 

結果はたったの2つしか当たっていなかったです。

さらに、ここからが大事なところなのですが、

弱みだろうなぁと下位の資質に選んだ2つの資質が、なんとその子の上位の資質だったのです!

 

これには本当に愕然としました。

よりにもよって一番よく知っているパートナーの弱みだと思っていたことが、実は強みだったからです。

僕は勝手に相手にレッテルを貼ってしまっていたのです。

 

文字通り、言葉を失いました。

そのとき、やっと自分の傲慢さを思い知りました。謙虚さを失っていたのです。

だってそうですよね、例えば、僕は「競争性」が強いので、僕のモチベーションを上げようと思ったら誰かと競争させることが一番ですが、このままだと、競争がとにかく嫌いという人に競争を強いてしまう可能性があるからです。やばすぎです。そんな上司いたら最悪でしょう。

このままだとやばい!と初めて危機感を感じ、もっともっと「個別化」の才能の精度を上げなければ!この才能を伸ばしたい!と思うようになっていきました。

 

その後、個別化を高めるためにはどうしたらいいか考えたところ、主に下記の5つだと考えました。

 

1.性格診断をいろいろと受けてみる
(ストレングスファインダーとは違ったフレームワークで「人間理解」を深める)

2.性格心理学を勉強する

3.知り合いにストレングスファインダーを受けてもらい、データをさらに増やす

4.自分で全資質の説明書を作る

5.日本におけるストレングスファインダーの第一人者である森川里美さんに会いに行く

 

そこで、ついに、

ストレングスファインダーを捨てることにしました。

ストレングスファインダーをより深く理解するために、他のフレームワークを知る必要があると思ったからです。

しっくりきたものを一つ深めようと、まず片っ端から、有名な性格診断を受けていきます。

エニアグラム
ウェルスダイナミクス
ビックファイブ
VIA-IS
DiSC
MBTI

などなど。

 

ただ、やってみて思ったことは、

「どれもストレングスファインダーより複雑ではないな」

でした。

例えば、この中で一番有名なのは「エニアグラム」だと思いますが、エニアグラムはたった9つの分類しかありません。

ストレングスファインダーは34資質あります。上位5つの組み合わせだけでも3300万通りあります。

これだけでも、ストレングスファインダーがいかに複雑で、深く、そして難しいかがわかるかと思います。

 

ストレングスファインダーを深めつつあった僕からしたら、他の性格診断はあまり面白いと思えず、、、

なので、次は性格診断ではなく枠組みを広くとって、性格全体を調べることにしました。

他のアプローチで性格を分析してみようと、「性格心理学」や「感情心理学」と言われる分野の本を読んでみました。

ただこのアプローチも僕にはいまいちぴんときませんでした。

わかったことは、「性格についてあまりよくわかっていない」ということだけ。

 

結局、『さあ、才能に目覚めよう』をしっかり読み込むのが一番なんいいじゃないかと、

ここで、再び、一度は捨てたもののストレングスファインダーに、振り出しに戻ってきてしまいました。

実際のところ、自分の上位の資質のところはじっくり読み込んでいましたが、軽く流し見くらいの箇所も多々あったので、これを機に隅から隅まで読んでいくことにしました。

 

なんと、これが大当たりでした。

ここに大きなヒントとなるものを見つけます。

 

下の画像を見てください。

f:id:yuyu413:20201006173701j:plain

第7章の後にある【参考資料 ストレングスファインダーに関するテクニカルレポート】のところです。

おそらく10人いたら9.8人くらいは読んでないところだと思います。
(目を通したことあります?)

この10ページ以上に渡る参考資料の1~2ページ目にこんなことが書かれていました。

 

f:id:yuyu413:20201006174224j:plain

f:id:yuyu413:20201006174236j:plain

「ストレングスファインダーとは、ポジティブサイコロジーの見地から人間性を探るために、ウェブ専用に開発された世界初の道具だ」

「ストレングスファインダーは、ポジティブサイコロジーの一般的モデルに基づいている」

 

ポジティブサイコロジーに基づいて作られてたの!?

え、そうなの!?

 

「ポジティブサイコロジー」とは、日本で言うところのポジティブ心理学のことで、

1998年に、アメリカ心理学会の会長であるマーティン・セリグマン博士が、

「心理学は人間の弱みばかりでなく、人間の良いところや人徳を研究する学問でもあり、すでに主要な心理学的理論はそのような補強を行う方向に変貌しつつある」

「われわれが解明したのは、精神障害やその治療法といった分野だ。人の強みや人が得意とすることといった、その裏側はまだ解明していない」

と指摘し、新しく創設した学問領域のことです。

 

さらに、ギャラップ社の元会長であり、『さあ、才能に目覚めよう』の著者の一人であるドナルド・O・クリフトンのプロフィールを見ると、

ポジティブ心理学の祖父」と確かに書かれていました。

f:id:yuyu413:20201017151006j:plain


これには驚きました。

なんとストレングスファインダーは「ポジティブ心理学」の理論に基づいて作られていたのです!!!

(このことはストレングスファインダーをしっかりとやられている人からしたら当たり前も当たり前なことなのですが、当時、我流でずっとやってきた僕からしたらかなり衝撃でした)

必ずここにストレングスファインダーを、強みを、人間そのものを深く理解するために必要な何かが眠っていると、

 

マーティン・セリグマン
ミハイ・チクセントミハイ
バーバラ・フレドリクソン
ショーン・エイカ
タル・ベン・シャハー
ソニア・リュボミアスキー
イローナ・ボニウェル
クリストファー・ピーターソン
ロバート・ビスワス=ディナー
前野隆司

 

など、ポジティブ心理学の第一人者と言われる人の著作を片っ端から読んでいきました。

これが、本記事の冒頭で書いた〝ある発見〟に、この記事を書くに至ったきっかけにつながることになります。

 

(※ちなみにポジティブサイコロジーと書かれた参考資料は『新版 さあ、才能に目覚めよう』には掲載されていません。

2017年に新版が発売されましたが、訳は少しわかりやすくなっているものの、参考資料を含めて150ページカットされています。ちなみに値段は200円高くなっています。笑

下の画像の左の本に参考資料などもろもろ細かい情報が載っているので、もし興味のある方はこちらを買ってみてください。中古ならAmazonで手に入ると思います。)

f:id:yuyu413:20201006175215j:plain


__________

話を戻します。

やっと長い長い前振りが終わりました。

 

ポジティブ心理学の本を読むようになったので、当然、「幸せ」について考えるようになっていきます。

幸せについて考えるようになってわかったことは、当たり前ですが、誰もが幸せになれる魔法のような方法はないということです。

幸せは主観であり、人それぞれ、ニーズや関心、価値観、性向は異なるので、その人によって力を注ぐ方法、効果が期待できる方法も異なるからです。

もし幸せになるための秘訣のようなものがあるとするならば、それは「自分の中」にしかないなと気付きました。

そこで、「自分に詳しくなる」ために、しっかり立ち止まって、様々なことを言語化していきました。

 

自分にとって、

・いい人生とは
・成功とは何か
・人生のテーマ、志
・生きる意味
etc

これらの答えは本当に人それぞれであり、自分の中にしかありません。今まで経験したことから滲み出てくるものだからです。

そして最後に、自分はどういう時に幸せを感じるのか、

・嬉しいこと、幸せを感じること、やりがいを感じること

言語化しました。

 

それが以下です。そこそこ恥ずかしいですが公開します。

 

【嬉しいこと、幸せを感じること、やりがいを感じること】

●ある高い目標を達成するために、できないことをできるよう努力したり、誰かと競争しているとき

●新しくおもしろい人等と出会い、仲良くなった(自分を好きになってもらえた)とき

●(一番になって)みんなから注目されている(人気者になれている)とき

●一つのこと(趣味、仕事)に没頭し、極めようとしているとき

●好きな本を読みながら考え、好きなことを書いているとき

●(本などを読むことで、知らないことを知り、知的好奇心が満たされたとき)

 

以上の6つが挙がりました。

6つ目だけ括弧に入っているのは、上の5つと比べたらそこまでだけど、それなりに幸せを感じることなのでいちお括弧に入れて書きました。

 

この6つを見て、何かを気付いた人はいないでしょうか?

一つ、共通点があります。

僕自身、これらの言語化したメモを見たときに、すぐにあることに気付き、思わずはっとしました。

 

もう一度、6つの項目を見てみてください。あることを書き加えています。

 

【嬉しいこと、幸せを感じること、やりがいを感じること】

●ある高い目標を達成するために、できないことをできるよう努力したり、誰かと競争していること
⇒目標志向(3位)、未来志向(4位)、競争性(2位)

●新しくおもしろい人等と出会い、仲良くなった(自分を好きになってもらえた)とき
⇒社交性(8位)

●(一番になって)みんなから注目されている(人気者になれている)こと
⇒自我(6位)、競争性(2位)

●一つのこと(趣味、仕事)に没頭し、極めようとしているとき
⇒最上志向(9位)

●好きな本を読みながら考え、好きなことを書いているとき
⇒内省(5位)、個別化(1位)

●(本などを読むことで、知らないことを知り、知的好奇心が満たされたとき)
⇒内省(5位)、学習欲(14位)

 

書き加えたところを見ていただいたらわかると思いますが、

なんと、僕が幸せと感じる瞬間は、ストレングスファインダーの上位の資質を使っている時だったのです!!!!

幸せというと「信頼できる大好きな人と一緒に暮らす」みたいなのが入ってきそうですが、それがないということは、やはり親密性(32位)が低いということなのでしょう。

括弧に入れていた6つ目の項目は唯一トップ10に入っていなかった資質なので、括弧に入れたのも納得でした。

 

つまり、このことからわかることは、

「強みを使っている時、人は幸せを感じる」

ということなのです!

強みと幸せが、ストレングスファインダーとポジティブ心理学がシンクロした瞬間でした!!!!

 

研究によると、自分の強みを知って、それに従うことは以下のような効果があることがわかりました。

・人生への洞察力や展望が養われる
・ストレスを感じにくくなる
・楽観性や回復力が生まれる
・自信や自尊心が高まる
・生命力やエネルギーが高まる
・達成感や充足感が生まれる
・目標を達成しやすくなる
・仕事への集中力が高まり、能力を発揮できるようになる
etc

本当に様々な効果がありますが、わかりやすく言うと、「強みを活かすことは幸せにつながる」ということなのです。

 

ストレングスファインダーがポジティブ心理学に基づいて作られたとはそういうことだったのか!!!と、この時、本当に腑に落ちることができました。

 

ーーーーー

f:id:yuyu413:20201006180500j:plain

僕はストレングスファインダー以外に、同時期にアドラー心理学の講座にも通い、勉強したことがあるのですが、

ストレングスファインダーとアドラー心理学とでは、そこにいる人の性格、特徴的な資質がまるで違いました。

ざっくり言うと、

アドラー心理学は「回復志向」

ストレングスファインダーは「最上志向」

です。(あくまでざっくりです)

 

この二つの資質を「試験勉強」で例えると、

苦手な教科を並くらいに引き上げようとするのが回復志向で、苦手教科はほっといて得意教科をさらに伸ばそうとするのが最上志向です。

回復志向は医療関係者に多い資質ですが、アドラー自身精神科医だったこともあり、アドラー心理学に集まってくる人は、似たような人が多く、やはり強みよりも弱みに、問題がある部分に目をやる人が多かったです。

実際に、アドラー心理学の講座で隣の席に座った障がい者支援のお仕事をされていた方にストレングスファインダーをやってもらいましたが、やはりトップ5に回復志向がありました。

 

一方で、ストレングスファインダー(にいる人)はどうかというと、本書に「成長の可能性を最も多く秘めているのは、一人ひとりが一番の強みとして持っている分野である」と書いてあるくらいなので、強みに意識が向いている人がほとんどです。

そこで、ストレングスラボが主催しているセミナーに行ってみたのですが、当日、初対面の人ばかりのはずの講座の会場がめちゃくちゃうるさかったんです。

みんな知らない人なのにこんなにうるさいわけがないと、僕は会場を間違えたと思い、その部屋から一度出て確認しなおしてしまったくらいでした。(もちろん会場は合っていました)

 

では、なぜそんなに騒々しかったのか?

ストレングスファインダーにいる人が本質的に明るいかと言うと決してそんなことはないでしょう。内向的な人も多数いました。

では、なぜか?

先ほども書きましたが、強みを使っていると(自分の強みの話をしていると)、人は自尊心や自信が高まり、エネルギーが溢れ出てきます。

そのため、気分が自然と明るくなり、バイタリティーに満ち溢れ、思わず饒舌になってしまっていたのではないだろうかと僕は考えています!

 

強みに目をやることでエネルギーが溢れ、生き生きとした人ばかりいる空間だったため、本当に居心地が良く、アドラー心理学ではなくストレングスファインダーをより深めていこうとその時決めました。

(※もちろん、言うまでもありませんが、回復志向はとても素晴らしい資質です。回復志向を持つ(ことの多い)医療関係者のおかげで僕たちは病気をしてもやっていけるのです。コロナ禍ではなおのことです。

またわかりやすく説明するために、回復志向と最上志向の二つを比較して書きましたが、あくまでそれらの説明は傾向性に過ぎず、資質は他の資質との組み合わせによって出方がまるで変わってきます)


ーーーーー

f:id:yuyu413:20201006181402j:plain

ポジティブ心理学の主なゴールの一つは、それぞれの人に自分の「特徴的な強み」を気づかせることだったのです。

自分の強みを活かして世の中に貢献できれば、大きな満足感と生きる意味を心から感じることができるからです。

ポイントは、「その強みを使うことで、ワクワクしてエネルギーがわいてくるかどうか」です。

 

僕は「社交性を使っている時の自分」が一番好きなのですが、

この資質を使っていると、とにかくエネルギーがわいてきます。

どのくらいエネルギーがわいているかと言うと、社交性をうまく使えたら(新しい人と知り合い、自分のことを好きになってもらえたら)、次の日の朝は、必ずいつもより早く目が覚めるくらいです。

エネルギーがわいてくるので、いつもより睡眠時間が短くても大丈夫なのです。

 

「自分の強みを発見しただけの場合」と「それを活かす努力をした場合」とを比較した研究結果によると、

「前者の場合は、幸福度の上昇が一時的なものであるのに対して、後者の場合は、顕著な上昇が持続した」とわかりました。

僕は知らない人と知り合える機会を定期的に設けることにしています。

たったこれだけで日々の心のありようが大きく変わってくると今ではよく知っているからです。

自分を知り、強みを活かすことこそ、充実した人生を生きるために必要不可欠なことなのです。

 

「幸せになるためには、自分の強みに時間を費やすこと」

 

ストレングスファインダーを捨て、個別化を高める方法を探すためにいろいろと模索してきましたが、

最終的に辿り着いた場所がここ_____「強みと幸せ」_____でした。

 

f:id:yuyu413:20201006183046j:plain

 

 


___________
余談①
※ここからは余談になります。流れの都合上、本文に入りきらなかった、でも話しておきたいことを書いています。お時間が許す方はオマケもお楽しみください(笑)

 

どうやったら個別化を高められるかを掴むために、日本におけるストレングスファインダーの第一人者である森川里美さんに話を聞きにこのストレングスラボの基礎コースに参加しました!
↓↓
https://strengths-labo.com/workshop-individuals/

f:id:yuyu413:20201006195127j:plain

ちょうど2年前に参加させていただいたのですが、まるまる2日間にわたる講座で、お世辞抜きでめちゃくちゃ楽しかったです。
(そうです、本当はこの記事2年前に書こうと思ってたことなんですよね……やっと書く時間を取れました。汗)

ストレングスファインダー興味ある方はぜひ参加してみることをオススメします!!
(おそらく今オンラインになってますが、絶対オフラインのときがオススメです!)

この講座には森川さん以外にも、知識茂雄さん、友松恵子さん、平田奈美さん、西素直さんなど、他多数の様々な素晴らしいストレングスコーチの方々がいらっしゃいました。

 

そこで話しかけては「こうこうこういったことがあって、個別化を高めたいんです!どうしたらいいですかね?!」

と聞いていったのですが、今思うととても恥ずかしい。浅はかだったなと。

『新版 さあ、才能に目覚めよう』の219ページにも、

2つの注意点と題して、「レッテル貼りをしない」とまさに書かれていました。

f:id:yuyu413:20201006204404j:plain

f:id:yuyu413:20201006204453j:plain

「「あなたは◯◯の資質が高いから××だね」「◯◯が高いから、あなたはこういう人だね」といったレッテル貼りをしてしまうと、その後に待っているのは相手からの反発です。自分勝手なプロファイルで相手を「こういう人だ」と決めつけたり押し付けたりするのはやめましょう。

……(略)……

大事なことは、相手に問いを投げかけ、返ってきた言葉に耳を傾けることです。相手の話を引き出し、当人が自分自身で道を選択していくためのツールとしてストレングスファインダーを使ってほしいと思います」

 

僕には「対話」がありませんでした。ただの占い師だったのです。

まさに注意点の一つに書かれていた失敗を犯してしまっていたのです。

 

個別化の精度をもっと上げないといけないと思っていること自体、なまじ人を見る才能があるからこその思い上がりであり、傲慢でした。

わからないことがあれば、相手に聞けばいいのです。「対話」すればいいのです。

わざわざ当てる必要なんてなかったのでした。

 

ちなみに、僕のこの質問に対するアンサーソングのようなものを、後日、知識茂雄さんがブログに書いてくれていました。

良かったらこちらも読んでみてください。
↓↓

「他者理解を深めることを手放す」

 

また西素直さんからは、こんなことを言われました。

「プロファイルは仮説にしか過ぎません。ましてや、その本人を特定するものでもありません。なので、プロファイルはしますが、本人から話されることが真実であり、そちらを尊重します。ストレングスファインダーの結果やプロファイルにこだわることはありません。

というか、こだわり過ぎないようにしています。ストレングスコーチは、占い師のように当てることが仕事ではないのですから。

クライアントの可能性を拓くことが私の使命です。プロファイルによって、クライアント自身が、自分の可能性を気付いたり、感じてもらえたらと私は思っています。」

 

他の方々からも、

・予測で十分。完璧にする必要はない。持っているものを活かす
・誰も完璧には当てられないし、診断結果は傾向性に過ぎない
・本質を掴む。あとは対話

もうぐうの音も出ませんね。


______________
余談②

本当はこの記事、2年前に書く予定だったのですが、延びに延びたことで気付けたこともありました。

3年半前に「1万円課金して、ストレングスファインダーの資質34位まで開示してわかった7つのこと」を書くにあたって、僕は30人以上の人のデータを集めました。

(ストレングスファインダーについていつも議論している相棒と僕はちょうど大学4年の時にとても活発に議論していたこともあり、この記事のことを〝卒論〟と呼んでいます。笑)

そして、今回、〝修論〟を書くにあたって、再度、データを取り直すことにしたんですね。

新しく受けてもらうのはもちろんのこと、前回、受けてもらった人に再度、受験してもらいました。

中には5、6年ぶりにストレングスファインダーを受け直してもらった人もいます。

それらのデータを見て、僕はとても驚きました。

 

なぜなら、前回受けた資質と比べて、大幅に変わっている人がいたからです。

例えば、4年前に受けたときは30位だった「包含」が8位になっていたり、25位だった「ポジティブ」が3位になっていたのです。

始め、このデータを見たとき、僕はレアケースとして処理しました。まぁ何事においても例外ってあるよね、くらいに。特にここから得られるものはないかなぁと。

「1万円課金して、ストレングスファインダーの資質34位まで開示してわかった7つのこと」で僕は「もう性格は変わらない」と書きました。

実際に本書にも「資質は永続的なもので、自分を変えようとしても、資質は絶対に変わらない」と書かれていました。

僕自身、3年ぶりに試しに2度目のストレングスファインダ-を受験してみたら、上位5つの資質のうち4/5が3年前と同じでしたし、入れ替わった資質は、もともと上位にあったものだったからです。

 

しかし、です。

先ほどのレアケースだと思われた人と同様に、大幅に資質が変わった人が複数人見つかったのです!!!

課金をし全資質を開示した人が、数年後にまたストレングスファインダーをやり、さらに全資質開示してもらう、という作業は非常に時間と手間とお金がかかり、あまりデータが取れていないので、この少ないデータから結論を導き出すのは些か早計だということは重々承知の上で言いますが、

このデータから導き出せることは(僕の分析思考が言うには)、

「性格は変えられる」

ということです。

 

「もう性格は変わらない」と書きましたが、ごめんなさい、ここで訂正させてください!!!

 

「1万円課金して、ストレングスファインダーの資質34位まで開示してわかった7つのこと」を書いてから、3年半が経ちましたが、実際にこの3年半で性格が大きく変わったなぁという人を僕は何人も見てきました。

何より、僕自身が性格が180度変わったことのある人間なので、「性格は変えられる」と言いたいです。
(性格が大幅に変わった後、ストレングスファインダーを2回受けているので、資質自体はほとんど変わっていません)

 

そこで調べてみると、人間の性格は「遺伝」で50%決まります。

残りの50%は「環境」です。

これを半分しかないと捉えるか、半分もあると捉えるかはその人次第ですが、

僕はここから、本人の意志次第でいくらでも

「性格は変えられる」

と考えています。

 

これを読んで、「いやいや、性格なんて変えられないでしょ?」と思った方もいるかもしれません。

なぜ変えられないのか?

それは、

変わりたくないから

です。

本人が変わらないと選択しているのです。

この話を読者がしっかり納得のいく形で書こうとすると、あと数千字必要になってくるので、「性格は変えられる」という話はまた別の機会にじっくり書けたらと思っています。

 

いずれにせよ、こういったこともあり、(また考えが変わるかもしれませんが)現時点での僕はもう自分の34資質の順位をほとんど気にしていません。

ストレングスファインダーをもう一度受験することもないと思います。

ストレングスファインダーの順位は、今一番頻繁に使っている資質が上位に出やすいですし(なので環境が変われば、資質の順位も変わってきます。昔上位にあったのが真ん中くらいの順位になるのは無くなっているわけではなく、今はそんなに使っていないというだけで、上位にあるものは無くなりません)、

仮にトップ10に入っていなかったとしても、それが自分の特徴的な資質だと思えば、それは立派なあなたの強みなのです。

全資質開示の良いところは、上位の資質だけでなく下位の資質までわかることで、自分を立体的に見られることにありますが、

悪い点は(いや注意すべき点と言った方が適切かもしれませんが)、絶対に最下位の資質が出てしまうことであり、「勝手に自分で下位の資質に蓋をしてしまうこと」だと思っています。

 

実際に勝手に自分にレッテルを貼っている人を何度も見てきました。

全資質開示するくらいなのでストレングスファインダーに興味を持っていて、なまじ知識があるがゆえに、強みを活かそうと下位の資質に蓋をしてしまっているのです。

蓋をすると何がいけないのか?

それは長所が消えてしまう可能性があるからです。

長所と短所は裏表の関係にあり、長所は短所であり、短所は長所です。

下位の資質に蓋をすると、知らず知らずのうちに長所にも蓋をしてしまうことになる可能性があるのです。

 

もちろん強みから入ることはとても良いことです。本文でも強みを活かすことが幸せにつながると書きました。

ただ、ここで言いたいのは、

下位だろうと上位の資質であろうと、

「あなたの34資質、全てを愛してほしい」

ということなのです。

 

ギャラップ社のサイトを見ていると「Love All 34 Talent Themes」という言葉がたびたび出てきます。

強みに投資せよと言っているので矛盾してるように聞こえますが、最初は強みから入ったとしても、最終的に自分の良いところも悪いところも受け入れた上で、全てを愛してあげてください。

そうすれば、きっとあなただけの幸せが訪れるはずです。 

 

本当は2年前に書く予定だったこの記事ですが、以上が、延びに延びたことで気付けたこともあったという話でした。

 

 

_____________ 

■関連記事

前作を3年半ぶりに大幅に書き直しました!4000字書き加え、この3年半で集めた資質のエピソードをたんまり詰めこみ、(コンテンツとして)弱いエピソードを強いエピソードに書き換えたりもしたのでかなり面白くなってるはずです。

タイトルは「1万円課金して、ストレングスファインダーの資質34位まで開示してわかった6つのこと」から「7つのこと」になりました。前々から7つにしたかったんですよね(笑)

まだ読んだことない人も、一度読んだことある人も良かったらこちらもどうぞ!!!2よりも1の方が面白いはずなので!!!!!

(いつかストレングスファインダーについての〝博論〟も書けたらなぁ。しっかりと資格を取って、プロとして修業を積んでからまた書きますね!ここまで読んでくださり本当にありがとうございました!!!)

 

 

Twitterはこちら

森井悠太 (@yuyu413) | Twitter

Facebookはこちら

https://www.facebook.com/yuuta.morii.12


_____________

f:id:yuyu413:20201006211014j:plain

最後に、情報交換してくださる方、募集しています!

ストレングスファインダーにはまったのは、実は5年半前に資質について一緒に議論し合える相棒を見つけてからです。

それまでは「この本(『さあ、才能に目覚めよう』)けっこうおもろいな」くらいにしか思っていなかったです。

結局、個別化を高める方法は次の2点に行き着きました。

1.他者との対話
2.人間理解

よくストレングスファインダー関連の人は「自己理解」という言葉を使いますが、僕はどちらかというと自己よりも人間に興味あり、「人間理解」を深めたいと思っています。

もちろん、自己理解は内省マンの僕にとってライフワークみたいなもので、昔から読書しながら自分と向き合ってきたので、「専門は何ですか?」「何に詳しいですか?」と聞かれたら、「専門と得意分野は〝自分〟です。学生時代は〝自分〟を研究していました!」と、ほんとは言いたいくらいです(笑)

 

人間理解が深まったなという本は以下のような本があります。

『影響力の武器』(ロバート・B・チャルディーニ)
『ファスト&スロー』(ダニエル・カーネマン)
『人を動かす』(デール・カーネギー)
『愛するということ』(エーリッヒ・フロム)
『天才!』(マルコム・グラッドウェル)
『つながり』(ニコラス・A・クリスタキス、ジェイムズ・H・ファウラー)
『世界でひとつだけの幸せ』(マーティン・セリグマン)
『脳の中の幽霊』(V・S・ラマチャンドラン、サンドラ・ブレイクスリー)
『銃・病原菌・鉄』(ジャレド・ダイアモンド)
ホモルーデンス』(ホイジンガ)

これらが全てバイブルというわけではありませんし、他にもオススメはたくさんありますが、10冊ぱっと思い付いたものを書いています。これらの本にピンと来た方、ぜひ対話しましょう。

 

 

_____________ 

■関連記事
今までも何度か「幸せ」について書いていまして、ポジティブ心理学において重要な概念である、

・フロー体験
自己実現と社会的な人間関係
・逆境下成長、レジリエンス
・運動

について書いた記事が以下の4本です。良かったらこちらもどうぞ!

 

 

「精神的にしんどいな」と思ったらまずすべきこと

f:id:yuyu413:20200904181748j:plain

まずすべきことってなんだ?と思ってクリックしていただいた方のためにすぐに答えを言ってしまいますが、

 

それは、

「運動」

です。

 

運動ってすごくないですか?

なんだよ運動かよ、そんなことお前に言われなくても100万年前から知ってるわボケ

と思ったかもしれませんが、離脱せずにもうちょっとだけお時間をいただけますでしょうか。

 

ありがとうございます、あなたはとても優しい方だ。

 

 

僕が上京したばかりの大学1年の頃の話なのですが、

当時、お金が無くて、駅まで徒歩16分かかるやっすいアパートみたいなところに住んでたんですね。

アパートと言っても僕を入れて2人しか住んでないところで、周囲にも街灯があまりなくて、夜になるとやたら暗いんですよ。

 

ちょうど沖縄旅行から帰ってきたばかりのサークルの同期が遊びに来たときに、

「ここ沖縄みたい」

と(田舎の夜くらい暗いと)言われたことがあるくらいでして。

 

で、そのアパートの目の前に桜の木があるんですね。

これがまぁ見事なくらいに不気味でして、目黒川の夜桜とはほど遠いものでした。

 

f:id:yuyu413:20200904182544j:plain

ある日の夜、僕はランニングをしようと家を出たら、その桜の木が目に入り、

「この木の下に死体が埋まってそうやし、めちゃくちゃ気味悪いな。えらいとこ引っ越してきてもうたわ……」

と思いながら走りに行ったんです。

その後、30分くらいランニングして戻ってきて、

再び、その夜桜を見たときにこう思いました。

 

「あれ、綺麗……!!!」

と。

走る前に見たときは間違いなく「不気味」と思っていたのに、走り終えて帰ってきたときは「綺麗」と思えたんです!!!!

同じ桜の木なのに、ですよ?

運動ってすごくないですか?!

 

これは、おそらく心理学用語で「投影」というメカニズムが働いていて、投影とは自分の心の状態を人やモノに映し出すことを言います。

例えば、自分の内面が幸せな時には、世界が輝いているように見えますし、一方で寂しい時には寂しく荒んでいるように映ります。

そういう意味で、現実に起きる出来事は、自分の内面を映し出した鏡なのです。

 

走り出す前はあまり調子が良くなく、おそらく桜の木に「不気味だ」とその時の気分を投影してしまっていました。

しかし、ランニングをすることで心臓から血液がさかんに送り出され、脳がベストな状態になったおかげで、走り終えた後、爽快な気分になれたのでしょう。

同じ桜の木を見ていても、「不気味・綺麗」と感じ方が違ったのはそういうことだったのです。

f:id:yuyu413:20200920211200j:plain

 

さて、ここで問題です。

 

有名な研究なので知っている方もいらっしゃるかもしれませんが、

うつ病患者を3つのグループに分けて比較しました。

1つ目のグループには抗うつ薬を処方し、

2つ目のグループにはエアロビクスをさせ、

3つ目のグループにはその両方を組み合わせました。

この3つのグループのうち、半年後、最もうつ病の再発率が低かったのはどのグループでしょう?

 

ちなみに4ヶ月後にはどのグループも改善を見せたのですが、半年後、あるグループだけはダントツで再発率が低かったんです。

 

 

問題もう一度言いますね。

問題:半年後、最もうつ病の再発率が低かったのはどれでしょう?

抗うつ薬
②運動
③運動と抗うつ薬

 

 

 

決まりましたか?

 

 

 

 

 

 

そろそろいいですかね?

 

 

 

 

 

 

 

決まったようなので、答えを言います。

 

 

3つのグループのうち、うつ病の再発率が最も低かったのは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②の

運動のみ

です!

 

抗うつ薬のみの被験者の再発率は38%、

抗うつ薬と運動の治療を受けたグループは31%、

運動のみを行ったグループは、たったの9%しか再発してなかったのです!

 

 

もう一度、言わせてください。

 

運動ってすごくないですか?!

 

僕はこの研究結果が好きで、一度聞いたときから頭にこびりついて離れないのですが、

実験を行った研究者の当初の予想では、運動をしながら抗うつ薬も服用したグループが最高の結果を出すものだと思われていたのですが、結果は大きく異なりました。

この1999年の研究で、うつ病の治療には塩酸セルトラリン(抗うつ薬)より運動の方が効果があると証明されたのです!

実際にイギリスでは、うつ病の治療の第一歩として、医者は患者にまず運動を勧めています。

運動は深刻なうつから軽いうつまで、すべてに効くのです。

 

ある医学博士は言います。

「私は運動が脳の化学反応を変えてうつを治すという考えを信用しようとしない患者には、この研究論文をコピーして渡すようにしている。この研究は、少なくとも現在の精神医学としては最善を尽くして運動の効果について白黒をはっきりさせているからだ。

この研究の成果は、ぜひとも医学校で教え、生命保険会社にも浸透させ、国中の老人ホームの掲示板に貼り出すべきだ。老人ホームでは入居者の五分の一近くがうつを患っている。

運動がゾロフト(抗うつ薬)に負けず劣らず効果があると皆が知っていれば、その病気を根本からやっつけられるはずだ」

 

運動が脳に及ぼす影響についてわかったことの大半は、うつ病の研究を通じてでした。

運動は、ほとんどの精神の問題にとって最高の治療法なのです。

 


______ 

f:id:yuyu413:20200920211218j:plain

では、なぜ運動がここまで体にいいのか?なぜうつ病に効くのでしょうか?

 

まず、体にはモルヒネのような痛みを抑える仕組みが備わっています。

それは「エンドルフィン」という物質で、体の痛みを和らげ、幸福感をもたらします。

このエンドルフィンは、ストレスホルモンの一つとして見なされていて、きつい運動の最中に脳を落ち着かせ、筋肉の痛みを和らげることができます。

「試合中アドレナリンが出てたから怪我していることに気付かなかった」といったようなことを言う人がたまにいますが、これはストレスホルモンであるエンドルフィンのおかげでもあります。

実際に痛みを和らげているのです。

このモルヒネのような物質は、運動することで分泌され、脳がエンドルフィンで満たされるので、気分が良くなるのです!

 

また、運動することで、エンドルフィン以外にも「神経伝達物質」と呼ばれるノルアドレナリンドーパミンセロトニンといった脳内物質も増やすことができます。

運動すると、まず脳の特定の部位でノルアドレナリンが急増します。それによって脳が目覚めて働き出し、うつのせいで失いかけていた自尊心を回復することができます。

ノルアドレナリンは気分について理解するために研究された最初の神経伝達物質で、注意や知覚、意欲、覚醒に影響する信号をよく増強させます。

また、ドーパミンも放出させます。ドーパミンは気持ちを前向きにし、幸福感を高め、注意システムを活性化させます。やる気と集中力を総括している神経伝達物質です。

セロトニンも同じように運動の影響を受けます。セロトニンは自尊心を保つためになくてはならないもので、気分や衝動、怒りを調整しています。脳の機能を正常に保つ働きをしているので、よく脳の警察官と呼ばれます。ストレスを抑えることにも役立っています。

 

うつ病が発症するのはこの3つの神経伝達物質が不足するためだと言われています。

精神の状態を改善するために用いる薬のほとんどが、これら3つの神経伝達物質の一つか、あるいは複数に働きかけます。

例えば、プロザック(うつ病や不安障害、強迫神経症の原因となる脳の暴走を抑える)やリタリン(ドーパミンを増やして気持ちを落ち着ける役割)という抗うつ薬がありますが、運動をするとそれらを少々服用したような効果があります。

運動がここまで体に良いのは、それらの薬と同じく「神経伝達物質」を増やすからなのです。

 

最近、誰もが羨むであろう芸能人がうつ病で自殺をしてしまうという悲しい出来事がありましたね。

世間の人々からしてみれば、全てを兼ね備えているかのような俳優だっただけに本当に驚きでしたが、自殺は自尊心の低下からくるものだったのかもしれません。

この「自尊心の低さ」はうつ病がもたらす大きな特徴です。

周囲の人達からどんなに羨ましがられていたとしても、うつ病の本人からしたら、自分は社会の底辺で生きる価値なんて何一つないと思ってしまうのです。生きる希望を無くし、重病の人は外出することすら困難になります。

それがうつ病の本当に怖いところです……

 

______

f:id:yuyu413:20200920212706j:plain

それでは、具体的にどういった運動が体に良いのでしょうか?

 

脳(と運動)のことはまだまだわかっていないことが多く、どの程度すればいいのかという詳細については人それぞれであり、まだ結論が出せていないそうなのですが、

目安としては、

 

「週5日、有酸素運動(ジョギングなど)を30分間続けること」

 

です。

少しでもいいですが、やればやるほどいいです。

理想は週6日、有酸素運動を45分~1時間です。

ただ肝心なのは、何かをするということ。始めるということです。

何をどのくらいすればいいかは人それぞれですが、研究が一貫して示しているのは、「体が健康になればなるほど、脳はたくましくなり、認知力の面でも、情緒の面でも、よく働くようになる」ということです。

体を快調にすれば、心もそれに従うのです。

もちろん、毎日終電まで仕事をしないといけなくて睡眠もろくにとれていないという方は、睡眠時間を優先させてほしいですが、

運動を始められないのは、エネルギーが湧かないからであり、エネルギーが湧かないのは運動をしないからでもあるのです。

 

ある調査によると、週に最低2、3回運動している人は、運動をほとんどしない、もしくはまったくしない人に比べて、うつ、怒り、ストレス、ひねくれた見方が極めて少ないことがわかりました。

運動すると不安が減り、うつにも神経症にもなりにくく、より社交的になれるのです。

精神医学だけでなく、心理学でも、幸福感を高める要因として、運動がすべての活動の中で最も有力だとされています。

ハーバード大学のある著名な心理学教授はこう言いました。

「運動をしないことは、うつになる薬を飲んでいるようなものだ」

 

 

______

f:id:yuyu413:20200920214154j:plain

最後にちょっとだけ自分の話を。

僕は10年以上、体重の変化がほとんどなく、どんなに食べても太らないですし、逆に食べなくてもそんなに変わらないのですが、

あるとき、体重が6キロ落ちたことがありました。

いつもお昼は行きつけのお弁当屋さんで、唐揚げ弁当をご飯大盛りで買っていたのですが、大盛りが食べられなくなって普通盛りになり、気付いたら普通盛りですら半分も食べられなくなりました。

あまり詳しくは書きませんが、その頃は朝目が覚めても布団から起き上がれなくなっていました。

僕は普段、どちらかと言えば小綺麗にしている方だと思うのですが、何週間も髭を剃ることもせず、人生で唯一、無精髭を生やしていたのでその頃に僕と会った人は驚かれたかもしれません。

 

余談ですが、地元・兵庫に住んでいるお婆ちゃんは昔からとにかく僕に優しくて、何をしてもあらゆる面で褒めて肯定してくれます。

志望校に落ちようが、さぼって昼から学校へ行こうが、また犬と遊んでいるだけでも、

「えらいね!すごい!!」と褒めてくれて、とにかく自己肯定感を上げさせてくれます。

自尊心が低下していた僕にとってすごくありがたかったのですが、そんなお婆ちゃんから今までで唯一言われた否定的なことが、

「髭は剃った方がええんとちゃう~?」

でした。

 

話が少し逸れましたが、僕がそんな状態から元気になれた理由は、いくつかあるのですが、そのうちの一つが間違いなく「運動」でした。

ランニングと筋トレです。

ちなみにその頃は、腰痛にも悩まされていて、椅子に座っていてもストレスが溜まるような状態だったのですが、何ヶ月間も何をしても治らず悩まされていた腰の痛みが、運動をするようになってから嘘のように無くなったのです!

「えっ、こんなことで治るんだ!?」と本当に驚いたことを今でも覚えています。

おそらく運動をすることで血行が良くなり、腰痛が治ったのだと思います。

朝起きて、自分の体が以前より引き締まっていることを感じたとき、失われた自尊心も少し回復していることに気がつきました。

腰の痛みはそれ以来、一切ないですが、運動は今でも続けています。

お婆ちゃんからは「明るくなったね」とまた褒められてしまいました。

f:id:yuyu413:20200904183632j:plain

 

 


参考文献:『脳を鍛えるには運動しかない!』(ジョンJ.レイティ) 

 

Twitterはこちら

森井悠太 (@yuyu413) | Twitter

Facebookはこちら

https://www.facebook.com/yuuta.morii.12

 

■関連記事

ここ2年くらい「幸せ」について考えることがマイブームでして、この記事にも「幸福感を高める要因として、運動がすべての活動の中で最も有力だとされている」と書きましたが、下記の記事は上から、

・フロー体験
・社会的な人間関係
・逆境下成長(心的外傷後成長)

についてまた別の角度から「幸せとは」について書いています。

良かったらこちらもどうぞ!

 

 

 

■オススメ書籍

 脳と運動の本と言えば、この本。分厚くて文字も少し小さいですが、名著です。

 

分厚い翻訳書は苦手という方はこちらの『超「朝活」法』がオススメ。朝活となっていますが、脳科学の最高権威のとってもえらい人がめちゃくちゃわかりやすく脳や運動について書いてくれています。

代官山で奇妙な落とし物を拾い、心臓を鷲掴みされました。

f:id:yuyu413:20200901172622j:plain

心臓を鷲掴みにされた。

10年前、初めて代官山へ行ったときのことだ。

物価の高さにではない。

 

道端に「桃」が落ちていたからである。

 

さすが代官山、と言ったところか。

路上に落ちているものが、小銭や子どもの片方だけの靴とかでもなく、あの

である。

MOMO

なのである。

 

f:id:yuyu413:20200901172904j:plain

僕はそれまで20年生きてきて、桃の落とし物なんて見たことがなかった。

その聞きしに勝る豪華絢爛さで、もう2、3年早く代官山へ来ていたらすぐ白旗を上げていただろう。

 

「これが代官山か……これがあの代官山なのか。はんぱじゃねぇ……」

 

尻尾を巻いて地元へ帰りそうになった。

 

 

f:id:yuyu413:20200901175309j:plain

そうだ、世が世なら間違いなく代官山は天下の大将軍になっていたな、と思う。

 

でんと構え、凄みのある豪放磊落(ごうほうらいらく)なその性格は、時に風雲児として畏れられ、

また時として、強きをくじき弱きを助けるその慈愛に満ちた心は、菩薩のようだと敬われた。

代官山は他の追随を許さないほどの豪傑、いや傑物と評され、後世に未来永劫語り継がれていただろう。

 

あぁ、いつかはお代官山様に仕えたい、わたくしめを死ぬまでこき使ってくださいませ。そう強く思ったほどだ。うそだ。

 

 

言うまでもないが、代官山にいる人は誰もみかんを食べない。

そんな素手で食べる庶民の果物なんぞ誰も食べないのである。当たり前だ。

 

りんごは?

否!

梨は?

否!

 

 

では何を食べるのか?

 

桃だ。

 

MOMOなのである。

 

だから誰かがあやまって桃を落としてしまったのだ。

それがセレブな街、代官山である。

 

 

そんな代官山にお前は立ち向かえたのかって?

 

それに対する回答として、

まずうちのセレブさはどうかと先に言っておくと、

 

f:id:yuyu413:20200901175824j:plain

僕が地元の友達と滋賀へ梨狩りに行く日の朝、

寝坊してしまい時間がないから朝ごはんはいらないと母に言うと、

 

じゃあもうむいてあるから、

 

「梨だけでも食べていき」

 

と言われた。

 

 

いらぬ。

 

「なんで朝から梨食べなあかんねん。これから梨狩りいく言うてるやろ。食べるわけないやん。そのチョイス絶対になしやろ、梨だけに。ってやかましわ!」

 

梨狩りにいく朝でも、梨があれば梨を食べていくセレブとは縁もゆかりもない家で育っただけに、

道端に桃が落ちていることに心底驚いたのだ。

平伏せざるを得ない。ノックアウトだった。

 

 

___________

f:id:yuyu413:20200901173310j:plain

そういえば、かつて、道端に落ちていた物で驚いたことがもう一つあった。

 

 

である。

これは比喩でも何でもなく、まぎれもなく人間の足が落ちていたのを見たことがある。

 

近所の団地のそばに、義足のおじさんが住んでいた。

小学校の帰り道、多いときで週に一度は見かけた。

 

僕はその人のことを〝足ないおじさん〟と呼んでいたのだが、

足ないおじさんは、見かけるときはいつも義足を外して、地面に座っていた。

太ももの根本からまるまる外していたので、その足は義足とは思えないほどリアルでやけに生々しかった。

 

f:id:yuyu413:20200901181205j:plain

足ないおじさんは、よりにもよって、小学生の下校時間に、細い道で、太くて生々しい片足を外して、地面に、座り込んでいたのである。

初めて足が落ちているのを見たときぞっとしたし、足ないおじさんのそばを横切るのがとても怖かった。

 

だから、横切る度にお腹に力を入れていた。襲われたらすぐに対応できるようにしていたのだ。

 

大丈夫、走って逃げれば追い付かれない。俺はクラスでかけっこ一位だ。リレーではアンカーなのだ!

なんだったら足ないおじさんの片足を持って逃げてもいい。

片足はそこに落ちているから。

掴めるのか?俺はその足を掴めるのか?

 

 

僕はいつでも頭の中で〝足ないおじさん〟と闘っていた。

 

f:id:yuyu413:20200901173445j:plain

「名前はなんて言うんだい?綺麗な足をしてるじゃないか。君の足をもらってもいいかなぁ、ふははははは」

 

仮に片足をとられることになったとしても、ギリギリの隙を見計らって、タンスの角に小指をぶつけてから渡そうと思っていた。

 

「や、やめろぉおおお。わしは綺麗な状態の若い足がほしいんだ!小指だけは、小指だけは勘弁してくれ!!!!」

 

せめてもの抗い。転んでもただでは起きないぞという強い意志、私は屈強な体と折れない心を持ち合わせている。

 

「わ、わかった、50万でどうだ。これで手を打たないか、これだけあれば一生遊んで暮らせるぞ。悪い話ではなかろう、少年」

 

お金なんていらない。これは男と男のプライドを懸けた闘いだろうが。あぁ望むところだ、いざ尋常に勝負!アホだ。



________
結局、おじさんに足はとられなかったし、代官山で桃の落とし物は二度と見かけなかった。

 

今日、自転車の鍵を落とした。

駅から歩いて帰った。

歩きながらいろんな落とし物のことを思い出していた。

とてもむし暑かった。

 

f:id:yuyu413:20200901173526j:plain


 

 

 

■関連記事

関西人はツッコミ炸裂させまくり。また妄想爆発させてます。けっこう評判いいので良かったらこちらもどうぞ! 

 

これも妄想シリーズでまた「足」が主役で出てきます。

 

バルミューダがとっても怖かったという話。

 

 

Twitterはこちら

森井悠太 (@yuyu413) | Twitter

Facebookはこちら

https://www.facebook.com/yuuta.morii.12

三億円事件で〝ぐにゃっ〟と世界が歪む

f:id:yuyu413:20190209171335j:plain

〝ぐにゃっ〟と世界が歪む音が聞こえるときがある。

 

去年、50年前に起きたあの有名な未解決事件である〝三億円事件〟の犯人(とおぼしき人)が名乗り出たそうだ。

理由は、自分はもういつ死んでもおかしくない年齢で、もしこのまま誰にも話さないまま死んでしまったら、この事件は本当に迷宮入りを果たしてしまう。

あれだけ世間を騒がせてしまった以上、事実は誰かに伝えなければ、と思い立ち、

事件の犯人が自分の子どもに真相を話し、それらを書き取らせた後、世の中に発表したらしい。

 

ほぉ。

 

僕は、犯人が誰でとか、どうやって三億円もの大金を持ち逃げすることができたのかとか、なぜ捕まることなく時効を迎えられたのかとか、そんなことよりも、

「私が三億円事件の犯人だ」と自分の親に言われたときの、息子の反応がとても気になる。

 

ぐにゃ。

 

きっとそのとき彼の世界は歪んだと思う。

 

 

f:id:yuyu413:20190209171354j:plain

三億円事件の告白〟ほどではないにしても、僕たちが生きている世界でも、たまに「ぐにゃっ」と世界が歪むときがある。

 

先月、種子島出身の友達ができた。高校までずっと島暮らし。初めて東京に行ったときこう思ったらしい。

 

「なんだ、今日は祭りか」

 

痺れる。人の多さから連想してすぐに「今日は祭りだ」と変換するその想像力の純粋さに心をうたれる。

その後、祭りではないんだと気づいたとき、きっとその子の世界は歪んだと思う。

 

 

f:id:yuyu413:20190209171419j:plain

同じゼミだった女の子が、大学3年の夏に大学生らしいことをしよう!と浴衣を着て納涼船に乗った。

東京湾をクルージングしながら飲み放題〟みたいなやつだ。

そこではナンパがすごかったらしく、特に印象に残っているのがトルコ人からのナンパだったと言う。

「カワイイネ」「イッショニノマナイ?」と片言で口説き文句をいろいろ言われたが、「結構です」と断って無視し続けていたら、

最後、去り際に、捨て台詞でこう言われたらしい。

 

ケバブあるのに」

 

痺れる。一緒にケバブを食べることが日本人女性への口説き文句になりうると勘違いしているその異文化交流の難しさに心をうたれる。

その男が「日本人の女性は、ケバブではつられない」と知ったとき、きっと世界が歪むことになるだろう。

 

f:id:yuyu413:20190209171433j:plain

もう5、6年くらい前のバレンタインデーでの話。

授業終わり、大学で一番前の席に座って居眠りをしていそうな男が、女の子からチョコをもらっていた。

 

「◯◯ちゃんから本命チョコもらったー!よっしゃー!!!」

「あ、いや、ごめん…義理ね……」

「ぎり?頑張らなあかんやつやん!ギリ本命かぁ~!」

 

痺れる。もちろん、底抜けのポジティブさにだ。このずば抜けた前向きさはどのように形成されたのか、実験台としてぜひとも母校・慶應義塾大学の研究室で調べてほしい。素晴らしい素材をぜひ提供します。ポジティブ心理学のさらなる飛躍に貢献することとなるだろう。

 

f:id:yuyu413:20190209171540j:plain

ところで、僕はというと、中学生の頃、

ある女の子が、本命の男子にチョコを渡したが受け取ってもらえず、どうしようか悩んだ末、せっかく作ったしとその繰り上がりで僕にチョコを渡したということがあった。

放課後になってある友達から真相を聞かされ、

 

「僕は二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男二番目の男」

 

と意識が朦朧としながら帰ったことがあった。

 

それなのに義理チョコを〝ギリ本命チョコ〟と思えるそんなタフで屈強で逞しい精神力を持った人もいるんだなぁと、僕の世界が歪んだ。

足元がぐらぐらした。

 

f:id:yuyu413:20190209171613j:plain


さて、ここまで書いてきて、僕はやっぱり〝三億円事件の告白〟がいいなぁと思う。

想像してみた。

 

「ちょっとゆうた、こっちに来なさい。今日は大事な話があるの」

「なに、母さん」

「心して聞いてね。実はお母さん三億円事件の犯人なの。

だから、あんたにも三億円事件の犯人の血が流れているのよ」

 

f:id:yuyu413:20190209171633j:plain

 

ぐにゃっ。

世界が歪む音が聞こえた。

もう立っていられない。痺れる。

 

 

 

Twitterはこちら

森井悠太 (@yuyu413) | Twitter

Facebookはこちら

https://www.facebook.com/yuuta.morii.12

 

■関連記事

この2つの記事は「世界からはみでる」ことについてのエッセイです。さくっと読めるので良かったらこちらもどうぞ!

 

こちらは僕が影響を受けた素晴らしいブロガーの方々を紹介しています!

ちぐはぐなギャップにくらくらする

f:id:yuyu413:20190202124724j:plain

「シネ」と言われたことがある。

中学生になったばかりの頃だ。

くらくらした。

 

中学に入学したばかりの僕たちはすぐに「自己紹介カード」なるものを書いた。

-----------
名前
誕生日
趣味
特技
私の好きな◯◯
みんなに一言
-----------

など、書き上げた後、教室の後ろに貼り出され、おのおの休み時間に見て回った。

そこで同じクラスの斎藤さんが【みんなに一言】の欄で、こんなことを書いていた。

 

「よろシネ」

 

おおお、と思う。

おそらく斎藤さんは「よろしくネ」と書きたかったのだろう。

それを書き間違えて「よろシネ」としてしまったことにはすぐに気が付いた。

奇しくも「シネ」の部分だけがカタカナになっていて、とても恐ろしかった。

「よろ」まですごく好意的なのに、次の二文字で「シネ」といきなり崖から突き落とされる。

しかもまだ12歳のいつも大人しい女の子に。

 

「よろシネ」

 

そのちぐはぐなギャップにくらくらした。

教室に貼り出された自己紹介カードの中で、斎藤さんのその一言だけが異様に光って見えた。

 

 

サークルの卒業式で、先輩の熊沢さんが「くまって〝根は悪いやつ〟だからな」と代表から言われていたのを急に思い出した。

「根は」とつくと、たいてい「いいやつ」なのに。

たいてい、というか、それ以外聞いたことがない。

 

「根は、悪いやつ」

 

恐ろしい。

〝よろシネ〟とか使いそうだ。

一回あげてから突き落とすやつ。

ちぐはぐなギャップでまた頭がくらくらする。

 

 

そういえば、大学生の頃、あのとき相手をくらくらさせてしまったなぁということがあった。

友達から「今日の夜、渋谷で飲まない?」と連絡がきた。

僕は「明日の朝早いから無理やわ」と送ったつもりが、打ち間違えてこう送ってしまっていた。

 

「明日の朝ハワイやから無理やわ」

 

「えっ!まじか、明日ハワイなのね!!急すぎ!!!てか必修の出欠取っておこうか?これ以上休んで大丈夫?」

〝さっきまで会っていた貧乏大学生が平日の火曜日にいきなりハワイ〟

 

f:id:yuyu413:20190202124743j:plain

この世界には、偶然生まれた、ちぐはぐなギャップでくらくらする繊細で美しい言葉であふれている。

 

T君、出欠の気遣いありがとう、ハワイのお土産買えなくてごめんね。

 

 

 

 

Twitterはこちら

森井悠太 (@yuyu413) | Twitter

Facebookはこちら

https://www.facebook.com/yuuta.morii.12

 

■関連記事

過去にも何度か「言葉」について書いています。一つ目は懐かしのアメブロ……(笑) 日常で見逃されがちだけど、ちょっとでも「言葉」って面白いなぁということが伝わってもらえれば、すごくすごく嬉しいです。

僕の名前は〝もりい〟です

ずっと思い悩まされてきたことがある。

名字を間違えられることだ。

f:id:yuyu413:20190122145142j:plain

僕の名字は「森井」と言うのだが、どう間違われるかと言うと「森」と間違われる。

悪夢は13歳から始まった。

中学生の頃から通い始めた塾に「森」がいたのである。

 

先生が「はい、じゃあ次、ここ読んで。森!」

鎌倉時代は…」

森くんがテキストを読み始める。

するとすぐに先生は僕の方をがっと振り向き、

「井~!!!!」

と叫ぶ。

当てられたのは、森くんではなく僕の方だったのである。

「森を当てたと見せかけて森井を当てる」という松浦先生からのいじりが始まった瞬間だった。

このときから「森」と呼ばれているのか「森井」と言われているのか、耳をすまさなければいけなくなったのである。

友達に「森の呪いやな!ははは」と言われた。

 

 

高校でもそうだ。

高校3年の12月に、週3回を2年間、授業で会い続けた日本史のイハラ先生から、休んでいたので僕だけあとで答案用紙と日本史のプリントを渡された。

点数が見えないよう半分に折られて渡された答案用紙の裏には、小さく「森くん」と書かれていた。

 

僕はこの2年間を疑った。

 

イハラ先生は僕のことをずっと隣のクラスにいる「森くん」だと思っていたのである。

 

そばにいた寺田と大西が爆笑していた。

ちなみにテストは98点だった気がする。

学年で一番の成績だったのに。

もちろん、最後の最後までイハラ先生に「僕の名前は森井です!」とは言えなかった。

 

それ以来、特に電話で自分の名前を言うときは「もり〝い〟!です」と〝い〟の部分を強調して言うようになった。

これは今でもそうである。そうでもしないと「もり」と間違われるからだ。

 

 

それから大学に入り、上京した。

東京には「森」がいなかった。

おかげでとても充実した大学生活を送ることができた。

 

社会人になって、名前を間違われるという宿命をすっかり忘れた頃、また後輩に「森くん」ができてしまった。

自分の避けられない運命を呪った。

 

しかし、僕にはもう「森」の免疫があった。

先輩から「森」か「森井」か定かではない呼び方をされても聞き間違えることは一度もなかった。

ところが、後輩の森くんは、度々、僕が呼ばれているのに「はい!……あっ、僕じゃないんですね、すみません」と聞き間違いをし、恥ずかしそうにしていた。

おそらく今までの人生で「森井」がいなかったのだろう。

聞き間違われる度に「すまない、来世は〝剛力〟とかに生まれてくるから」と心の中で小さく謝った。

 

 

そうゆえば、大学生の頃、ハーフの後輩にミドルネームが〝モリーホワイト〟という子がいた。

「あっ、この子と結婚したら〝モリーモリーホワイト〟になるのか。ワンピースに出てくる〝トニートニー・チョッパー〟みたいでかっけぇ!」

もうその子が好きになる。バカだ。

そんな話を女友達にしたら「わかる!!!!!」と言われた。

えっ、わかるの?ほんとに?

「私、下の名前が〝よしの〟だから、吉野くんと結婚したいの!だって吉野くんと結婚したら〝よしのよしの〟になるじゃない。すごく良いと思わない?」

思わない。そんな〝まえだまえだ〟みたいなお笑い芸人はいらない。

「……それか、染井さんと結婚したいかな。〝そめいよしの〟。ね、趣があっていい名前でしょ?」

バカだ。類は友を呼んでしまった。

 

 

そうこうしているうちに、先月、姉が結婚式を挙げた。

姉の名字が変わったのである。

「そうか、お姉ちゃんは〝森〟から避けられる運命だったのか」と気づかされた。

姉は〝森〟の呪縛から解放されたのである。

とても羨ましかった。

 

ところが、である。

初めて姉の旦那さんと顔を合わせることになったとき、僕はある異変に気づいた。

姉が旦那さんのことを「名字に君付け」で呼んでいたのである。

例えば、相手が〝磯野カツオ〟だとすると、「カツオ君」や「カツオ」とかではなく、ずっと「磯野くん」と呼んでいるのである。

付き合ったばかりならまだしも、もう知り合ってずいぶん経つ夫婦だ。

 

恐る恐る聞いてみると、姉の旦那さんは下の名前が「ゆう」と言うらしかった。

姉は僕のことを「ゆう君」と呼んでいる。

なので旦那さんのことを下の名前で呼ぶと、僕を思い出してしまって嫌だからと、

結婚した今でもずっと旦那さんのことを「名字に君付け」で呼んでいたのである。

ただただ申し訳なかった。

かぶることのないキラキラネームを初めて羨ましく思った。

これも「森の呪いか」と思った。




ということで、名字が〝森井〟になりたいという覚悟のある独り身の方、いつでもお待ちしておりますので、僕までどしどしご連絡ください。

 

 

 

 

Twitterはこちら

森井悠太 (@yuyu413) | Twitter

Facebookはこちら

https://www.facebook.com/yuuta.morii.12

 

■関連記事

ここで関連記事を貼るときに気付きましたが、過去に二回も「聞き間違い」についてのエッセイを書いていました(笑) それだけネタになるってこと?

 

バルミューダはとっても怖い

バルミューダはとても怖い。

見る度にいつも〝戦力外通告〟を突きつけてくるからだ。

 

f:id:yuyu413:20190122135337j:plain

 最近、我が家に「バルミューダ」がやってきた。

バルミューダの高級トースターはとてもスタイリッシュだ。

見た目は誰もが気に入るであろう白で、作りはとてもシンプル。

説明書なんて無くてもすぐに使いこなせる。

たぶん無印製品が好きな人は大好物だと思う。

 

そんなバルミューダが我が家にやってきてすぐに使ってみたのだが、今までのトースターとの違いが早速一つ見つかった。

パンを焼く前に「水」を入れるのである。

 

f:id:yuyu413:20190122140129j:plain

小さなカップみたいなのが付いていて、それに水を入れ、焼く前にバルミューダに注ぎ込む。

 

さすがバルミューダだ。

パンは焼かれる前に水を浴びる。

 

いや、あのバルミューダのことだ、ただの「水」ではなく「高濃度酸素水O2」と言った方がいいのかもしれない。

 

それにしても、

「パンは焼かれる前に水を浴びる」

 

なんてスタイリッシュな言葉なんだ。

バルミューダの話となると「ローマは一日にして成らず」くらいオシャレな慣用句に聞こえてくる。

 

「パンは焼かれる前に水を浴びる」

 

深い……深すぎる。人生で大事なことは全てこの一文に含まれているではないか……

そう囁かれていてもおかしくない。

 

そのため、料理を一切しない料理オンチの僕にとって、バルミューダが味方についてくれれば、向かうところ敵無しだ。

天下無双、破竹の勢い、天上天下唯我独尊といったところか。

ちなみに「天上天下唯我独尊」の意味はよく知らない。

 

これが僕のバルミューダ観である。

 

ところが、だ。

ここで僕のバルミューダ観を揺るがすほどのある重大な出来事が起こった。

それは、「変わらない」のである。

何がって?

バルミューダで焼いたパンはとても美味しいと聞いていた。

変わらないのである。

そう、味が。

普通のトースターと比べて。

 

とても困った。

僕がバルミューダにふさわしくない男だということが明らかになってしまったからだ。

バルミューダ失格の烙印が押された瞬間だった。

僕の中のバルミューダは完全に崩れ去る。

あぁそうだ、はっきり言おう。僕は何を食べても美味しいと思ってしまう習性がある。 

 

 

以前、一人暮らしなのに電子レンジを持っていない友達に「レンジないから作ったら毎回一発勝負やねん。戦いやで」と言われた。

でもトースターはあるらしく、「パンは焼かれへんと一発も勝負できへんからな。試合放棄はあかん」と謎に力説され、今年一番の「お、おう……」となったのだが、

僕の場合は一度も勝負させてもらえなかったスポーツ選手のような気分だった。

まさかのプロ入り初日で戦力外通告を受けてしまったのである。

 

 

このとき、久しぶりに思い出した僕の幼稚園の頃の話がある。

僕の家族は毎朝、食パンを食べる。

なのに、急にお姉ちゃん(10才)が「このぶどうパン美味しいね」と言い出したのである。

 

ここで家族全員の頭の中に疑問が浮かぶ。

「ただの食パンのはずだが」と。

家族全員で姉のパンを覗き込んだ。

すると、なに大した話ではない。

姉がぶどうだと思ったのは、ただのカビで、食パン一面にレーズンサイズのカビがたくさんはえていたのである。

それをぶどうだと勘違いして、(いつもはただの食パンなのに今日は)「ぶどうパン美味しいね」と言ってしまったのであった。

 

これは正真正銘の実話である。

 

このときからすでに、僕たち家族はバルミューダではなかったのかもしれない。

 

f:id:yuyu413:20190122135528p:plain

 

今ではバルミューダがとてもこわい。

見る度にいつも「戦力外通告」を突きつけてくるからだ。

 

  

 

 

Twitterはこちら

森井悠太 (@yuyu413) | Twitter

Facebookはこちら

https://www.facebook.com/yuuta.morii.12

 

 

■関連記事

こういうふざけたテンションのエッセイもとても好きです。たまに書くと楽しいなぁ。

過去にも何度かふざけたテンションで書いているので、良かったら読んでやってください。

 

 

■オススメ書籍

君がいない夜のごはん

君がいない夜のごはん

 

 エッセイの文体はこの穂村弘さんから多大な影響を受けています。大好き!

乳がんが再発したお母さんのどうしても伝えておきたい話

僕はこれまでありがたいことに自分自身はもちろんのこと、僕の周りでもほとんど不幸にみまわれず、これまで元気に生きてこられました。

しかし、ちょうど1年前、僕の知る限り、最も絶望的状況を目にしてしまいました。

その話はぜひとも皆さんにも知っておいてほしい、いや、生きていく上で絶対に誰もが知っておかなければならない教訓が含まれていると思ったので、少し長くなるかもしれませんが、今日はその話をさせてください。

 

 

f:id:yuyu413:20181209174600j:plain

1年半前、友人が自分の胸に〝しこりのようなもの〟があることに気が付きました。

ちょうどその頃、小林麻央さんが乳がんで亡くなったばかりで、世間的にも乳がんについての話題で持ちきりでした。

 

乳がんは遺伝性があると言われています。

そのことを知っていた僕の友人は、すぐに乳がん検査へ行くことにしました。

 

というのも友人のお母さんは、15年前に一度、乳がんになっていたからです。

自分が小学生の頃、乳がんで苦しんでいた母を見ていただけに、すぐに乳がん検査を受けに行くことに決め、でも一人で行くのは怖かったので、友人は母を連れて地元の病院へ行くことにしました。

 

f:id:yuyu413:20181209174711j:plain

結果から言いますと、友人の胸のしこりのようなものはまったくの気のせいで、問題ありませんでした。

ところが、娘の乳がん検査の後、お母さんであるTさんも念の為に受けたら、あろうことか検査にひっかかってしまったのです。

 

来週、すぐに大きな病院で再度検査を受けることになり、お医者さんからは「詳しくはその検査結果がないとわからない」と言われました。

Tさんは、心配そうな顔をする娘に「大丈夫よ」と言いながらも「大丈夫と思ってて結果が悪ければ落ち込むから、結果は悪いと思っておくね」「髪の毛、抜けるの嫌だなぁ」とぽつりと笑いながら言いましたが、Tさんの目は笑っていませんでした。

 

 

「きっといつかは大切な人がいなくなる現実が必ず来る。その時、私は乗り越えていけるのだろうか。

今、母は元気で普通に生活してるけど、それでも、本当に、いつでも、いつ何があるかわからないから。私にとって、お母さんはたった一人の本当に心から繋がってる家族で。

いつか離れる時がくること、それが近い将来だろうと遠い未来であろうと、一人になることを想像すると、ものすごく怖くなる」

「とりあえず来週の月曜日!!!それまで何をどう考えたって仕方がない。何があったって、幸せな時も辛い時も、いつだって、大切な人のことは大切にすべきなんだ」

 

このどうしようもできない、もやもやしているだけの時間が、一刻も早く過ぎて欲しいと、娘は強く思っていたそうです。

 

そして、最初の検診から2週間後、やっとTさんの検査結果が出ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


結果は、陽性。

残念ながら、再発でした。

Tさんが乳がん治療を終えてから14年後のことでした。

 

 

Tさんは、大きな病院に「(治療を終えて)もう10年以上経っているので、自覚症状がない限りは、今後ここではなく市の定期検診に行ってください」と病院から断られていました。

 

「私が新しい病院で乳がん検査をしたから、お母さんはそのついでに受けてみただけ。私と一緒に検査していなかったら、乳がんの発見は、もっともっと先延ばしになって手遅れになっていたかもしれない。見つかって良かった、本当に……」

 

 

 

f:id:yuyu413:20181209174745j:plain

その日の晩、Tさんは声をあげて泣きました。

手術が怖いからではありません。

大好きな人たちと大好きな仕事ができなくなるからです。

 

 

それからTさんは再度検査を受けることになりました。乳がんが悪性の時のことを考えて、癌が全身に転移していないかどうか調べることになったのです。

万が一、癌が全身に転移していたら、手術はできません。

その代わり、死ぬまで一生、治療が続くことになります。

なぜなら、目に見える状態で転移していることがわかれば、もう全身に癌が散らばっていることになります。胸を手術しても意味がなく(全部取れない、キリがない)、体に負担がかかるだけだからです。

 

 

「今は50%の確率。どうにか転移だけはしていないことを祈ってる。お母さんの髪の毛はもう生えてこないかもしれない。余命を言われる可能性だって。10年とか長く生きられる可能性もあるけど、どちらにしても転移していたら寿命が尽きるまで病気と闘うことになる。

もう実感がわかない。

心がついていってない。

でも好きな仕事(ベビーシッター)を手放すことになって、泣いている母を見て、すごく当たり前だけど、本当に全ての幸せって健康から始まるんだなって思った」

  

 

________

f:id:yuyu413:20181209174916j:plain

僕は今までありがたいことに自分自身はもちろんのこと、僕の身内でもほとんど不幸という不幸に遭遇することなく、これまで生きてきました。

そんな中、最初この話を聞いたとき、僕の知る限り、最も「絶望に近い状況」だと思いました。

 

だって、そうですよね。次から市の定期検診に行ってくださいと病院から断られたくらいで。

乳がんは、10年経って再発しなければ、ほぼ完治」と言われています。

14年経って、やっと病気のことを忘れていられるようになったのに。

それに愛する娘が乳がんではないことがわかり、ほっと胸をなでおろし安堵したところ、まさか自分が再び癌になっていたとは。

 

ずっと健康に生きてこられた僕には想像を絶するくらいの状況でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ところがです!

Tさんは乳ガンが再発していることを知って、その日は泣きはしたものの、「もうだめだ」「なんで私ばっかり……」と後ろ向きになるのではなく、

「仕事ができない代わりに時間はできたから、次の新たな仕事のために子育て関係の資格をとって勉強をする」と言い出したのです!

今まではずっと忙しくて、それを理由に先延ばしにしてきたから。子育てアドバイザーになり、子育てに悩むお母さんの力になりたいんだ、と夢を語り始めました。

 

そして、15年前、抗がん剤で髪の毛が抜けた時にかぶっていたカツラを、押入れからひっぱりだしてきて、

「ついにまたこれを使う時が来たか……!」

と、まるで〝最終兵器〟を出すみたいな言い方で病気を笑い飛ばしたのです!

 

 

 

f:id:yuyu413:20181209174945j:plain

「せっかく仕事していないのだから、将来のことを考えると言っていたの。母はもう避けられない運命を受け入れていた。険しい運命に抗おうとするのではない。私より先に、前を向いていた。「母は偉大だ」と思った」

「お母さんね、こんな時でも、ちゃんと前を向いてる。こうならないと気づけない大切なことが絶対あるんだって。きっと人生の中で大きく変われる瞬間なんだって。本人がそう思うのなら、私もちゃんと同じ方向を向いて、しっかり母と生きる未来を描こうって誓うよ」

 


________

f:id:yuyu413:20181209175013j:plain

それからしばらくして辛くて苦しい「抗ガン剤治療」が始まりました。

15年前はずっとバケツを抱えてないといけないくらい副作用がひどかったらしいのですが、Tさんはまだ一度も吐いてないと言っていました。

もちろんピークの時は、一日中寝込んでいたり、元気ではないみたいですが、医学の進歩が凄すぎると驚いていました。

「「しょろしょろ髪の毛抜けるぅ〜」ってお母さんが私に言うの。言い方軽すぎでしょ、やめて」

と娘はふっと笑いながら僕に話しました。

 

 

 

f:id:yuyu413:20181209175136j:plain

Tさんの癌の悪性レベルは中間でした。

2年前に検査を受けたときは何ともなかったので、この2年間のどこかで再発。

しこりの大きさ的には3センチくらい。1センチ越えたらあっという間にすぐ大きくなっていくそうです。

あと半年遅かったら、確実に全身に転移してるようなレベルだったようで、本当に不幸中の幸いでした。

 


「お母さんね、抗ガン剤治療中、子育てアドバイザーの資格を取るために講座も受講して勉強し始めたの。

始めるのは何歳からでも遅くないってこと、やっぱり精神的に前向きでいることはすごく大事ってこと、今のお母さんの姿から学ぶことはとても多い。

病気を理由に落ち込む人もいれば、それをきっかけに前に進む人もいるから」

 

f:id:yuyu413:20181209175202j:plain

「お母さん、ベビーシッターをやっていて、指名入りまくりで大人気みたいなの。それで辞めるってなった時、お客さんみんな泣いてたらしくてね。「あなたがいなければ、私たち家族の今はありません。いつでも、帰ってきて下さい」って。職場の社長さんや社員さんにも、「何年先でもいいから、ずっと待っています」って言ってもらえたみたいで。

それだけ母は、仕事先の子どもを大切にして、その家族の人たちにも愛されるような人だったんだなぁって。改めて、尊敬したよ。お仕事だけど、お仕事だと思ってない、ちゃんと愛があるんだと思う。

今日はサプライズで、お母さんに「ベビーシッターお疲れ様」のケーキを買って帰るんだぁ〜喜んでくれるかなぁ~~」

 

 

 

f:id:yuyu413:20181209175235j:plain

数日後、Tさんから娘にLINEが届きました。

「私は今まで雇われることしか頭になかったけど、よく行く楽器屋さんが移転の時に、店探しから内装とか自分色になっていく過程を見てきていいなぁと思ってん。

遠い夢やと半分諦めていたけど、今回こういうことになって、あとどれぐらい生きられるかわからんと思ったら、夢は今実現せなあかんねやわと思った。

小さくてもいいから自分の仕事場を持って、あなたの絵を飾って癒しの空間を作りたい。二人の事務所として。そこであなたは絵を描いたらいいし。なーんてね。

私はあなたに救われた。だから今ある命を大切にして前を向いて生きていきたい」
(Tさんの娘はイラストレーター)

 

 

 

(やっぱりお母さんは病気と闘いながらも、夢に向かってがんばっているんだ)  

 

 

 

お母さんの口から「辛い、嫌や、しんどい」といったネガティブワードを一度も聞いたことがない。もちろん内心思っているのかもしれないけれど、私たちが元気にサポートできているのも、周りが明るくいられるのも、全部お母さんのおかげ。

ガン患者になってできないことは増えたけど、ガン患者になる前よりも、きっと「ありがとう」は増えた。身近な幸せに気付けるようになったから。それは本人だけじゃなく、周りの私たちも気付けた大事なこと」

 

「お母さん、〝子育てに悩むお母さんの心のケア〟をしたいんだって。どちらかというと子ども相手ではなく、親のサポートね。ベビーシッター先で、一人で悩んで苦しんでいるお母さんが多かったみたいで。

しっかり体を治して、新しいスタートをきってほしいなぁ。私、お母さんの夢、応援する!!!」

 

 

 

f:id:yuyu413:20181209175317j:plain

「……、でね、乳がんだけだったから、片方の胸は摘出して無くすことになるの。髪の毛も全部無くなる。抗がん剤とかその他にもいろいろと治療に関しては〝フルコース〟。これから1~2年かけて治していく感じかな」

「ところで、〝フルコース〟って誰が言い出したと思う?」

「お医者さんやねん」

「いや、そんなフレンチのコース料理出てくるぅ、みたいな言い方せんとって。そんなええもんちゃう!」

と娘もまるで母のように病気を笑い飛ばした。

 

 



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

f:id:yuyu413:20181209175402j:plain

Tさんが乳がんの手術をしてから、先月でちょうど1年が経ちました。

辛くて苦しい抗がん剤治療も無事に終わり、現在は、分子標的薬(がん細胞だけをやっつける薬)を3週間ごとに18回点滴中で(来年の2月に全て終了予定)、それに並行してホルモン剤(ホルモンを抑える薬)を5年間毎日服用していくそうです。

不幸中の幸いではありますが、発見が早かったということもあり、今では治療を続けながら、夢に向かって毎日元気に過ごしていると言っていました。

 

 

f:id:yuyu413:20181209175429j:plain

このTさんの話は、生きていく上で大切なことが本当にたくさん詰まっている気がします。

母と子の家族愛、待っていてくれる人がいるという幸せ、避けられない運命をいかに受け入れるか、ないものではなく恵まれているものを数えるなど、本当に様々なことが挙げられますが、その中でも特に僕はTさんの「逆境の乗り越え方」にいたく感動しました。

Tさんは、癌になったことを嘆き、自暴自棄になるのではなく、絶望的状況でさえもいいきっかけだと現実を捉え直し、今までできなかったことをやろうとする、この前向きな姿勢に、僕は震えるほど感動しました。

この絶望の乗り越え方は、絶対に誰もが身につけておくべきことだと強く強く思いました。

 

僕は今まで、片手で数えられるほどですが、人生のところどころで、人生観を揺さぶられるほどの極度の挫折を経験してきました。(このことを「トラウマ」と言ってもいいかもしれませんが、僕は〝圧倒的挫折〟と呼んでいます)

そして、しばらく後になって気付いたのですが、その〝圧倒的挫折〟を乗り越える度に、僕は大きな成長を遂げていたのです。

なので、この〝圧倒的挫折〟は大きく成長するために必要不可欠とさえ思うようになり、ある時から僕は、何かで挫折する度に「はぁ……もうだめだ……」と落ち込むのではなく、「よっしゃ!!!」と思うようになりました。

なぜなら、これを乗り越えれば、また一つ強くなれるとわかっているからです。

 

〝圧倒的挫折〟は、成長するための代償であり、大きな成功とは切っても切り離せません。

何かが人よりできるようになって天狗になり、でもその後、挫折して。

この天狗と挫折を繰り返すことで、人は強く逞しくなる。そして、挫折を味わい、乗り越える度に、その人の魅力はどんどん増していく。

 

そんな風に考えていました。

ただ、これはあくまで僕の経験則であり、他の人には当てはまるかどうかわかりませんでしたが、

つい最近知ったのですが、それがなんと科学的に証明されていたのです!

昨年、Tさんの乳がん発覚後からの対応が本当に素晴らしいと思っていて(友人にも熱く語ったことがあるくらいでしたが)、そのことは心理学的にしっかり説明できるもので、「逆境下成長」または「心的外傷後の成長」と言うらしいのです!

 

おそらく大学か何かで心理学をかじったことのある人なら「心的外傷後のストレス障害(PTSD)なら聞いたことがあるかもしれませんね。

戦争から帰ってきた兵士の中で、精神的に病んでしまった人が続出して深刻な問題となった心の病です。

本か授業でかは忘れましたが、僕自身、「心的外傷後のストレス障害」(PTSD)のことなら大学1年生くらいのときから知っていました。

 

しかし、その真逆の「心的外傷後の成長」(逆境下成長)のことはまったく聞いたこともありませんでした。

今まで戦場に向かう兵士たちは、「正常な状態」で戻ってくるか、または「PTSD(心的外傷後のストレス障害)」を伴って帰ってくるかのどちらかだと言われていました。

しかし、実際はその二つの道よりもさらにいい「第三の道」があることが明らかになったのです!

それが「心的外傷後の成長」(逆境下成長)という道でした。

 

ハーバード大学の心理学者ショーン・エイカー教授はこう言います。

「最初にこれらの研究を知ったとき、私は憤慨した。なぜもっと早く世の中に知らされなかったのだろう。多くの人の人生をよりよくできる驚くべき研究が、人々の目から隠されていたのだろうかとさえ思った」

この文章を読んだとき、本当に驚きました。そして、嬉しくもなりました。なぜなら、僕がこの記事を書こうと思ったときのテンションと熱量がまったく同じだったからです!

近年わかったこの研究のおかげで、「重大な苦しみやトラウマは、様々な面において、非常にポジティブな変化をもたらす」ということを、格言としてではなく、確信を持って言えるようになりました。

 

 

また、ショーン・エイカー教授こう続けます。

乳がんと診断された女性の大半にも同じようなポジティブな成長が見られた。精神性が向上し、他者への共感が増し、心がオープンになり、最終的に人生全体に対する満足度さえも増したという。また、トラウマ後、性格的強さと自信が増して、周囲の人々に対する感謝と親密度も増大したという報告もある」

 

もちろん、全ての人にこういう現象が起こるとは限りません。

それでは、辛い経験の中で成長していく人と、そうでない人とではどこが違うのでしょうか?

 

これに対して、一番重要なことは、「その人のマインドセット」「心の持ちよう」だと教授は言います。

上方に向かう道を見出す能力は、自分が引いたカードの「手」をどうとらえるかによります。

「逆境下成長」に続く道を見つけるには、状況や起きたことをポジティブに再解釈し、楽観性を失わず、現実を受け入れ、問題を避けたり否定したりすることなく、真正面から見つめることです。

 

ある研究グループによると、「心的外傷後の成長に影響するのは、その出来事がどういうものかではない。むしろその出来事の主観的経験である」と言います。

「言い換えると、挫折からうまく立ち上がることのできる人というのは、何が起こったかによって自分を定義せず、その経験から何を得るかによって自分を定義する人である。そういう人たちは逆境を利用してそこから進む道を見つける。逆境からただ「立ち直る」のではなく、「起き上がってさらに上に伸びる」のである」

 

 

もうTさんの乳がんの話をまんまされてる気しかしません。ほんとにこういうことがあるのか、と本当に驚きました。

多くのベンチャー投資家は、ビジネスの大失敗を経験したマネージャーしか雇わないと言われています。

それは傷一つない履歴書を提出する人は、失敗と成長の軌跡を示す履歴書の持ち主と比べて見込みがないからです。

だからこそ、「何かでうまくいかなかったから、なりたい職業に就けなかったから、癌になったから、私は幸せになれない」なんてことは一切ないのです!

 

 

こんな素晴らしい心理学の研究のことをもっと知りたいと、他の文献にも目を通したのですが、なんとカリフォルニア大学の心理学教授であるソニア・リュボミアスキーさんは、常にこの図を手元に置いていると言っていました。

f:id:yuyu413:20181209163135j:plain

研究者として今まで何百もの様々なグラフを見てきた中、唯一いつも手元に置いているのが、この「心的外傷後の成長」(逆境下成長)のグラフだそうです。

この図は大きな問題に直面したときに選ぶことのできる3つの道を表したものです。

トラウマを経験した直後は、後遺症に苦しむかもしれませんが、ついにはもとに戻るばかりか、それ以上に成長することができるのです。

 

 

f:id:yuyu413:20181209175601j:plain

また文筆家のナシーム・ニコラス・タレブはこういう表現をしています。

「風はろうそくの火を消すが、炎を燃え上がらせもする」

ここで風とは辛くしんどい出来事のこと。火が消えるとは絶望的になるということ。そして、炎を燃え上がらせるとは、辛い出来事は起きたものの、それを糧に成長するということと言い換えることができます。

風で火が消えてしまう人もいるが、一方で、それをきっかけに炎を燃え上がらせる人もいると。

 

 

これらの文献を読んだとき「やっぱりそうだったか……!!!」と思わず唸りました。

案の定と感動と衝撃が入り交じった感情で、震えました。

だからこそ、「これは絶対に多くの人に伝えなければいけない」と改めて強く思いました。

 

なぜなら、僕たちは苦境に立たされた時、その恐怖に圧倒され、前を向くことを諦め、可能性を閉じてしまいがちだからです。

多くの人が〝圧倒的挫折〟を一度、または何度も味わうことで、無力感に襲われ、二度と幸せになれないんじゃないだろうかと、生きる気力を無くしてしまうからです。

 

しかし、乳がんで今まさに苦しんでいる人もいるでしょうし、悲しいことに身近な人が癌で命を落としてしまったという方もいるかもしれません。

どう書いても、そんな人たちがこの記事を読んだら不快に思ってしまうんじゃないだろうか、不謹慎だと思われるんじゃないだろうかと、やっぱりUPするのをやめようとも考えました。

挫折の後、必ずしも全員がポジティブな成長ができるわけではないということも、もちろん知っているからです。

 

 

でも……それでも、僕は今まで「実用書」に書いてあることを実践することで、自分の人生を切り開いてきました。

二十歳の頃に実用書に出会い、それらを読むことで人生が変わりました。

借り物の人生から、自分の人生こそが24時間エンターテイメントだと言えるようになりました。

実用書に救われたのです。

だからこそ、今度は、より良く生きるための「実用知識」を伝える(書く)ことで、返していきたいと思っています。

「変わりたいという強い意志さえあれば、どんな状況からでも、努力で人は変われる」ということを、僕は実用書を書くことで証明したい。

それは僕の使命であり、僕の生きる意味みたいなものです。

なので、不謹慎だと思われようと、まずはしっかりとこの記事を書ききり、たくさんの人に読んでもらおうと思いました。

 





そこで、今この文章を読んでくださっている〝あなた〟にお願いがあります。

ぜひ周りに、特に今生きることに苦しんでいる人に、このTさんの話を、そして「逆境下成長」(心的外傷後の成長)の話をしてあげてほしいのです。

「逆境の後にこそ、幸せが待っている」というこのまごうことなき事実を知っているというだけで、気持ちが違ってくると思ったからです。

険しい困難という名の試練に直面した時、押しつぶされにくくなると思うのです。

「逆境こそ好機」なのだから。

この記事をシェアしてほしいと言っているわけではありません。

例えば、明日、学校や会社へ行ったとき、悩んでいる友人に一言、声をかけてあげるだけでいいのです。

だから、僕は書きました。

きっと救われる人がたくさんいると思ったからです。

 

f:id:yuyu413:20181209175648j:plain


 

 

 

 

Twitterはこちら

森井悠太 (@yuyu413) | Twitter

Facebookはこちら

https://www.facebook.com/yuuta.morii.12

 

 

■関連記事

 

 

■オススメ書籍

逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密

逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密

 
幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論

幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論

 
道は開ける 新装版

道は開ける 新装版

 

 

 

【最後に】

今回、Tさんのとても前向きな話を書かせてもらいましたが、Tさんは手術後、抗がん剤治療を3週間ごとに合計6回やってきました(無事終了)。この記事を書くにあたって改めて治療の話を伺ってそこで初めて知ったのですが、

当初、Tさんの趣味であるピアノが弾けなくなるかもしれない、お茶碗も持てなくなるかもしれないと言われていました。また、抗がん剤投与後、度々、白血球の数値が下がり、お医者さんに「治療継続が難しい」と告げられたこともあったそうです。

「治療の副作用はもちろん辛かったけど、それよりも白血球が下がり、治療継続が難しいと言われた時の方が辛かった」と話してくれました。

「その時に、治療が出来ることのありがたさを感じることができた」と。

 

自分がもし、そんな険しく困難な道にぶちあたったなら、こんな前向きでいられるだろうか……と思わず考えさせられました。

今回、「Tさんの逆境下成長」についての記事を書かせてもらい、本当に様々なことを学ばせてもらいましたが、何より〝生きる勇気〟をもらった気がします。

今後、もし僕が何か大きな壁にぶち当たることがあったとしても、このTさんの話をお守り代わりに頑張って乗り越えていきたいと思いました。

 

こんな最後の最後まで読んでくださりありがとうございました!